早嶋です。
戦略の本質は違いを創ること。そして、そのゴールは長期的な利益の獲得。これを達成するために、将来のビジョンと現状を比較して、生じたギャップをどのように埋めるのか?を考えます。もちろん、このギャップを埋めていくためには、一貫したコンセプトや、それを補うための構成要素など、様々な粒が必要です。そして、それらが互いに絡み合い、WTPをあげるか、Cを下げるかにリンクしていきます。
この作業を通じて、戦略にストーリー性を持たせる時に、早嶋が注意することがあります。それは、そのギャップが、現在の経営資源をベースとして、コントロールできるか、それともできないかです。コントロールできる要素は、どのような時間軸で、どのような資源の配分をおこないながら達成していくか、そのシナリオを描いていきます。しかし、コントロールできない要素は一癖も、二癖もあります。そこで、明確に分けておくことから始めます。コントロールでいない要素に対しては、将来的に、自分たちで吸収できる要素なのか?自分たちでも将来的にどうもならない要素なのか?整理します。自分たちではどうしようも無い要素は、今度は外部の資源でなんとかなるものなのか?ならないものなのか?と整理します。
経営資源は常に有限であり、その資源の配分を自分たちが決めた事意外に配分しないことで、明確な違いを作りだすことができます。従って、コントロールできる、できないを整理して、何をする、何をしないを明らかにすることは大切です。
悩む経営者が多いのは、自分の考えをうまく整理できていない場合がほとんどです。従って、一つ一つを分解して、整理することで、何ができて、何ができないのか?何をして、何をしないのか?簡単であるけれども、戦略の本質としてとても重要な意思決定をできるまで噛み砕きます。この作業を定期的に行いながら、長期的な利益の獲得につなげていきます。
2011年9月 のアーカイブ
コントロール可か不可か
コンセプトを明らかにする
早嶋です。
戦略の本質は違いを創ることです。戦略のゴールは長期的な利益の獲得です。そのために行う方法はWTPをあげるか、Cを下げるかです。そして、それを実現するためのコンセプトが大切です。コンセプトとは、顧客に提供する価値は何か?を表現することばです。戦略といっても、結局人間は言葉によって思考し言葉によって伝えるため、大切な作業です。コンセプトを明確にするために、本当のところは何を提供してるのかを分かりやすくします。
例えば、ベネッセコーポレーションのコンセプトははじめは、通信教育でしたが、徐々に添削指導、そして家族全体との双方向コミュニケーションと展開していきました。これは生徒とのコミュニケーションに加え、親と先生のコミュニケーションも価値の一つと捉えたのです。従って、しまじろうに加えて、お母さん向けの読み物を同封するといった商品に展開しています。
例えば、ブックオフ。中古書店から今ではリユースのインフラをコンセプトとしています。これは捨てることに悪意を持つ人、捨てない人のためにそのインフラを提供しているというのです。従って、何でも持ってきてください!捨てたくない人のインフラ、本から生活用品の全てに展開したのもストーリーとして自然です。従って、立地も持ってくる人がいる事を前提に近年は郊外で駐車場があることを前提とした店舗展開を行っています。
例えば、ほっとペッパー。これはクーポン付きの雑誌と思いがちですが、実際はかなり狭い地域、つまり狭域の情報提供がコンセプトです。消費に関する情報がいくらでも手に入る中、ホットペッパーがこだわったのは生活圏の小さなエリアに限定することでした。人のほとんどが半径2km圏内で消費の8割を行っている事実を考えると、狭域に絞り込んだ情報提供は顧客にとっても価値が高いのです。
コンセプトをしぼる段階でのポイントは、先に誰に?何を提供するのか?を考えることだと思います。これはマーケティング発想にも通じますね。多くの企業の戦略は先にどうやって?を考えますが、それよりも誰に、何を、なぜ?を先に考えることが大切だと思います。
方針を明らかにする
早嶋です。
戦略の本質は違いを創ることです。違いがあるから長期的に利益を得やすい組織になることは、前にもコメントしました。ってことは、戦略の本質は儲かること、利益を出す事、と置き換えても良いかもしれません。いや違う!顧客満足だ!株主だ!様々あるでしょうが、結局利益を出し続けなければ、やりたい事はできません。そういう意味で、ここでは長期的な利益にフォーカスします。
では、利益って何でしょうか?管理会計が分からなくても次の式は理解できると思います。
WTP − C = P
WTP:willing to pay 喜んで払ってくれる額、つまり売上
C:cost それにかかるコスト、費用
P:profite 利益
これを考えると、利益を上げるためには、2つの方法しかありません。1)WTPをあげる事、2)Cを下げる事、です。1)WTPをあげるとは、何らかの理由で顧客がその商品を高くても買いたくなるようにすることです。2)Cを下げるとは、同じ価格であっても何らかの理由で安く提供できる体制や仕組みを整えることです。もう一つ、考えるとしたら、競争をしないことがあります。この場合、市場はきわめて小さくなりますでしょうが、ニッチな敵がいない環境を見つけ出して、土俵をずらして敵を作らないことも考えられます。こちらは市場が小さいので成長を追わない、ややストイックな戦略ですね。
これは戦略をたてる上での結論にもなるでしょう。従って、戦略をたてるとき、あるいは自社の戦略を見直す時に、上記のどれに当てはまるか?よく考えることが大切です。もし、どれにも中途半端となれば、戦略が一貫していないか、つじつまが合っていないか。どこかに必ず矛盾が生じる事でしょう。
違いの作り方
早嶋です。
戦略の本質は違いを創ることです。そして、その違いは、だれもが比較できるbetterの違いではなく、何かをしないとというdifferentが大切です。その意味で戦略はしないことを決める!とよくいわれています。そして、しないことを明らかにしたあとは、その違いを構築する仕組みを組織に落とすことが大切です。これは言葉で表現するのは極めて容易ですが、実行するのは大変な仕事です。今回は、その違いをどのように構築していくのかについて、考えてみます。
ポイントは、個々の要素を絡め合い、つなげていくことだと思います。ここの要素がどんなに素晴らしくても、全体としてまとまりが無ければ、戦略として成立しない場合が多いです。そのために経営者は常に全体最適で、なぜ、そのようになるのか?何故、結びつくのか?何故、絡めていくことができるのかを深堀することが仕事の一つになると思います。
違いを創る過程は、大きく次の事を考えていきます。まずは、結論を明らかにすることです。戦略のゴールは長期的な利益を上げていくことです。そのためには、WTPを上げるか?Cを下げるか?のどちらかの選択になります。そして、そのゴールをどのように実現していくのか?シナリオを考えていきます。シナリオを考える場合、全体のコンセプトを一言で表せるように、何かキャッチーなものを考えておきます。例えば、スタバのコンセプトは第三の場所の提供です。ブックオフのコンセプトは、捨てたくない人のためのプラットフォームの提供です。もちろん、さっ、とコンセプトが出てくるわけではありません。議論を繰り返しまとまって行くものでしょう。
そして、それらのコンセプトを実現するための構成要素を考えます。ここもバラバラではなく、常にコンセプトに結びつけていきます。そして、違いを創るために最も大切な要素は、一見他社が見たら非合理なんだけれども、全体の戦略のシナリオを考えていけば、なるほど!と考えることができるウィットな要素を絡めておくことです。この要素は、一見非合理に見えるので、他社が模倣しようとしないので、結果、明らかに違いが産まれるのです。
例えば、スタバは店舗展開を行うとき、全てを直営にしています。直営で展開をすると、ROAが小さくなります。従って、他の競合や株主からは、何故?と思われたでしょう。スタバにとっては、ここウィットなところです。コンセプトの第三の場所を実現するために大切なポイントです。通常、職場と家庭以外ののんびりできる場所で、週のうちの2,3回来てもらうためには、立地条件が良い場所に出店します。しかし、顧客には、のんびりお店の中でくつろいでもらうために、回転率が悪くなっても、そのコンセプトを統一するために経営を行います。もし、FCであれば、この点は矛盾が生じてくるでしょう。店舗の売上を上げるためには、価格や営業時間は決められます。すると、オーナーだったら少しでも回転数を良くして、効率的に販売したいと考えるでしょう。でもこの行動は明らかにコンセプト違反です。と言うことで、全体としては、FCでの展開は、第三の場所を実店するには不向きだったのです。
最後に、大切なことは、上記のシナリオに一貫性があることです。ここの要素が尖って無くても、全体として良くまとまっている、全体として素晴らしく統一していることがポイントです。
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