ファンケルは無添加化粧品というジャンルを展開しています。創業者の奥さんが、化粧品に含まれる防腐剤や酸化防止剤が原因で肌荒れやかぶれがひどくなったことに起因します。「無添加の化粧品をつくろう!」と。
仮に、防腐剤や酸化防止剤を使用しなければ、化粧品の品質は1ヶ月程度しか持ちません。ということで大手化粧品会社は、その商品を開発しても採算に合わないということで見送っていました。ファンケルはここにチャンスを見いだして、腐る前に使い切れる5mlの密閉型の小分け容器に無添加化粧品をパッケージして通信販売を開始しました。
当時の業界の常識です。化粧品はイメージが命、そんな注射液のようなアンプルのような化粧品が売れるはずがない。しかし、消費者の反応は違います。「携帯に便利」「肌に安心」と口コミが徐々に広がりメガヒットとなります。
業界が考えている常識は時として発想の幅を狭めます。新しい商品を作る、新しい市場を開拓するためには、もう一度顧客の視点に戻る。加えて、部外者の視点でモノゴトを見ることが大切なのかも知れません。
ファンケルの戦略は明確でした。無添加の化粧品を作る。防腐剤や酸化防止剤を使わない。このような商品開発は、顧客に歩み寄った商品と言うよりは、顧客が歩み寄ってきた商品となり、結果としてファンケルに継続的な利益を提供する商材となりました。
どんなに意識しても、企業の視点は強くなります。そして、自己満足に陥ります。しかし、顧客視点、外部者の視点、企業の視点を徹底的に考え抜くことで、同業種、異業種を圧倒する商品が生まれるのかも知れません。
2012年5月 のアーカイブ
ファンケルの思想
メーカー直営の背景
最近、メーカー直営の店舗が急増しています。例えばカルビー。直営店では、主力商品のポテトチップスのできたてが食べられるほか、地域限定で販売されている商品を購入することができます。
メーカーが直営店を運営する理由は何があるでしょうか?最も先に考えられることは、自社のブランディング。メーカーのコンセプトの基、全てのプレゼンテーションから顧客との直接的なコミュインケーションまで全て100%メーカー主導で行えます。これによって、更にブランドロイヤリティを高めたり、ブランドの価値を発信することが可能になります。
では、何故このような店舗展開を行うメーカーが急増しているのでしょうか?例えばPBの台頭が考えられます。プライベートブランドとは、メーカーではなく小売りや流通業者が自ら企画した商品を独自のブランドを付けて販売する商品です。トップバリューやセブンプレミアムなどは、ちまたに十分に浸透しています。これまでのメーカーが作っていた商品をナショナルブランドと称した対義語です。
富士経済がまとめた2011年のPB食品市場の実態調査によれば、2010年のPB食品売上比率が9.3%になる見込みです。2007年の同数が6.1%であることを見ると、ジワジワ着実にPBが消費者に指示されていることが分かります。
PBブランドの売上高総額は、1位がパン3,553億円、2位牛乳1,265億円、3位お茶類660億円、4位乳製品597億円、5位即席麺、スナック麺532億円となっています(2010年見込み)。
これをNBとの売上費で見ると冷凍スナック類、パン、カップ飲料、ビール類はPBにかなり流れている傾向が分かります。冷凍スナック類はPB売上比率がおよそ30%。景気悪化による節約志向で一度PBにながれ、そのまま定着しているのです。これらのジャンルは、コンビニでも個食設計がなされ、レンジでチンして簡単調理で食べられる商品が定番として定着しています。
パンのPB売上比率はおよそ20%。やはり量販店での食パンやテーブルパン、コンビニの焼きたてパンがPB市場を牽引しています。この傾向はコンビにから始まり、2007年から大型流通店でのPB商品が台頭しはじめ、景気後退が顕著となった2009年にPBパンが市場に定着しています。食パンに置いては、超熟、本時込などのNBと低価格のPBが市場を2分するかたちになっています。
2007年頃、メーカーは、景気後退によって自社で遊んでいるラインを無駄にするよりは、PBの生産にあてて、稼働率を上げる動きをしました。これが、自社を逆に苦しめる形になり、2008年、2009年と景気が急激に良くならず、PBが定着してしまいました。大型流通店では、自社ブランドを顧客が最も買い易い場所に配置するため、どんなにNBがテレビや広告を売っても、売り場で判断する消費者には叶わないのです。そう、ジワジワとNBの力が薄まってきているのです。
このような背景から、今後もNBが自社のブランドを発信して、これまでの価格で購入して頂ける消費者に支持をもらい続けるためには、これまで以上のブランド価値の向上が必要になる。直営店舗の運営の背景には、このような厳しい事情が隠れているのです。
セグメンテーションとポジショニング
マーケティングの醍醐味の一つ、STP戦略。自分達の市場を定義して、その市場を様々な視点で切り分ける。そして、その切り分けたセグメントの中で、如何に自分達が優位になるようにするのか?そのコンセプトを明らかにする作業。
STPを行うときに、頭がぐちゃぐちゃになる時があります。セグメンテーションとポジショニングの違いです。そこで、簡単に整理するための方法。
セグメンテーションは、ヒトやヒトの塊である市場にフォーカスをした場合の分け方や切り口。
ポジショニングは、製品やサービスの特徴や優位性にフォーカスをした場合の分け方や切り口。
このように整理することで、理解が促進すると思います。
因みに、商品戦略で良く、一つの商品が良くなれば、なるほど、展開していく場合があります。しかし、展開の仕方がまずいと、折角構築したポジショニングが薄れていきます。従って、商品戦略のポイントは、定期的に面で広がったモノを、線にして、更に点にする。つまり、原点回帰を継続することは重要です。
一方、流通は、ターゲットの行動分析や購買活動を検証しながら、徐々に点から線へ、そして面えと領域を広くして発想を広げることが重要です。
行動にフォーカスして伝える
成果は、行動の積み重ね。もちろん、しかるべきゴールががあり、そのゴールを達成するために、どのような行動を取れば良いのか?が分かっている事が前提です。行動が明らかになれば、その行動をとり続けていく限り、達成する確率が1に近づきます。とすると誰かに成果を出してもらいたいときは、先ずは行動にフォーカスすることが大切です。頑張れ!と言ったところで、そもそも何をすべきか?が分からない人に取っては何の意味もありません。
人に何かを指示、命令する、或は教える場合、なんらかの成果を求めていることでしょう。この場合も注力すべきことは、望ましい行動を取れるように促す事や、その行動自体を本人から引き出すことが大切です。適切な行動を取れば、後は確率の問題なので、10回おこなって3回できる人は、成果が3、2回のひとは成果が2になります。ここの行動に対しての確率がおよそ分かれば、目標達成のためにどの程度の行動量を取れば良いのか指示が明らかになります。
例えば、目標達成が6の場合、前者の行動は20回、後者の行動は30回です。指示や命令をする場合、今なんかいくらいやっているの?と問い、足りない分の行動を取るように伝えると良いのです。仕事は、長期的な時間のなかで繰り返し実施します。全く同じ仕事はありませんが、ある程度、個人の特質によって、達成する確率が収束していきます。となれば、適切な行動が分かっても、行動量が足りなければ、それなりの成果しか出ません。
人によって、短時間で少ない行動量で成果がでる人は、確率が高いだけです。もちろん確率を高くするために、同じ行動でももっと効率的にどのようにすると効果が高くなるのか?などと頭を使って行動した結果でしょう。ここは個人差があるので、人によって具体的に取る行動の量は当然ことなるということです。行動と書くと、体を動かして何かをすること。とイメージすると思いますが、ここでは広義に捉えます。考える。理解する。学習する。等々も行動として捉えていきます。
人は、頭で理解した事を実際に行うことが意外にも苦手です。理解したつもりになって、実際に出来ない。そこで悩み、思考停止し、いつしか行動を行わなくなります。当然、成果に結びつきません。そのために、適宜フィードバックを与える。これが上司やその方々を指導するときのポイントになります。このときも行動にフォーカスします。
役割が上の人が役割が下の人に何らかの成果を求めるとき。
1)先ずは、全体のゴールイメージを共有して、何故、そのゴールを達成することが大切なのか?達成するとその組織はどうなるのか?等をチームで共有します。
2)次のそのゴールイメージを達成するための小さなゴールを時系列に分解します。最終的なゴールが3であれば、2、1でのゴールは何か?を明らかにします。
3)次に役割の下の人に、例えば1を達成するために必要な行動と行動量を特定します。そして、実際に行動するようにお願いします。
4)設定した行動をこなして入れば、その事にフォーカスしてその行動を取っていることそのものを褒めます。承認してあげます。
5)事前に考えた行動が旨く取れない場合は、その理由を役割が上の人と役割が下の人が一緒に考えます。このときは、双方向で質問をしながら、真因を追求します。
6)5)の結果をフィードバックして行動と行動の量を修正し再び継続して頂きます。
7)1を達成する迄適宜4)から6)を繰り返します。
4)から6)を繰り返すときのポイントは、行った行動に対して適宜ポジティブなフィードバックを繰り返すことです。そして、そのフィードバックの焦点もあくまで行動に対してです。そして、行動が適切に取れていない場合は、その事実にフォーカスして適宜その事を伝えていきます。ネガティブなフィードバックになりますが、それでも何か出来ている部分を先ずは認めてあげます。そのあとに感情を挟まずに、取れていない事を伝え、何故できていないかを考えさせるのです。
1が出来れば、次は2、3です。遠くの目標を先ずは設定して、そこに結びつく近くの目標に落とし込む。近くの目標は具体的な行動レベルと行動の量に分解して、いつまで、なにをどれだけ行うかを明らかにするのです。
行動にフォーカスをすることで、本人のやる気が数字としてみえてきます。明らかに過去と比較して行動量が低減している場合、本人に気持ちの変化が出ています。この場合、役割が上の人は、その人の気持ちの部分を聞き出し、何がおきているのか?を共有することが重要です。一方、過去と比較して行動量が増加している場合、本人にはプラスの気持ちの変化が出ています。この場合は、その事をほめ、更に高い行動ができるように促します。重要な事はつねに、役割が上の人が役割の下の人の行動を見ていることです。そして、そのことを適宜伝えることです。役割の下の人は、見てもらっている、と考え、行動の強化につながります。
役割が上の人と下の人。ここには偉いとか偉くないというのはありません。あくまで一つの仕事を達成するチームの中での役割の違いです。従って、年功序列が崩れた今、役割が上の人が年下。役割が下の人に経験豊富な中途社員がいることも多々あります。しかし、基本的にはしかるべき行動と行動量を取って頂ければチームの成果は達成できるので仕事の仕方は大きく変わらないでしょう。
とはいえ、やりにくさは分かります。
自分より年上で、役割が下の人に対しては、フィードバックする時に、お礼をします。ありがとうございます。などです。また、実際年齢は高いけれど、役割が下の人は、他の人とくらべて、その仕事に関しては不器用なことがあります。従って、取って頂きたい行動に対して、若干限定して、あまり業務内容を広げないようにすることがポイントです。一方で、これまで培って来た別の強みがありますので、その部分を旨く引き出してあげ、場合によっては、何かあるたびにその部分でのコメントを求め一緒に考えて頂く役割になってもらいます。
中途で能力レベルや経験がある社員が下にいる場合。どんなに優れていす人でも、自分のチームの成果を最大限発揮するための行動が100%、これまでの行動と一致しているとは限りません。従って、どのような行動をとってほしいのか?どの程度の行動量を取ってほしいのか?明らかにして伝えます。後は、年上の人とどうように、その人が明らかに秀でている分野には積極的にどのようにしたら良いのか?アドバイスを求め、どんどん発言していただくように促します。
ノンアルコールビールとトクホ
コーラとトクホ。先日のブログでもコメントしましたが、まだまだ勢いがありますね。
では、今後はどのようなトクホが出てくるか?ノンアルコールビールのトクホ。これはいかがでしょうか?早嶋はゴルフを全く行いませんが、ノンアルコールビールが世の中に出て来て、ゴルフ場での利用が増えています。もともと、ゴルフをされる方は、ラウンド中の昼食やプレー終了時にビールを飲んでいました。しかし、プレー中はよう事でスコアが落ちる、帰りは車の運転がある、ということでノンアルコールにシフトしたのでしょう。
これは、ゴルフに関係なく、スポーツ中や終了後のシーンも考えられます。たまにですが、ランニングした後に、ビールが飲みたくなる事があります。最近はノンアルコールビールを飲む事で、その要求が十分に満たされます。アルコールと言うよりは、ビール独特ののどごしと炭酸を求めていたのでしょう。
これは、スポーツ飲料の強敵?ポカリやアクエリアス。思わぬところで異業種との戦いが始まっています。これまでのビールは、CMでは華やかではありますが、おじさまがたの代名詞。不健康なイメージでした。そこにノンアルコールで、若干さわやかなイメージが定着しています。とすると、次はビールの対局である健康のイメージ。こうなるとトクホとの足し算も容易に想定が付きますね。
休刊日にノンアルコールビールを。そんなCMが増えていますので、相性も悪くないですね。これまでは、アルコールを飲む機会にノンアルコールビールを飲んで、その気になっていました。今度は逆に、アルコールを飲まない日に、アルコールを飲んだ気になる。仕方なく休肝日を作って肝臓を休めていましたが、ノンアルコールを用いれば、楽しみながら休める事ができる。うーん、いい発想だと思います。
ジェネリック
ジェネリックとは、特許が切れた医薬品を他の特許を持たない製薬会社が製造または共有する医薬品です。一昔前は、先発医薬品の特許が切れると後発品がゾロゾロと出てくるためジェネリックのことがゾロと呼ばれていました。
薬の開発には莫大な費用と時間がかかります。そこで企業は薬の構造、製法などについて特許を取得して、自社で薬の製造までを行い投資した資金を回収します。そして、そこで得た資金を次の開発資金にまわすのです。ジェネリックは、その特許が切れた薬をベースに他の企業が自由に製造販売する薬です。
昨今は厚生労働省が主導でジェネリックを普及させる政策を進めているため、世間一般の捉え方に変化が現れています。国が推進する背景は、医療費抑制が考えられます。世界で見ると、日本ではまだまだ普及が進んでいません。その理由は、安定供給がなかなか難しいとする後発品メーカーの問題、後発医療品に体するドクターや薬剤師の信頼不足などがあります。(一部Wiki参照)
そんなジェネリック。薬の製法や構造が分かっていますので、製造設備等があれば製薬会社であれば製造可能です。では、どのようにして価格が決められるのでしょう。薬の価格には、医療機関に納入する価格(納入価)と、患者さんが支払う市場に出回る価格(薬価)の2つがあります。
納入価は、メーカーは口出しできないので、代理店によってきまります。薬価は、新薬とは違い、メーカーの意向に関係なく厚労省が決定します。従って、ジェネリックで他社が物真似出来ないくらいの仕組みを作ることは、よっぽどのシステムを構築する必要があると思います。
因に、Webでジェネリックの薬価の算定方法を調べてみました。
1.すでに薬価基準に収載されている医薬品が新薬(先発品)のみの場合は、原則新薬の7割の価格
2.すでに薬価基準に収載されている医薬品にジェネリックがある場合は、原則一番安いジェネリック医薬品と同一価格
3.すでに薬価基準に収載されている新薬とジェネリックの品目数が合計20品目を超える場合は、一番安いジェネリック医薬品の9割の価格
更に、2年に一度の薬価改正では市場価格(納入価)が反映されます。2年おきに薬価ダウンの提示が厚労省からくるということです。つまり、売り上げも下がり、当然のこと利益も出なくなります。規模の経済でカバーするか、相当な仕組みを作らなければ、長期的に破壊するモデルのような気がします。
ジェネリックの現状を調べて見ました。平成23年度10月~12月のシェア速報値からです。数量ベースで23.6%増、金額ベースで9.8%増。行政の思惑に反し、日本ではあまり伸びていないという印象です。
ジェネリックが進んでいるのは海外です。アメリカ、カナダ、イギリス、ドイツ。その普及率はアメリカ71%、カナダ66%、イギリス65%、ドイツ62%、いずれも60%を越えています(2009年・数量ベース)。一方、日本の普及率は20%程度です。これは日本の医療費が国によって守られていることが大きいのでしょう。
(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%BE%8C%E7%99%BA%E5%8C%BB%E8%96%AC%E5%93%81#cite_note-1)
これから逆説的な考え方が湧いてきます。ジェネリック業界としては、この程度でも成り立つということ。ジェネリックメーカーの数や1社あたりの販売品目数を考えれば、ジェネリックメーカーは多品種少量販売ではないかと推測できます。医薬品市場の規模が6兆円、普及率が2割だとして1.2兆円。2010年の資料ではありますが、ジェネリックは利益が出ています。
(http://www.dbj.jp/ja/topics/report/2009/files/0000004033_file2.pdf)
そんなジェネリック業界も再編が進んでいます。一方で、新薬メーカーの進出も見られます。最近の動きとしては、新薬メーカーが自社製品を別ブランドでジェネリック展開して販売する動きもあります。もともとの特許保有会社がつくるのだから安心。このような考えは消費者にはなく、価格のみの判断となるのでしょうか。
ジェネリックメーカーが新薬開発をするのは障壁が高いですが、逆はそれほど高くない。今後のジェネリックの競争がますます激化すると、やはり規模の経済が必要になるでしょう。そして、最後はマクドナルドやコカコーラなど、或は味の素のように完全にコモディティとして商品を展開し、世界の隅々に届ける企業がいきのこる。そのような世界になると感じます。
リサイクルのモデル
先日、不要になった食器棚を処分する機会がありました。ゴミとして捨てる場合、引き取って頂くのに5000円かかります。2年前に購入して、程度も良く、まだ十分に使える。しかし、引越のため、どうしても処分する必要に迫られました。どなたかに引き取ってもらうにしても、運ぶ事が出来ません。
そこでネットでググりました。ハードオフのように、中古の家具から家電製品、ブランド品から小物まで、ありとあらゆる商品を出張査定して買い取ってくれる業者が多数ありました。その中で、一番上位にあった会社に連絡して査定してもらう事に。引越の前日に査定して頂きました。結果、3000円。処分する費用がかかると思っていたので、お願いしました。
このような中古市場の業者さんのビジネスモデルは、明らかに型番や商品が分かるものは価格の1割程度で引き取り、20%から30%の利益を乗せてオークション会場で売却するそうです。そのオークション会場では、主に中古品を扱う業者が商品を競り落とします。オークション会場で特に売れるものはやはりブランド品。しかし、あまりにも高価であったり、物理的に大きなものは売れなくなります。
例えば、大きすぎる家具等は、そもそも中古で流通させても、買い手が付かないのが理由です。合理的に購入するそうは、どうしてもある程度コンパクトな家具であったり、棚であったりを求めます。これは理にかなっていますね。キャッシュに余裕がある世帯は中古に見向きもしないということでしょう。
時期も重要です。2月後半から4月後半までは引越による不要な商品が多く出回るため、買い取り価格は下がります。これは、オークション会場に商品が多数集まり、売れ行きが鈍るためです。業者としても、買い取った商品を在庫することはコストなので、オークション会場で取引される価格帯よりも安く買い取るため、必然的に買い取り価格が安くなるのです。
一方、ボーナスシーズンの6月末から7月中旬、12月初旬頃は、中古マーケットの商材も品薄になり、かつ需要が増すため、買い取り価格が高くなります。もし、不要なハードがあって、早急に処分する必要はないけれど、その内、どうにかしたければ、ボーナスシーズンに中古買い取り業者に連絡すると、思ったよりも高値で買い取ってくれるかも知れません。
トクホコーラ
コーラの印象は?と問うと、「体に悪い」「骨が溶ける」「歯が悪くなる」「糖分が多い!」と明らかにネガティブなイメージがあるでしょう。しかし、世界で一番飲まれている炭酸飲料です。私も、何か気分をスッキリしたくなる時は、赤いコーラを選択します。
コーラは体に悪い!というイメージがあるからこそ、コーラにはダイエットコークやカロリーゼロの商品も売れています。非常にユニークですよね。
一方、トクホとつくと、健康とセットであるのがこれまでの常識。商品名にトクホとつければヒット商品になると言われるほど、消費者の間にはしんとしています。
そこにトクホとコーラの組み合わせ。キリンのメッツコーラです。きっとこの商品に対して、誰もが「えっ?」と思ったことでしょう。
しかし、商品構想2年、開発まで3年の苦闘の結果、生まれた商品であるという事を知れば、キリンの本気度合いが良く分かります。
飲料業界では、年間に新発売される清涼飲料は実に1000種類にも及びます。そして、その中から世の中から指示され定番として残る商品はわずか数本。まさに千三の世界なのです。
そんな中、トクホでヒットを飛ばした商品は、ヘルシア緑茶(花王、2004年)、黒烏龍茶(サントリー、2006年)です。飲料メーカー各社はこの商品のヒット度合いを見て、誰もがトクホだ!と思ったことでしょう。
そこでキリンは2009年に食後の血糖値を押さえるトクホ飲料、午後の紅茶ストレートプラスを発売しました。しかし、これは専攻者が既にお茶+トクホの市場を押さえていたので、市場のインパクトは得られません。キリンの担当者は、成功法で攻めるのではなく、独自のポジションを作れないだろうか?様々な疑問視とチャレンジの中、トクホ+炭酸飲料の組み合わせを真剣に考えていたのです。
炭酸=健康ではない。そのイメージを思いっきり使って見たら、炭酸の代名詞でもあるコーラとトクホの組み合わせに行きついたのでしょう。
トクホコーラの開発担当者のインタビュー記事を読んでいると、担当者はギリギリまでコーラの味を追求したようです。それも、当初はトクホ飲料だけに、非常に口当たりが薬っぽい味だったとか。しかし、開発を繰り返した結果、それが普通の味になった。コーラを飲む人は、そもそもコカコーラを飲むでしょうから、このこだわりはある意味、プロダクトオリエントの雰囲気ではありますが、キリンの本気度は十分に伝わってくるエピソードです。
トクホコーラの完成は2010年、その後トクホの申請をして許可が下りるまでに1年半。そして、今年販売されたのです。
トクホコーラにメッツのブランドを付けたのも面白いですね。メッツはキリンが1979年に生み出した炭酸飲料のブランド。トクホコーラにメッツを付けることで、本家のコーラと違いますよ!という点を強調したのでしょう。
さて、トクホコーラの売れ行き。4月の発売から2日間で目標販売の年間100万ケースの50%を達成するという強烈なロケットスタートを切りました。
ジャンクフードとコーラの最高の組み合わせに、少なからずとも健康を意識している人は多いでしょう。そんな人がトクホコーラを選択する。コーラを飲みたいけど、健康に気を使って躊躇する。そのんな人は選択する可能性が高いでしょう。
さて、トクホコーラ。今後の売上推移に注目ですね。
武田の戦略
国内の制約メーカーは、意思決定が遅い。多くの製薬会社のケースを読んでいる時に、プレジデントの記事を読みました。
萬有製薬元社長、英グラクソ・スミスクライン(GSK)日本法人専務から武田にヘッドハンティングされた平手氏のコメントから、入社当時の心象がありました。「社内手続きが煩雑。こんなスピードでやっていたら、全部他社に持っていかれる」と。幾つかの製薬会社の記事を読んでいて、これは日本企業の特徴かな?と感じました。合議制、稟議で皆できめるため、全員の納得度は高いが極めて遅い。
プレジデント(2012年5月13日配信記事)
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20120513-00000301-president-bus_all
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20120513-00000302-president-bus_all
武田薬品工業HP
http://www.takeda.co.jp/about-takeda/corporate-philosophy/article_61.html
ストーリーとしての競争戦略を参考に、武田のSPとOCを整理すると以下のようになるでしょうか。
SP:
① ブロックバスターを狙わない。ミニバスターで売上を積み上げる。
② 優れた医薬品の創出を通じて人々の健康と医療の未来に貢献する。
③ First in Class だけを目指さない。Best in Class でも患者のためになるならよい。
④ 薬以外しない。
※ブロックバスターとは、特許を自社が持ち1000億円以上の売上を狙う薬です。2010年問題、多くの製薬会社が保有する特許の年数が切れるため、一気に売り上げが減少する。製薬業界での痛々しい構造的な問題の基となる薬です。
OC:
① 優秀な人材
② 研究開発ノウハウ
③ 贅沢な資金による重点領域分野の買収
④ 未開拓市場(新興国)への販売チャネル拡大
⑤ グローバル開発(重点疾患領域を中心)
⑥ タイムリーな意思決定
記事の内容は、「2015年に売上がピークだった2008年と同じ水準に持っていく」「グローバル化」という目標から逆算して、「今、何をやるべきなのか?」「来年は・・・」と今行うべき行動を明らかにしています。
これの考えをベースに武田は一貫した戦略を取っています。特徴は、武田の弱みでもある新興国進出の遅れを補いながら、社員の意識改革を役員レベルを含め徹底して行っていること。そして、OCの強みを活かすための外資系幹部のヘッドハンティング。
また記事に、「患者視点の商品へと進化させることで、薬は新たな製品へと変化する」とあります。これは製薬会社であれば、皆考えることだと思いますが、「買収・ヘッドハンティング・創薬部門の改革・タイムリーな意思決定」とつなげて考えることで、「誰に・どのように」だけでなく、「“なぜ”・“どこの”」まで深堀された戦略になっています。これは武田のみの強みなのでしょう。
武田のキラーパスに相当するコンセプトは、ブロックバスターやブティック型を目指す製薬会社が多い中、ミニバスターでいく方針を明らかにした事でしょう。成熟した国内製薬市場の「守り」から「攻め」に転じ、世界の5番目のポジションを目指す武田。
兄コメッドの買収劇にも長谷川社長のストーリーが明らかにあったのでしょうね。何もしないことがリスク。今の世の中にこのような意思決定を強烈に行えるリーダーは多く存在しないですね。
購買後の情報提供
スポーツ時等の水分補給として、ポカリを飲むか?アクエリアスを飲むのか?皆さんは、どっちでしょう。
ポカリの利用シーンですが、1)スポーツ時の水分補給、2)高齢者の就寝前の水分補給、3)入浴後の水分補給と、水分補給にポジショニングを置いた飲料です。大塚製薬の方からのコメントによると、1)に対しては集中力の持続効果があり、2)に対してはアクエリアスや水と比較した場合の尿量の少なさがある、そして、3)に対しては入浴後の転倒リスクを軽減するということです。
上記のエビデンスですが、1)に対しては、ポカリは吸収が速いためパフォーマンスアップにつながる。これは、2)のトイレを気にしなくて良いというのにもつながります。更に、水分のリテンションタイムが長く、夜中のトイレ回数を減少させることにつながります。そして、3)に対しては、血漿粘度を改善するため、血圧変化による転倒予防につながるということです。
なるほど、ポカリは「あらゆる飲料と比較しても水分補給に最適」ということですね(因に、吸収という点においては、アクエリアスは水よりも遅いとのこと)。
ここからは私見&私体験です。GW中に70kmのウルトラマラソンに参加しました。前半35kmのトレイルの水分補給にはポカリを活用。後半35kmのトレイルにはアクエリアスを活用。山口市の瑠璃光寺から萩まで往復するレースでしたので、往路の環境はほぼ同じです。結果、前半に行った小トイレの回数1回。後半は3回。
上記の話を聞くまでは、なんてことなかったのですが。上記の話を聞くと、改めてポカリってすごいな!と感じました。顧客が商品の良さを体験するのは、体験している最中もですが、体験したその後の情報提供によって、大きく変わるものだと改めて実感。他人からすると、上記はたまたま?後付けじゃない?と思うでしょうが、消費者って、意外に単純なものかも知れません。
プロモーションを行う場合、顧客の利用シーンやその商品と触れる全ての瞬間、コンタクトポイントを重視するセオリーがあります。この中でも購買後の体験をないがしろにしてはいけないと理窟ではよく言われています。しかし、実際の現場では、購買まででほっとして、購買後の満足を高める活動が弱いように感じます。
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