早嶋です。
プレーヤーからマネジメントになる際に多くの方が陥る罠に、「部下に仕事を任せることが出来ない!」という現象があります。部下が仕事をするよりも、自分が動いて成果を出したほうが、成績も良く手戻しも無いので効率的だと考えるのです。しかし、マネジメントが直接手をくださすと、本来の仕事に工数を割くことが出来ないし、部下も成果を出せない組織になるので、チームを形成する意味がありません。マネジメントは部下を介して、人を介して成果を出すのが基本だからです。
では、なぜ新米マネジメントは、そのように仕事を部下に任せることが出来ないのでしょうか。もちろん経験が無いので、そのような発想にならないということもあるでしょう。ただ、実際に役割が増え、プレーヤーとして仕事をすることが、自分の業務量を増やすことに繋がり、部下の育成も本来の仕事もできなくなることに気がついていません。研修等を行うと、かならず部下の育成や教育をしないといけない。一方で、時間が無いといっています。本来のマネジメントの業務が出来ていないのです。
では、なぜ仕事を部下にふることが出来ないのでしょうか。私は、理由は3つあると思います。1)そもそも自分の仕事を踏まえて、細分化や定義ができていない。2)仕事の優先順位や重要度を把握していない、或いは考えていない。そのために仕事をふる勇気がない。3)部下の面倒を見るという基本的な役割に資源としての時間を割いていない。
1)そもそも自分の仕事を踏まえて、細分化や定義ができていない。
新米マネジメントは、得に日本企業の場合、急に人事がやって来て役割が上がり、部下が増えてしまいます。そのためどのようにマネジメントするかの教育もありません。新米は仕方が無いから成果を出すことに焦って色々試しますが、全てうまく出来ずに結局自分が動くのです。上司や会社は、それでも全体としての成果は見かけ上上がっているので口出しをしません。しかし、これは最悪でそのうち、新米マネジメントは過労で使い物にならなくなります。
本来、マネジメントは自分の仕事がどのようなもので、どのような業務フローになっているか整理して把握することが重要です。加えて仲間と仕事の成果を出す場合は、チームの目的や業務内容を把握して、誰がどの程度の経験や能力を持っているかを確認します。そのうえで、チームとしての方向性を確認して仲間に示し、各メンバがどの程度仕事をすると良いかを整理して、徐々に自分の仕事の一部や全体を仲間に降っていきます。
2)仕事の優先順位や重要度を把握していない、或いは考えていない。そのために仕事をふる勇気がない。
当然、1)は簡単にできません。細分化し、整理した仕事に対して、優先順位や重要度、或いは難易度を整理する必要があるからです。そして、徐々に手放していき、部下や仲間の能力レベルに応じて配分します。もし、この時点で部下の能力が不足するのであれば、そこに教育を施す必要もあります。そして、上記のことを整理しても、最終的に降る勇気がなければできません。
このような落とし穴に陥るのは、現場での成績が良く、業務量が多くても工夫して出来る優秀なプレーヤーが多いです。もし、新米マネジメント自体が無能であれば、部下は心配して、はじめからマネジメントの業務量も行いますので、勝手に部下が育ち、仕事が出来るようになるからです。そのため部下の育成のためには、あえて無能っぷりを発揮することも大切なのです。
3)部下の面倒を見るという基本的な役割に資源としての時間を割いていない。
細分化して、部下の力量に応じて仕事を降ることが出来ても、その仕事の内容や進捗を適宜管理して修正することが大切です。当然、自分で行うよりも管理することが初めは大変です。部下のことを知らなければ、報告書の内容も鵜呑みにできません。そのためマネジメントは全体の時間の2割から3割を予め部下とやり取りする時間として確保することが必須になるのです。
そしてこの時間で適宜部下の力量に応じて指導をすることこそが、部下の教育になるのです。
ということで、新米マネジメントの皆さん、自分の仕事を降ることを恐れずにチャレンジしましょう。その仕事をこなすのは当たり前。その仕事で成果を出しても、過去の給料の範囲無いの仕事です。マネジメントは将来の仕事を創ることと、部下の育成をすることに徹することが大切なのです。
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新米マネジメントの落とし穴
オペレーションからプロジェクトへ
早嶋です。
2000年頃、はじめて社会人になり経営に関する言葉のシャワーを浴びていた頃、しきりにOperational Excellenceというワードが飛び交っていた。20世紀を通して組織の運営効率を如何に上げるかという取り組みだ。効率、生産性、改善。このようなキーワードを聞かない日はなかったくらい良く耳にした。
2007年頃より、世の中がスマート革命の洗礼を受け、モノとモノが互いにネットワークでつながり、世界中のどこにいても親指一本でコミュニケーションが可能になった。近年のコロナではテレワークのアレルギーも吹っ飛び、もっぱら大企業の専売特許だったDXが一般企業にも浸透しつつある。
最近大きな組織で聴かれるワードは、オペレーションからプロジェクトに変わった。日本語のニュアンスでは前者が組織運営だとすると、後者は組織変革になる。迅速に製品開発を行い、迅速に新技術を導入し、短期的に業績アップを目指し長期的な価値創造をするという一見すると無茶苦茶な取組だ。しかし、これは明らかに世界的なトレンドになっている。
2017年のプロジェクトマネジメント協会の推計によると、同年から向こう10年間に約8800万人がプロジェクトマネジメント関連の仕事に従事し、それによる経済効果が12兆ドルから20兆ドルに成長するという。推計後に世界的なパンデミックが起きているから、おそらくこの数字はもっと膨らむことだろう。
国内をベースに、今後の人事はジョブ型の人事を中心に遂行しようと聞こえてくるが、オペレーションベースの仕事に関しては綺麗に職務記述書を書くことができるだろうが、プロジェクトベースの仕事は頑張って記述できても役割くらいが関の山だ。従来のように決まった仕事が既にあり、時々プロジェクトが舞い込んでくるという世界は過去の産物になり、今後は全てがプロジェクトベースで、ひとしきり終わった仕事の一部はたまたまオペレーションベースの仕事になるのだ。そしてそのオペレーションベースの仕事はAIやコンピューターで十分に再現できる可能性が高い。もはや高給取りが必死になって取り組む手の仕事ではないのだ。
オペレーションとプロジェクト。ここで言葉の整理をしておく。オペレーションは組織運営を指し、旧来の事業の中核をなした活動だ。営業、顧客サービス、財務、会計、製造、インフラ管理といった機能になる。この場合の勘所は効率、生産、スピードだろう。時間軸は極めて短期的で常に業績を重視し、組織の運営形態は階層構造だ。従って、みんなは認めないが上意下達、トップダウンがお似合いの活動だった。
プロジェクトは何らかの成果物を創出する取組だ。通常は製品やサービスやイベント等だ。大規模な取組から小規模なものまで様々だが、必ず時間的な制約があり、資金、人材、時間の3セットの投資を伴い、一定の価値、何らかのインパクト、何らかのベネフィットを生み出すための取組だ。そして何よりもオペレーションと異なる要素は、過去に一度も行ったことが無い何かが常に組み込まれている点だ。
そのためプロジェクト管理は、プロジェクトの定義、計画、実行を行うことは勿論のこと、その目的や成果物を常に明らかにしておく必要がある。そうしなければ創出する何らかのベネフィットに対しての費用効果が測定できないからだ。プロジェクト管理において、従来のオペレーション管理の要領で行うと、管理者は計画、見積、費用、時間、リスク管理などにフォーカスするばかりで、最終的にはインプットとアウトプットしか見なくなる。が実際は、プロジェクトの目的、生み出す成果や価値、実施する根拠やインパクト、企業が取るべき戦略との整合性などを常にチェックすることが必要になる。
オペレーションと異なり、先に計画した通り全てを完工することなど不可能だ。そのため画一的なアプローチは実は存在しない。過去に誰も行ったことが無い取組であり、プロジェクト中に実験、失敗の吸収、そこからのフィードバックを繰り返す必要があるのだ。ありきたりだが、イノベーション、プロジェクトを理解したチーム、そしてベネフィットを生み出すという強い信念が必要とされる。
参考:アジャイル化するプロジェクトマネジメント HBR 2022年2月号
DX化の目的をまず設定しよう!(店舗事業3)
早嶋です。
店舗事業についての考察と提案の3回目です。
初回は、「対前年比管理をやめよう!」
2回目は「本部が集客機能を担当しよう!」
でした。
多くの店舗事業が売上低迷で市場も落ち込んでいます。そのため去年の数字を参考に一喜一憂しても意味がないので、過去数年の推移をみて、企業としての大きな方針を掲げることの重要性を書きました。そして、従来のように顧客とコミュニケーションをする手法が直接行うしか無かった時代は店舗での集客は意味があったと思います。近年は顧客のデータを活用しながら適切にツールやデバイスを活用した取り組みが可能です。そうなると店舗は一見さん対応の発想から常連さんの対応にシフトしていくことが大切です。であればセールスに対しては本部でインサイドセールスの機能を持って店舗と連携するのが自然です。
上記のような変化は、当たり前のように見え、そうだね。となりますが、いざ過去のルールで行っている組織は、変化に戸惑います。30店舗以上ある店舗事業は、店長、店長を束ねるスーパーバイザー、そして本部という3段階の構造を取っているところがほとんどです。そして、その役割ははじめから決めたのではなく徐々に拡大していく中で作ったので、結果、店長よりもスーパーバイザー、スーパーバイザーよりも本部の人間が経験や能力が高いという構図になっています。
しかし、ここに盲点があります。近年のDXに乗っかり、本部はデジタルの導入を考えようとします。本来は、DXを行う場合、過去の仕組みをアナログからデジタルにするのではなく、将来の店舗運営の戦略に応じて全く新しい業務プロセスをベースにデジタルで仕掛けを作っていくべきです。
が、本部の人間は現場を知りませんし、デジタルについても精通していません。知っていてもそれは5年、10年前の発想です。本来は、ここにスーパーバイザーが入り込んで現在の店舗運営のコンフリクトを整理して、将来の仕組みを提言するとよいのですが、スーパーバイザーは平均で10店舗程度の店の売上責任を持たされるので、将来のことを考える余裕がなく、管理というまさに価値の無い仕事にどっぷり時間を費やした結果、もっとも思考が硬直化しています。
そこで本部は、外からITの専門家を呼んで仕組みを作ろうとします。その際、細かなやり取りは本部のおえらいさんが出来ないから、若手社員を本部に入れてシステム開発や仕組みを整えようとするのです。ここに更に盲点があります。若手社員は全く店舗の過去から現在、根本的な問題や課題、今後どうするとよいのか?などを全く知らずに、単にアナログを電子化することがDXだと勘違いしているのです。
さて、上記を改善するためには、30店舗以上のDX化をする場合、役者を次のように分けてみます。
A:店長と現場
B:スーパーバイザー(SV)
C:本部
D:インサイドセールス部隊
E:システム構築部隊
です。Dのインサイドセールス部隊が出てくるのは、店舗の一見客を店舗の常連、馴染み客にしていく際のフォローを本部から行うために、チームにあらかじめ入れておく必要があります。
①目的設定
DX化の目的を、生産性を上げ、なじみ客を増やし、結果的に将来の構造変化に対応できる強い組織を作ること。とします。その旗振りは、Cの本部が行います。
②ビジョンの構想
まず、5年先くらいに徹底的にデジタル化と理想の組織が出来た場合の組織の動きや毎日の実際の仕事の流れについての理想を語ります。その際、すでにベストプラクティスとして他者や他業界や他国の事例を断片的でも良いので参考にしていきます。
結構、他者を知るという取組が弱い本部は、ここに瞬間的にコンサルを入れて、混合のプロジェクトチームについて短期的にインプットしても良いでしょう。
③過去から現在の棚卸し
多くが歴史を知らないまま、ないがしろにしたままDXをすすめるので現場の都合やなぜ、敢えて現場がそのような取組を行っているかを知らないで全否定して、導入がうまくいかない場合があります。そのために短期的でも良いので店舗事業の成り立ちや当時の状況、現在の規模になるまでに苦労した点などを理解します。
ここはA:店長やB:スーパーバイザーにガンガン話をしてもらい語ってもらいましょう。店舗事業の盲点は、店長でもSVでも仕事はできるけれども、他者に話がするのが下手な方が山程います。その場合は、やはりコンサルを雇うか本部が上手に仕切ってファシリテーションに徹して、それぞれの体験を引き出して組織のナレッジにすることに徹することが大切です。
④システムの構築
上記が出来て、初めて理想のシステムのイメージが固まります。ただ、おそらくこの理想のシステムは、上記の①から③をしなくても、システム屋さんが提供した内容と見た目はかわりません。しかし、①から③を敢えてのAからEを交えることによって、システムに魂が宿ってくるのです。DX化のシステムは器でコピペが簡単にできるものですが、コピペをして現場がすぐにつかえるかというとそんなモノではありません。なので魂を注入する仕組みが大切なのです。
上記までを3ヶ月程度の突貫で行うことをおすすめします。ダラダラやっても意味がありません。そのため本部がしっかり責任を持ち、プロジェクトチームを横断的に作ります。
その後、30店舗程度ある場合は、10%の数店舗レベルで試験導入して、現場とインサイドセールスとシステム部隊の連動をみて行きます。システムは、随時更新して随時改造が出来るように内製化するのが理想です。もし、それが難しいようであればシステム開発会社に対してのお金の支払を工夫して、随時アップデートが出来る体制をつくります。ここに関しては、近年の開発思想がない本部であれば苦労するので、コンサルを入れるか、成功している企業から人を借りてくるか工夫が必要です。
⑤導入フェーズ
上記が出来たら、店舗、SV、本部、インサイドセールス、システム部の成果を議論します。通常、システムが出来たら終わりだと勘違いしますが、システムは現場に対応させながら、一方で本部の戦略にマッチしていくことが大切になります。
理想は、SVを廃止してインサイドセールスに人員をシフト。インサイドセールスが店舗に顧客を送客してその後のフォローに責任を追わせる役割をもたせることです。本部は、全体的な店舗のコミュニケーションを担当して、店長は送客された顧客に対しての店舗サービスを効率化、最大化するための現場に責任をもたせます。加えて、インサイドセールスが事前に予約を取って来店時の商品に対してはある程度確定しているので現場の裁量で顧客に気持ちよくクロスセルやアップセルの提案ができれば、その追加分の収益が店長の評価につながる。という発想も良いと思います。
いずれにせよ。AからEが各々に分断したKPIを設定するのではなく、全店舗で最も効率が高まるKPIとゴールを一定期間検証しながら決めていくことが大切です。
⑥教育フェーズ
従来の店舗ビジネスは、店長が独自に一応標準化された店舗の教育を行っていました。その資料は多くは紙で残されているので、ここに対したは動画を活用した教育を導入し、基本的なインプットは店長が話をするのではなく、企業の中で最も得意で上手なひとが動画に収録して、それを見せる。そして店長はOJTに徹するなど、工夫をしていくことが大切です。
そして、その教育も常に⑤の導入フェーズで議論した方針に乗って、部分最適にならないようにチューニングします。
ということで、今回は、店舗事業をDX化する際のチームの話、導入の仕方の話、教育の話に対してざっくりと整理してみました。
店舗から本部が集客機能にシフトしよう!(店舗事業2)
早嶋です。
時代が変わりました。従来は、顧客とコンタクトをとり、顧客情報を管理するコストが高く、店舗系ビジネスはその管理や集客を店舗に一任していました。しかし今は高校生が簡単にプログラムした程度で顧客を管理するアプリやライン等のツールを使って顧客とダイレクトにコミュニケーションできる仕組みがあります。それも企業の金額感からすると随分と安価です。それなのに、100店舗前後の店舗ビジネスを運営する本部は今でも店長任せ、スーパーバイザ任せの集客です。Webやデジタルマーケティングを本部が行い、店舗は来客の対応に徹するといのが構築できる時代になっているにもかかわらずです。
提言です。店舗の顧客管理の仕組みをゼロベースで刷新し、1年間でデータを集め直し、そのデータを利用して100店舗の店長が100通りの集客をするのではなく、本部が責任を持ってデータを分析してここにフォローする仕組みを作る。というのがスマートです。Webと顧客IDとGPSとライン等のコミュニケーションツールを使って、顧客の来店状況、商品の活用状況から適宜適切なマーケティング策を考えて本部がダイレクトに顧客にアプローチするのです。顧客のデータを取るなどの活動も店長が積極的にしなければ出来ない従来の発想を捨て、サービス利用時にレジで会計をする時に自然とデータが収集する仕組みに切り替えます。店長は、その日に来店する顧客のデータが事前にわかり、重要顧客に対しては、どのような接客をすると良いのかを毎朝仲間とミーティングして日々の接客サービスに没頭する仕組みに切り替えるのです。そして、その実現も実は難しくないのです。
現状の落とし穴はパッチワーク的に動いているITシステムです。複数のベンダーが部門最適で仕組みを入れており、しかも連動していない。そのためデータを駆使してなにかしようにも、データの整理や連携を店頭で行わなければなりません。無駄な時間がかかり結果的に目の前のお客様の接客サービスに没頭するという極めて正しい行いになるため、データ活用がすすまないのが現状です。
本部はそのような仕組みを一度捨てて、サンクコストとして処理してください。両利きの経営では無いですが、創造する。維持する。だけでは企業は伸びず、破壊するという行為を行わねければ刷新はできないのです。
上記の取組とともに実現すべきは組織の改造です。従来は顧客の動向は店舗でしか判断できなかったので店長がいて、スーパーバイザがいました。しかしDX化して現場のデータを本部で吸い上げるようにすれば、基本100店舗の店長は皆スタッフで良く、指示はダイレクトに本部から行えるようになります。そのため店長が不要になるか、スーパーバイザが不要になるか、あるいは両方が不要になります。
店長として成績を上げていた数名、現場で長年キャリアを積んで様々な取組をした社員数名。実質的な仕事が出来ているスーパーバイザ数名を本部に集めます。そしてITと経営のことを理解している責任者は、仕組みを構築しながら、彼ら彼女らの話を取り入れて実質的に現場で使える仕組みを構築します。
店舗ビジネスで良く観察できる失敗事例は、本部スタッフのインテリが現場の経験がなく、勝手にシステムを構築することです。そのため現場からは不平や不満が出まくる。更にシステムを一気に完成させようとする発想を持っています。どうではなく、全体の構想を明らかにしながらも、現場の困りごとを解決し、自社の方向性に進むような仕組みを上記の選抜チームとともに仕様をつくり現場でテストしてを1年の中に数回繰り返し、その後に一気に展開させるという発想で仕組みを構築していくのです。その後も、顧客のデータや店舗の売上推移をみながら適宜自動化できる分はIT担当に任せ、現場でしか出来ない接客サービスを特定して、そこに社員の資源を投下する発想をもつのです。
ぜひ、15年以上の歴史を持つ店舗ビジネスの経営者、スーパーバイザ、店長は昨今のD2Cの事業ケースを10社分くらい研究すべきです。基本的には店舗は集客せずに、本部がITを活用してデジタルで集客をする。リピート等の仕組みは店長とデジタルツールで顧客を管理していく。店長は店の売上に責任を持つのではなく顧客の推奨度や満足度と言った指標で管理をして、店長の評価は売上ではなく店舗スタッフの成長や行動に対して評価をします。昔と違って店舗がコンタクトポイントとなり別の店舗で売上が発生したり、Webで売上が発生するからです。店舗売上で店長を管理した瞬間から店長は部門最適になります。そのため参入が浅いD2C企業は、はじめから店長に収益責任を持たせないのです。
対前年比管理を見直して見よう!(店舗事業1)
早嶋です。
成長している時期、特に店舗ビジネスなど、毎日同じ行動の結果、ある程度の成果が出る手の商売は、対前年比管理を当たり前のように実施していました。しかし、業績が下がっている昨今、その手法を見直すことをおすすめします。
その理由は、以下のような分析を行ってから考えて見てください。例えば、直近の成績から5年位のスパンで管理会計区分の売上で大きな単位でその推移を見てみます。売上=A商品郡+B商品郡+C商品郡=α事業部+β事業部+γ事業部=X店舗+Y店舗+Z店舗などが管理会計区分での売上になります。
日本経済の特徴として1996年頃を堺に殆どの業界がステイか下り坂です。そのため5年程度の推移を見れば、明らかに業績が激減していることが見えるでしょう。意外なことに、こと店舗ビジネスにおいて、店長は昨対比か昨月費の数字しか見ていないので、経営トップが言っている業績の激減や環境変化について「体感」していません。毎年、あるいは毎月、少しづつ下がっているイメージはあるものの、数字を比較する上では、あまり変化が見えないのです。
これは実は店長を管轄するスーパーバイザに対しても同じです。彼ら彼女らもまた短期的な店舗の業績に追われ自身の給与を管理されているためその日の売上に一喜一憂するため数年スパンの傾向値など見向きもしません。その結果、本部と店舗(現場)では、危機感の感情がかなり異なっています。
そこで上述したグラフの作成です。できれば、デジタルのこの時代、敢えてアナログで店長を集めて、5年分の数字を持参させ、あるいは提供してグラフを描いてもらうことが効果的です。もちろんエクセルでもOKです。すると改めて数字が激減していることを直視します。
例えば100店舗ある企業が同様のことをした場合、店舗によっても特徴が出てきます。その場合は、なぜA:伸びている店舗があるのか。B:なぜ変わらない店舗があるのか。C:なぜ減少している店舗があるのか。の3つに分けて店長同士ブレストさせます。これをエリアごと、管理会計上の商品郡ごとなど、いくつかの種類に分けて、その稽古うちをA、B、Cに分けてブレストさせます。日々目の前の経営に直面している店長、スーパーバイザに取って何気ないことがどんどんフラッシュバックして、思い当たるフシがどんどん言語化されます。
その上で、本部は本部の方針を示し、新たな事業を行う意義や、管理会計上の主力商品の資源バランスを変えることなどを再度説明するのです。
対月対年管理をしている店舗ビジネスの本部が、突然方向変換の理由を説明して、現場に落とし込もうとしても現場に変化が置きない理由は、店舗に全くの危機意識も危機感も無いことに由来するのです。本部が焦っても、現場が動かなければ経営にインパクトが無いのが店舗ビジネスです。
新規の方向性を決めるのはトップの仕事
早嶋です。
生産性が悪い企業、変化しない企業、成熟事業がピークを迎え新たな事業を創造しなければならないが行動を起こさない企業。トップはスローガンのように「新規事業」「イノベーション」「DXの活用」などを掲げる。が、現場では「またか・・・」という声が聞こえてきます。
そもそも、成熟し次の事業を生み出す場合、現場に新規事業のネタを求めるのはNGだと思います。トップが中心となり、次の事業の方向性を議論して戦略を示すべきなのです。そもそも現場は全体を見る力を持たないし、仮に見れたとしても意思決定なんて出来ません。そのためいかなる新規事業も基本はトップがフルに関与しなければならないと思うのです。
よくある風景としては、若手社員やベテラン社員を集めて新記事業を起こすワークショップを開催して方向性を決める取組です。体裁は教育目的で、新規立案を研修材料に取り入れ、自由闊達な議論をさせ、最終的に役員などのトッププレゼンを折り込みます。そのアイデアいいね、となっても役員一同、誰も行動を起こしません。社長もその話を聞いていても、実際の計画に織り込むことは有りません。そうなると、何のための若手のワークショップだったの?となり。不信感が募るばかりです。
あたかも自分たちの保守のために、本当は変わらないと思っても、もうすぐ定年だから、コトを大きくしたくない。と思うのでしょうか。だったら、早いところ引退して役割を若いマネジメントに託すべきではないでしょうか。
ジョブ型雇用を取り入れながらマネジメント層のコーチング能力を高める
早嶋です。
職務内容に応じて求められる能力や経験を明らかにして職務明細書(job descripution)を示した上で雇用する。従来の新卒一括採用から社員の適応をみながらポストに充てていくメンバーシップ型の対局であるジョブ型雇用の導入が増えつつあります。入社年次に関係なく、そのポストに相応しい人材を充てる制度なので、直感的にはもっと早くから導入していればと思う方も多いでしょう。
日本では、制度上職務を規定せずに多様な仕事を経験させてキャリアを形成してきた社員が多いため、「自分の強みはなんですか?」「仕事におけるあなたの役割はなんですか?」と問うても答えを返せない社員が多いのも現実でしょう。高度経済成長期に制定された組織制度が長らく低迷、多くの方が心の底では規定していると思います。そのような組織は結果的に積極的に仕事をすることもなく、何かしらの改善を提案することもなく、単にマネジメントの指示通り動いていく。
私の仮説ですが、ジョブ型雇用を導入したい企業の多くが、マネジメントが不活性で指示待ち人間が多い職場のように感じます。このような職場の特徴は、過去5年、10年以上も組織の大きな変革は無く、過去と同じく繰り返しの仕事を行っている。業績は悪くは無いがピークの頃を偲んでなんとなく今の仕事をこなしているが先が見えない。だからと言って多くの社員は転職することも無く今の仕事のしがみついている。自分の能力が今の組織外で活躍するとも思っていないし、転職することで給与が下がる恐れを持っている方が多いからです。
トップマネジメントは社員に対して新規事業の方向性を説いているが、自分たちで動くこともせずに、数年後の構想すらあやふやなまま。若手やマネジメント層から提言があれば、前向きに進む前に出来ない理由を並べるか、できる証拠を示せといい新規の提案を潰している。自分たちも既存の事業モデルが出来上がった頃にマネジメントになっているので今の事業を維持拡大することはできても、新たに創造する経験が無いので実はやり方がわからないのです。そして特に共通の項目としてみられる現象が本質的なコミュニケーション不足です。何かの方針に対してはトップダウンで、その方針が決まった背景や経緯をごく一部しか知らず、共有させる必要性や意義もわからない。現場は常に、具体的な指示に変換した取り組みが降りてくるので「なぜ」行うかなどを5年、10年考えたことが無いので自分たちが行っている行動や業務が実は明後日の方向を向いていても気が付かないし思考しない組織が出来上がっているのです。
そんな組織の中で、皆業務を余りこなさないけど、意識的に仕事をしていないわけでは無いので、目立った人が業績を上げても、その人の成果だと余り認めたくない。じっと我慢して将来給与をあがるのをシクシクと待っているのです。ジョブ型雇用の導入に対してはサイレントを保ったまま、できれば今のままにしてほしいというのが本音では無いでしょうか。
働き方改革は確かに大歓迎でしょうが、賃金とポストが連動して、年功序列に関係なく人の評価が変わる制度に対しては会社が急に言っても受け入れたくないのでは無いでしょうか。「私だってできるのに」「なんで自分よりも若い人が」「なんで私ではないのか」等々。不満の声が続々と出てきそうです。もちろん表情を変えずに、ここの中にしまっているでしょうが。5年、10年上司と部下のコミュニケーションが取られていないため、お互いにそのわだかまりが在ることは何となく知っていても、どうして良いのかわからない状態だからです。
マネジメントからすると「理解している」「コミュニケーションは取れている」などと全否定する人も居るでしょう。私もあなたを否定する意図はありませんが、平均的な組織のマネジメントからすると出来ていいないということを書いています。そのためマネジメント層におけるコミュニケーション、特にコーチングで求められる相手の話を傾聴する、相手の考えを引き出す質問。そしてテクニック以外に会社の現状がどうなっていて、今後どうするべきかを自分の見解として語れる力。このような能力がなければ、出来ていると言えないかも知れません。
従来の職場では、気のあった部下や後輩とはコミュニケーションを取っています。コロナの前はちょいと軽くノミニケーションも取っていたかも知れません。話を聞かないで相談に対しては結論を押し付けて、過去の自分の事例を押し出して終わっていたかも知れません。更に言えば、自分が気に食わない部下やウマが合わない部下とは意図的にコミュニケーション取るどころか距離をおいているかも知れません。チームとして仕事をする時の大義名分を自分の言葉で語ることもなく、上からの指示と下に伝えただけかも知れません。
欧米の先進企業、少なくともジョブ型雇用を長らく導入している企業、は上司と部下のコミュニケーションに1:1(ワンオンワン)という手法を積極的に取り入れています。いや私も行っているよ。と思う半期に一度程度の効果舎面談とは異なります。1週間から2週間に1度のペースで1回1時間程度の日程を確保して連続して行われます。仕事の進捗や相談は当然のこと、部下の悩みやキャリアの相談に乗ることも日常です。当然に経営方針の疑問や理解を深める時間にも充て、マネジメントが10%は部下のための時間を確保するという所以です。成果主義ではありますが、成果を出す過程をマネジメントが把握しなければチューニングも出来ないし、同じ取り組みを他に展開することも出来ません。結果を出すためのプロセス管理も日常的にマネジメントの職責として実施するのです。部下や組織のパフォーマンスは上がりますよね。
クライアント企業のセールス部隊80名のトップマネジメントと複数名のマネジメントに対して2年間、試行錯誤しながら1:1の手法を取り入れたことがあります。はじめは自分の仕事や成績につながらない行動は行っていなかったセールスも、企業や事業の方針、ブランドの方針を理解するにつれて個人の成績と共にチームの成果を追求する重要性を理解して日常的な行動が変わっていく経験をさせて頂きました。自分の成績が悪い時は他のヘルプがあり、結果的に顧客体験が常に最高に保たれるので2年、3年の乗り換えの期間にもまたそのセールスチームを頼って顧客が戻って来るようになったのです。見た目の瞬間的な取り組みに成果が宿るのではなく、長期的な意味在る導線づくりと手間が結果的に毎日の成果を生み出しているのです。
1:1を続けると、一方的に話すスタイルはすぐにネタが尽きてしまうので、必然的に現場のことや過去、将来、過程と様々なことを聴くようになります。マネジメントはそれに加えて否定せずに一度受け入れる。仮に反対のことを言わないといけないときもじっくり聞いて、その中でプラスのフィードバックを始めに行った上で、私だったら◎◎というようにチームとして目標を達成するコミュニケーションを行うようになってきます。まさに、マネジメントが皆コーチになる必要性に気がつくと思うのです。
ジョブ型雇用の受け入れを考える組織は、今からマネジメント層のコーチングのトレーニングを強化しないと、採用した優秀な部下のコストを回収出来ないままに、その社員は他にジョブホッピングするという意味の無い取り組みを行い、一層人材エージェントだけがウハウハになるカラクリがみえてきます。マネジメント、あなたが変わることが大切なのです。
心の安全の確保
早嶋です。
会社は誰のものか?という話題は、株主がオーナーシップを持つという当時の議論から、一連のコロナの影響の中、利益の源泉である従業員やパートナーを蔑ろにして会社を守ろうとしている企業は考えを改めるきっかけになったと思います。経営は常にバランスを考え、今と先、企業を取り巻く利害関係の全体とバランスを捉えていかなければ未来はそう明るくありません。
近江商人の三方良しは、さすがの格言で、企業も顧客も地域も、皆がハッピーになる、今でいうSDGsの取り組み、企業側からの視点ではESG経営を行っている、そのような視点を貫き経営している企業は、今の所まっとうな利益を長期的に生み続けることができている、そしてこのさきもその可能性が高いと思います。投資家や市場が、三方良しを標榜しそして実践している企業に投資したいのも結果的には長期的な配当とキャピタルゲインを得れるとの判断でしょう。
緊急事態宣言が出される前に、企業の判断で従業員の通勤や感染などを一番に考えたところは、短期的な企業の損益よりも長期的な企業の取り組みを重視しているように感じました。いち早く安全対策を施し、国が指針を出す前から経営者が先頭にたち状況を判断しつつ意思決定を続けていく。最も大事にしたことは従業員の心の不安と物理的な安全です。緊急事態宣言後、店舗をしばらく休止する判断を取りつつも顧客に適宜連絡を取りながら、顧客の事業活動を気にしつつ従業員のケアも行う。
事業モデルや事業環境の影響もありますが、経営者の判断や脂質の部分でも白黒明暗がついています。資金が厳しくなったから、従業員の努力に報いず、すべてをカット。そのような方針の企業は優秀な方々が逃げ出し、結果的にもともと冗長性があり、いまでも低迷はしていない企業に優秀な人材が集まっています。
目先の利益を追求した社会は、売上と利益のバランスを極限まで追求され、ある意味余力がありません。この売上と利益の余力のバランスは会計指標では安全指標などで図られますが、数値に加えて、経営者の思想と実行力にも宿る大切な考えです。
将来のことを考えながら適切に会社に資金を残しつつも、事業の投資と株主への還元のバランスを続ける。そのような企業は常に会社の方向性やポリシーを明確にしながら、市場とコミュニケーションを取っています。物理的な安全性に加えて心の安全性の確保は今後は無視できない要素の一つです。
台風とメーカーとリトルハイア
早嶋です。
久々に九州に近づいた台風。気象庁の呼びかけにより、数日前から各々に台風に備えたのでは無いでしょうか。私もベランダの整理と植木鉢などの屋内への待機、非常食や何かあった場合の連絡先やルートの確認。停電になったことを想定した電気と水のアクセスに対してのシミュレーションを行いました。日頃から準備することの大切さを改めて考えました。
その中で、ジョブ理論のリトルハイアにフォーカスした情報提供があれば、その企業は認知度と販売後の顧客との関係を更に深めることができるのではとも感じた次第です。例えば。・・・。
◾トイレ
トイレメーカーは片手の数も有りませんが、「台風 トイレ」等のキーワードを入れても何ら対策など、ユーザー(消費者)が(多分)知りたいであろう情報を提供している企業はありません。あったとしても、その情報までリーチさせる工夫がほぼ無いよう思えました。
●停電になった場合のトイレはどうなるのか?
●その際に、何を準備しておけばよいのか?
●何かトラブルがあった場合、どこに連絡するのか?
等々です。
おそらく各社のサイトを調べると、どこかリンクが深い場所に情報があるのでしょうが、今は親指で検索して出てこなければ、存在していないかのごとく扱われると思います。
しかし、もしトイレメーカーが堂々とYoutubeやスマフォのサイトで情報を提供していれば、そのページのアクセスはかなり向上するでしょう。そして、それが購買後のケアに対しての満足度を向上することでしょう。
◾窓
窓ガラスや扉やドアに対しても同様のことが言えると思います。皆、ニュースを見ると養生テープを貼って、ダンボールをせっせと外の窓に貼っています。果たし目的は?とも思う風景です。
●窓ガラスはそもそも風で割れるのか?
●自分の家のガラスはどうか?
●参考までに調べる方法はあるか?
●対策を施すとしたら何をすると良いか?
●もし、窓ガラスが割れたら、どうすると良いか?
等々です。
窓ガラスに対しては、「台風 窓ガラス」などとぐぐると、メーカーのサイトが出てきて、PCでもスマフォでも対応しています。基本的な予防や注意点などがわかりやすく、かんたんに調べることができて、消費者は安心したのでは無いでしょうか。
現在、消費者が何かを調べる際は、圧倒的にスマフォです。20代から40代にかけては8割がスマフォをベースに情報を検索するとありますので、WEbページはPC用ではなく、スマフォで情報にアクセスすることを前提に作ると良いと思います。
ただ、ノートPCを使って調べる割合も一定数あります。特に60代以降はスマフォとノートPCを同じ割当で利用していますので、高齢者向けの情報はノートPCに誘導するか、普段からフマフォなどの活用を促す取り組みをするか、色々と企業として取り組めることが見えてきますね。
◾住宅メーカー
住宅メーカーや家や中古マンションを販売する代理店は、実は家のスペックを最も知っている企業です。台風の前に対して、現在、あなたの家の窓は○○の仕様なので、今回の台風によって、最悪○○のケースが考えられます。すでに、取り替えるなどはできないので、最低、○○のような準備をされてはいかがでしょうか?などと連絡するだけで、その企業の信頼度はぐっと上がることでしょう。そして。もし台風等の災害で何かあれば、当然にその企業に再びコンタクトがあるので、消費者にとっても安心ですし、企業にとっても次の事業につながるチャンスです。
◾車メーカー
これは車メーカーも然りです。数百万から1,000万近くする車を販売している企業は、少なくともユーザーがどのような場所に車を普段駐めているかを把握しておくべきだと思います。そして、何か災害があるような場合は、そのユーザーに連絡をしていて、そのエリアは○○の可能性があるので、最悪○○の被害がでますよ。その対象として、お客さんだったら○○するといいですよ。的な連絡を入れることです。
もちろん、全ては自分で行うことが当たり前の世の中ではありますが、個人がスマフォを持ち、必要なタイミングでコミュニケーションが取れる時代です。そのようなピシャリのタイミングで連絡がくると、顧客の脳裏にははっきりと記憶が残ると思います。もちろん、そのようなコミュニケーションもある程度機械じかけでできますので、消費者のことを慮る気持ちが少しあればできることです。
災害の時に、災害を意識した商品があれば、それを消費者の記憶にとどめてもらう。CMで何か流すよりも、目的意識がある時の情報提供がはるかに効果があると思います。ただ、トイレも、窓ガラスも直接メーカーが消費者に販売するわけではないので、最終的に顧客とのコミュニケーションが取れないものだと思っているのかも知れません。
情報化社会になれば、企業は中間業者の存在があっても、エンドユーザーと直接つながることは容易です。その工夫は、やはりメーカーがもっと考えて、リトルハイアにフォーカスした事業モデルにかえることが大切な方針だと私は思います。
問題解決の実践には、覚悟と思考力と実行力が必要
原です。
私は、企業や組織の問題解決コンサルティングや人材育成の研修講師に取り組んでいます。
コンサルティングや研修では、問題解決の型や技術を活用しクライアントや受講生と一緒に対話を通じて考えながら進めていきます。使用する体の機能は、思考(頭)と伝える(口)と聞く(耳)の首から上の身体部分です。
問題解決には、戦略的に考える思考力が重要です。
しかし、どんなに品質の高い問題解決策を立案しても、それだけでは問題は解決しません。
当たり前ですが、問題を解決するには「実行力」も必要です。
それから前提として、問題解決に取り組むチームメンバーが、主体的に問題解決策を考え実行し、失敗しても逃げずに工夫を繰り返しながら解決していく「覚悟」も必要です。
つまり、問題解決の実践で使用する体の機能は、「頭と心と身体」ということになります。
現在、私自身や地域住民がリーダーシップを発揮しながら問題解決を実践中です。参考事例として以下に内容を記載いたします。
●問題解決テーマ:自然災害からの里山復興
●主体者:原秀治(私)、地域住民(専業や兼業農家など)
●背景(現状)
10年前に受け継いだ自己所有の農地を、7年前の水害と3年前の山崩れの2度の自然災害により、地域と共に大部分が壊滅状態に陥りました。
その後、行政支援による災害復旧工事が進みました。しかし、無人重機やドローンなどの最新技術の導入も期待外れの結果となり、農地再生などの現実的な復興には当事者のマンパワーがなければ無理な状況が続きました。復興をあきらめる住民もいました。
私は、ゼロベース(もしくはマイナスベース)からの再開発のスタートを覚悟しました。
●問題
・今後、地域の自然生態系が維持できない
・農地が荒れたまま、農家の消滅
・里山の消滅
⇒自然災害により農地や山林などの自然生態系が荒廃しており、里山で暮らす住民の生活が困難となる。
●原因
・人口減少高齢化による復興への人手不足
・地域住民には、再生できるリーダーが不在
・数回による自然災害によりモチベーションの低下
●課題
・復興への覚悟とリーダーシップの広がりが必要
●解決策
・実行度:私と兄が休日を利用して、計画的に中長期的な復興に取り組むことで、周りの農家の模範となる。
・影響度:地域住民との励まし合いにより、個人から家族、家族からチーム、チームから地域コミュニティへと広げていく。
・コスト:機械はフル活用するが、機械の共同利用、中古購入、自力での修理など、できるだけコストを抑える。
●これまでの実行内容(直近3年間)
・中長期的な再生モデルを構想。
・私と兄が復興の模範を行動で示し見本となる:休日やコロナウィルス感染休業を利用し、計画的に農地の8割を再生済み。
・農地売買による復興仲間の確保。
・農地を脅かす悪意の第三者への対応。
・各農家の親が子に(または知人)へ農業承継することで、農業の継続と復興の和が広がりました。
●今後の取り組み
短期:再生済み農地に種蒔き。残り2割を農地転用などにより再開発。
長期:山林の再生(間伐、植樹)。里山ファンとの地域ビジネス創出。
●以下、私が問題解決の実践に取り組む中で再認識した3つのこと。
①問題から目を逸らさずに問題解決に取り組む「覚悟」
②戦略的な問題解決の考え方
③考えを実現させる実行力(行動と工夫の繰り返し)
※私は、以上の3つを重点にした問題解決型コンサルティングや研修講師に取り組んでいます。
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