原です。
地方自治には、団体自治と住民自治の両方の意味があります。
団体自治とは、一人ひとりの住民の生活が向上するように、また地域の持続的発展が可能なように地域内産業関連を組織し、地域経済力などを高める重要な役割である基礎自治体であると考えます。
一方、住民自治とは何でしょうか。
それは、地域の将来のあり方は住民自身が決めるという創造力であると考えます。
住民は、地域づくりについてを「自治体に任せるだけ、企画政策に対して文句を言うだけ、他人事として傍観者になるのではなく」、自らが地域づくりをテーマに多様な人々と対話し、アイデアや企画提案を実践していく実践型の住民自治に取り組むことが必要な時代です。
ただし、上記のようなことを地域で実践するには、そう簡単にはいきません。
例えば、多くのコンサルタントが自治体からの依頼により地域の課題解決に取り組んでいますが、
企画提案しても絵に書いた餅や実施事業も成果はなく消化不良に終わっているのが事実ではないでしょうか?
ここで、私の現在進行系の実践事例を紹介します。
私は、2拠点生活により土日は大分の里山で暮らしています。
里山では、住民と一緒に地域づくりにも取り組んでいますが、最初から地域づくり構想を固めてはいません。地域内外の本音の声を聞くことからスターとしています。
また、地元であると言っても口先だけでは誰も相手にしてくれません。
だから、毎週土日には、里山に行き地区の作業に参加し復興作業や農作業の中での対話を繰り返しながらのコミュニケーションをとても大切にしています。因みに、都会からの移住者の方が苦手なのが、地域住民との対話のようです。
昨年はコロナ禍でしたので、古民家に人を集めての対話は実行しませんでしたが、
今年からは少しだけ地域内外の人とのリアルまたはオンラインによる対話により、地域の未来を創造していきます。
私の住民自治実践で心がけていることは、「人を中心にした活動。リアルやオンラインによるコミュニケーションによる対話。楽しくアイデア発散。地域構想づくり。楽しく小さく実践。小さな失敗を恐れずに繰り返し、地域構想を具現化していく。」です。
私の住民自治の実践は数年足らずですが、少しずつ前に進んでいます。
決して先進事例のように派手なことには取り組んでいませんが、創造と実行を繰り返しながら地域力を高めていきます。
地域に関わる多くの人に言いたいことは、
「勇気をもって町中に立ち話し合うこと。そうすれば課題と解決策と実行方法は見えてくる。」です。
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地域の将来のあり方は住民自身が決めるという創造力
地域活性化「33の行動計画」
原です。
私たちは、地域の「活性化」という言葉を聞いたり話しに出したりします。
しかし、地域の「活性化」とはいったい何を意味するのでしょうか。
この「活性化」という言葉は、「地域」という言葉と同様、決して明確に使用されているものではありません。
したがって、その内容を正確に定義的に捉えなければ、かえって地域経済や地域社会の衰退を引き起こすことにもなりかねません。
また、従来の主な地域活性化策と言えば、大型プロジェクトの誘致、企業の進出などがあります。
これは、空港や高速道路、港湾、工業団地のプロジェクト型の開発を図りながら企業を誘致して雇用を創出するという考え方からです。
一方、産業構造の転換や経済のグローバル化のなかで、企業が撤退あるいは規模を縮小し、多くの地域が社会の衰退や持続可能性の危機に悩んでいます。
現代の地域活性化には、地域住人と地域自治体が自ら主体的に地域を創り出していくことが必要です。地域発展の視点に立ち、これまでの地域活性化策を見直すことが必要です。
ここで、私が体感した「地域活性化」と言えるエピソードを書きます。
私の出身地は、大分県です。大分県内で日本の有名観光地に成長した地域に湯布院町があります。今は、平成の合併により由布市湯布院町です。
昔は、鄙びた温泉地で別府温泉の奥別府とも言われたぐらい知名度は低かったです。
しかし、中谷健太郎さんと溝口薫平さんの2人の地域リーダーを中心に、南ドイツの視察やユニークなまちづくりを企画実行し、コロナ禍を除いた近年では年間400万人近くの観光客を集める日本でトップクラスの人気観光地になっています。
また、湯布院町には、地域ビジョン「33の行動計画」があります。
このビジョンは、湯布院町の地域経済団体が作成し提言。その後、コミュニティマート構想モデル事業、商店街活性化に取り組むなど町の総合計画の素案資料になりました。
以前、私は大分県内の地域経済団体で働いていましたが、当時の湯布院町の会長は溝口薫平さんでした。
地域懇談会で初めて溝口会長にお会いした時には、ドキドキしながら「湯布院では33の行動計画を作成されているのですよね?今でも活用されているのですか?」と質問したところ、「今でも活用しているよ」。さらに、「33の行動計画を見てみたいです」とお願いしたところ、「良いですよ、いつでも見に来なさい。」と答えて頂いたことを覚えています。
このオープンかつ穏やかな回答の仕方には、地域づくりを実践し多くの課題解決を乗り越えてきた地域リーダーとしての人間力の大きさを感じたことを今でも覚えています。
多くの地域や組織が多様な地域に視察へ行きますが、果たして視察から学んだことを実行しているでしょうか。ただの観光旅行で終わっているのではないでしょうか。
一方、溝口さんらは、当時としては命がけで南ドイツ・バーデンヴァイラーを視察し個性のある温泉地づくりを学び、個性のある湯布院づくりを実行しています。
また、多くの地域や組織は景観を壊してまでの公共工事に取り組んでいないでしょうか。
一方、溝口さんらは、悪用目的に農地買収する人への対抗手段を考え、景観が壊れないようにと地主に売買しないでくれと説得に回ったこと。地域づくりのために数え切れない程のアイデアや行動を繰り返しています。
このように、地域のビジョンと行動計画を地域経済団体自らが主体的に策定し提言し、計画を絵に書いた餅に終わらせることなく自治体や地域住民を巻き込みながら実行を継続していることが、「地域発展の視点に立った地域活性化」と言えるのはないでしょうか。それが、地域活性化の定義と言えるのではないでしょうか。
地域力の研究
原です。
私の2021年計画の1つには、地域の課題解決を目的に
地域力についての研究と実践の時間を増やしていきます。
私は約25年間、大手企業の研修講師の他、地場中小企業、地方自治体、
商工業や農業団体、起業家などのコンサルテイングや研修講師に取組みました。
また、数年前から地方都市(福岡市)と里山(大分県耶馬渓町)の2拠点生活を過ごしています。
振り返れば、地域社会や地域経済との関わりにより生きてきました。
そもそも地域とは何か。地域の定義は曖昧です。町内や集落のような狭い範囲でも使われます。また、市町村などの地方自治体、九州や西日本などの日本列島上の一区画、アジアなどといった国際的な広がりまで多様な範囲を指して自由に使われています。
しかし、私は地域の原点は、個々の自然条件のもとに存在する「人間の生活の場、生活領域」であると考えます。また、地域の基礎的な単位は、私達が日々生活している町内や集落です。
つまり、日本という国は、国内の多様な地域が積み重なって成り立っています。
一方、生活領域としての地域が日本列島だけでなく地球上のいたるところで積み重なり、国内だけでなく国際的な社会活動や経済活動が働いていると考えます。
日本では、自然条件、歴史的条件、社会的条件などによって多様な地域が存在し、そこで生じている経済上の問題は一見個別的で特殊的なもののように見えますが、経済のグローバル化が進めば進むほど、各地域の地域経済問題に共通する普遍的で一般的な問題が浮かび上がってくる関係があります。
ある地域の個別の経済問題を分析するには、日本経済や世界経済、あるいは他の地域経済と比べながら、問題の一般性と特殊性を導き出すことが必要であるということにもつながっています。
だから、日本の個々の地域や世界の個々の地域の問題と課題解決の失敗や成功を研究することにより、不確実な未来かつ成熟化した答えのない日本の地域課題解決の勘所を体系化していく必要があります。
2021年は、理論と実践の仮説検証を繰り返しながら、地域力をメインテーマにブログを連載していきます。読者の皆様には、引き続きご愛読を宜しくお願い致します。
週末の有効活用
原です。
コロナ禍の2020年を振返り、
新たな取り組みで分かったことがあります。
2020年での私の週末(土日と祝日)は、
大分の里山を拠点に原農園(以下、農園)の再開発と兼業農家に取り組みました。
因みに、平日は福岡市内に在住。
農園は、兄との協働です。兄も専業ではなく兼業農家です。
年間で数えると私だけで作業日数は約100日。兄も作業日数は約100日です。
2人で延べ約200日を週末農業に取り組みました。
農園は、「田、有機JAS茶園、果樹を含む約50種類の野菜畑」です。
合計栽培面積は、約70アール(2,100坪)。
専業農家は、この数倍の栽培面積もあります。
兄と私は、子供の頃から休日には「土壌作り、栽培技術、機械操作、加工技術」などを
両親から実践で学び続けていたので、スキルは専業レベルです。
数年前の豪雨と山崩れにより茶園以外は被害に遭い再開発が必要でした。
農園の課題は、「未来でも安心安全な食べ物を提供する農園の再開発」です。
課題解決に向けて本格的に農園の再開発に取り組み、以下のことが分かりました。
●週末農業で分かったこと
・子供の頃から身につけたスキルは、「頭と体と心」で忘れていない。
・1人では効率が悪い。win-winの協働は必ず必要。
・計画とITと機械をとことん使いこなす。そうすれば、約100アール(3,000坪)なら、
数人の協働で安心安全な週末農業の運営が可能。
・私達の週末作業を見て、地域の他農園も週末農業により食料自給を目指す兼業農家が増えた。
・安心安全な食料は、自分達で作らないと購入は不確実な時代。
・食だけでなく自然や農地との触れ合いは、心身ともに健康維持に必要。
・農園では、何でも作れるし失敗もする。理科の実験のようで知恵がつく。
・食料に目利きがある方達は、わざわざ遠方からトラックで商品を受け取りに来てくれる。
つまり、産地直送ではなく「産地直来」である。産地に来ることを楽しんでいる。
・本当の解決策は、実践による仮説検証の繰り返しから創造できる。
年末年始には計画をブラッシュアップして、来年も週末農業に取り組み課題解決を継続していきます。
世界最高に失敗を恐れる日本人
原です。
コロナ禍の中、世界はこれまでにない先行き不透明な状態にあります。
このような時代を生き抜くには、自分のしたいことを意識して行動できるかどうかです。
自分が主体的に問題解決に取り組むことで、環境の変化に怯えることなく、自ら変化を創り出すことができます。より豊かな暮らしや社会へと変えることができます。
「やりたいことをやる」。それがこれからの時代、会社が倒産したとしても、リストラにあったとしても、どんな逆境に遭遇したとしても、独自に生きていける力になります。
一方、東洋経済オンライン(「世界最低水準」続ける起業小国・日本のリアル)の記事では、「世界一起業に自信のない日本人。世界最高に失敗を恐れる日本人」であることが記載されていました。
これは、起業家だけの話ではなく、会社員や公務員など日本の社会人にあてはまります。
私は、多種多様な企業や組織で問題解決のコンサルティングや研修講師に取り組んでいます。共通して実感していることは、多くの組織人は、型どおりの指示やルールに従うことだけに一生懸命になっています。おそらく、組織の常識を世の中の常識よりも優先してしまうからのようです。
また、参考書などの正解を覚えることは得意な人は多いのですが、仕事や生活上での正解や前例が無い場合は、どうしていいのか分からずに思考停止している人が多いです。
最初から正解はないのだから、自分が解決したい問題テーマを特定して、「こうしたい」というビジョンやありたい姿を描き、解決すべき課題と解決策アイデアと具体的な行動内容を考え、素早く小さく実行することが必要です。
そして、早めに小さな失敗をする。その小さな失敗から学び改善案を考えたら、再度実行する。これらのサイクルを繰り返すことで、問題解決に必要な本当のスキルやマインドが身につきます。
とにかく失敗を恐れる日本人が多いです。挑戦からの小さな失敗は決して悪くないのです。
失敗から学び工夫することで小さな成功を創り出すことで自信が高まります。そして、組織や社会を変えることができる人物へと成長できます。
他人の失敗の批評や他責ではなく、失敗に対してお互いに許容し恐れず自信を持って「社会をより良く変えたい、問題を解決したい」と行動する起業家や社会人を増やすことが、今の日本には必要です。
思考の強化の方法
早嶋です。
ヘンリフォードは「考えることは最も過酷な仕事」というような言葉を残しています。経営している側の人間からすると納得する部分が多く、会社に務めている側の人間からすると、かなり違和感が残る言葉だと思います。
仕事を通じて、違和感があったり、顧客と接するときにその反応から新たな対応を思いついたり。常に仕事を通じてアタマをフル回転していると毎回新鮮な気づきがあり、常にバージョンアップすることができてきます。しかし、そのような気付きの多くは、その瞬間に思考停止に陥り、その思考をバージョンアップして次のステップに進めることは訓練が必要です。或いは、そのような瞬間になっても一切なんの疑問も持たずに考えることすらしない人が殆どなのかも知れません。実際、そんな感じでしょうか。思考とは実に面白いもので、考え始めると止まらなくなり、何も考えないと何も進まない。まさにニュートン力学のようですね。
「全ての物体は、外部からの力を加えられない限り、静止している物体は静止を続け、運動している物体は等速直線運動を続ける。」
ここから言えるように、思考力を強化するための最も単純な、そしてパワフルな方法は自ら考えることなのです。これを聞いて、「なんのこっちゃ?」とい言う方は、思考が常に静止している状態にあるため、大きな外圧が必要な方でしょう。その外圧は、強制的に従来の環境がリセットされ、何も使い物にならない状態に陥ることかも知れません。敢えて自分を学びの環境に入れ、矯正的に学び考える必要性をもたせる事かもしれません。いずれにせよ、思考を強化させるためには結構な環境変化を自分に課して、どうにかして思考を続けない限り、なかなか自走する状態にはならないのです。しかし、一度でも等速直線運動の状態になれば、後は自然となんの外圧もなくしても、勝手に思考に勢いがついていくのです。
思考をする中でよく言われることは「問いの発見」です。そして、その問は、有りたい姿と現状のギャップから見いだされます。有りたい姿が既にある場合は、現状を徹底的に調べれば、必ず有りたい姿と現状において、ある時間軸でのギャップが生じます。そして、そのギャップがずばり問題、自分自身に問うべき問になるのです。もし、現時点で何らかの有りたい姿がない場合、これまでの自分の過去から現在、そして今の環境を過ごした場合の延長上で、自分が行動した場合、どのような将来の自分を獲得するのかなどを鑑みながら、本当にその状態が望ましい姿なのかとか自身に問いながら、将来の有りたい姿をつくり出していきます。将来の有りたい姿を問い続ける、見つけ出す作業は企業で言えば戦略そのものです。ここから先、自分たち、自分たちの組織をどのような方向性に導きだすか?を決める作業ですがから最もワクワク、そして辛い作業の一つになります。
因みに、前者のように既に有りたい姿が見えている場合は、そこにたどり着くルートを探せば良いので、現在問題として扱います。現在問題の場合は、その問いの具体的な意味や、そのギャップが発生しているメカニズムを抑えて解明する中で、自身が取り組むべき行動のヒント、つまり課題がはっきりして来ます。しかし、将来の有りたい姿が見えない場合は、その有りたい姿を創ることから始めることになるので将来問題として扱います。将来問題の場合は、解くべき問を探す前に、導く方向性を見出す必要があるからより行動な思考になることは想像できますよね。いずれににせよ問いを明確にするためには、現在と有りたい姿の2地点をクリアにすることが、まずのヒントになるのです。思考において、この問を自ら問い、その解決に向けて動き、考え、検証する。この繰り返しを行う過程で思考はガンガンに強化されていき、等速直線運動の状態に自らを導くことができるようになるのです。
因みに、この作業は子供の頃は皆、当たり前に行っていた思考です。それが大人の階段を登って行く内に徐々に、本来の当たり前の思考プロセスをだめにされてしまったのです。例えば、考えてみてください。子供の頃は、「なんで?」「どうして?」「えっ、どうなってんの?」という感じで、常に物事に対して一定の好奇心があり、常に「その先を知りたい!」「そのような状態になりたい!」という問を問い続ける思考があったことでしょう。
ですが、小さい頃に、そのような思考のエンジンを強制的に止められる体験を繰り返す中で、考えては行けない。と暗黙に思考を諦める結果になってしまったのです。義務教育という時間により、強制的に自由な思想をカットされたのです。意味の無い数字を繰り返し暗記して、自分で問うことを忘れさせられます。絶対的な権威が与えた一つの解決方法を暗記するかのごとく、似たような類題を同じパターンで早く正確に解く訓練を繰り返されます。誰しもが自由な問をする時間を剥奪され、やがて考えることが悪かのように、そして事前に与えられた一定の範囲内で解を出すことが偉いんだという誤った思考が産み付けられるのです。
「いやいや、それはないぜ!」と本来の思考をガンガン回す脳みそにリセットすることが大切です。論理思考ではゼロベース思考なるキーワードで言われますが、過去をすっかり忘れて、「あれ、なんだろう?」と純粋な気持ちで周囲を観察するだけでOKなのです。そうは言っても、実際は思考が止まる瞬間が多々ありますね。
例えば、子供をみていて、思考する勢いは在るのですが、思考が実際は止まっている場合があります。例えば、思考する対象についての知識や視点が乏しい場合です。当然、そのような状況下ではどうやって調べれば良いか、どうやってその思考を進めればよいかの当たりが付きません。
リベラルアーツの重要性は、そんなときに考えるヒントやきっかけを与えてくれます。人は無意識に全く異なる分野や知識から無理くり探してくるのです。自由になるための学問というナイスなネーミングは、このよな背景が在るのでしょう。私は子供には普段から様々なことに思考を向けさせるように体験させ、知識のインプットも偏りをなくし雑学のようにバラバラにインプットできるように工夫しています。
しかし、これは我々大人にとっても同様の効果がでるのではと感じています。様々な分野の知識や問い、そしてそれを解決する事例をアタマに入れることで、考えが強化されるのです。
次に、問いに対して思考を進める事ができても、答えがわからないというケースも多いに訪れます。その場合のヒントは抽象化です。概念を単純化してシンプルに問う技術を磨くのです。
仮説思考のトレーニングの一つにフェルミ推定があります。これまで考えたことが無い、計算したことが無い、知らないことを、自分の知識を依り何処として、問いを単純化してモデル化して推定する方法です。難しいことを難しく考えるのではなく、単純に、時には大胆に考えることで、とりあえずの答えを自分なりに出します。当てズッポではなく、自分なりのロジックを使って、思考の筋道を残した上でのとりあえずの答えを出します。これを繰り返しながら徐々に前提条件を複雑にして問に対しての思考を深めていきます。このフェーズに入れば常に考えを進めている状態になり、最終的には何らかの合理解にたどり着く可能性が高くなると思います。
最後に最も厄介な状態が、わからないことがわからない状態です。自分が何がわからないかがわからないのです。不思議の国のアリスでは、アリスが地下道で迷っている時にアリスがチシャ猫と会話する下りが有名です。
アリス:私はどこに行けばよいの?
猫:あなたはどこに行きたいの?
アリス:それがわからないから聞いているの。
猫:だったらどうしようも無いですね。
ソクラテスが、街なかで神の真理について探求しているとき、ソフィストと問答をするシーンです。ソフィストは全てを知っているという傲慢さから、ソクラテスの問答にハマってしまい、最後は思考が詰まってしまいます。知らないことを知らなかったのです。
実際、わからないことを言語化できない状態に気がつくととても辛い感じです。しかし、その違和感を持てば、自分から思考を始める準備が整っったと思えば、後は上述した要領でじわじわと考えることをスタートすればよいのです。思考する中で、自分の中に願望が芽生え、有りたい姿が見えてきて、その結果もっと好奇心が湧いてきます。
止まっている物体に外圧がかかれば、後は動き続ける。そしてうまく重力に打ち勝って動き続ける事ができれた思考がまさる状態になるのです。そのきっかけは何でも良いと思います。最終的に物事を追求している人は分野や役割が変わっても、その思考が多方面に応用できるようになるのです。しかし、その状況が続き、最終的には持久戦になる。これをフォードは過酷な仕事と捉えたのかも知れません。
両極端の立場を往復する
原です。
私は、研修講師や経営コンサルタントとして問題解決を思考する立場であります。一方、農薬不使用・有機栽培の原農園を現場でプロデュースする立場でもあります。
このように、思考と実践での両方の立場に立てる視点は、哲学者ヘーゲルが唱えた「弁証法」の考え方からです。
両極端の立場とは、以下のような内容です。
・作り手(メーカー)と買い手(消費者)
・理論と実践
・論理と感情
・抽象と現場
・マクロとミクロ
・自然生態系と経済至上主義
上記以外にも多様な例があると思いますが、両極端の視点を持つことで、その時々で必要な立場に立ってビジネスを進めることができます。
私は多数の企業コンサルティングや研修講師に取り組んでいますが、稀な人を除けば、多くの経営者は社員の立場にはなりきりませんし、多くの社員は経営者の立場にはなりきりません。多くの作り手は消費者の立場になりきりません。だから、両方を経験できることは自分自身の視野が広がるなど貴重な価値となります。
多くの現場の人たちは、理論や概念を学ぶと「抽象的」と主張します。一方、理論や概念化する多くの人たちは、現場の主観的な意見であり「論理的でない」と主張します。
どちらか片方が正しいという偏った考え方ではなく、概念化や抽象的なことと現場での実践という両極端な領域を融合することで、新しいヒントや非常識なアイデアが生まれる可能性があると考えます。
「自然生態系と経済至上主義」を例でコメントすると、目先の利益だけを追求するなどにより自然生態系は破壊され続けています。しかし、今を生きることが精一杯で人生を考えるまで余裕のない人達が多くなっている時代です。当然、自然生態系のことまで考える余裕はないでしょう。オーガニックや食は大切だと言ってるだけでは、本物の食糧は減少し続けます。
一方、私は子供の頃から自然生態系を実践で学んできました。昔の田んぼは「緑のダム」と言われていましたけど、現在の多くの田んぼは、自然の緑が少ない。稲刈り時期には赤トンボも飛んでいないほど自然生態系が壊れています。
だから、私は弁証法の考え方で自然生態系と経済性の両極端を往復しながら、「本物の食糧」を作り食べていく「農のある豊かな暮らし」を実現化しています。
本来の強みとは何か
原です。
今回は、SWOT分析の強み(Strong)についてコメントします。
経営戦略や経営計画を立案する時に、SWOT分析を活用することがあります。
また、国内企業のSWOT分析への認知度は、ある程度は浸透していると思います。
しかし、「SWOT分析ぐらい誰でも知っているよ」と言う人もいるかもしれませんが、
どこまで具体的に知っているでしょうか。
そもそも、「強み」とは何か。特に、「強み」と「良い点」を混同してはいけません。
「強み」とは、同業他社と比較して有利にはたらく、重要な取引条件になっていること。
自己満足の強みではないことがベースです。
だから、社風や職場環境(ベテラン社員がいる、社員が若い、挨拶が良い、事務所や店舗が新しいなど)の良い点をいくら挙げても、顧客ニーズにあった外向けの「強み」でなければ、具体的な業績にはつながりません。
また、顧客が褒めてくれることでも、それが売上や利益につながっていない場合は「強み」ではなく「良い点」というレベルになります。顧客の中には、商品を買ったり利用したりせずに便宜上に褒めるだけの人もいます。
「本来の強み」とは、「機会(チャンス、事業機会)」に少しでも活かせる企業や組織の優位性を極大化させることができることです。
顧客にとっては直接に関係ないことでも、「老舗企業としてこだわっていること。絶対に譲れない商品や思い。」などを活かして、売上や利益の向上など定量的に貢献することができること。それが「強み」と言えるのです。
では「強み」を引き出すには、どうすれば良いでしょうか。
「強み」と一口に言っても、人、モノ、カネ、コトがあります。重要なのは、今後の機会(市場のカタマリやカテゴリー)に使える「具体的な強み」を引き出すことです。
「具体的な強み」を引き出すには、自社内メンバーだけでなく既存客や関係者に直接インタビューして本音を聞き出していくことをお勧めします。
●強みの例文
・主要顧客の信頼が高く、リピート率が競合企業より高い。
・専門知識をもった人材が豊富のため、案件依頼数が競合企業より多い。
・低コスト製造によるコスト競争力が高い。
●私の強み(原の例)
・研修講師:思考系(問題解決思考、論理的思考、創造的思考、デザイン思考、未来思考)をテーマにした研修依頼が多く安定している。
・コンサルティング:グループインタビューにより顧客の本音を引き出すファシリテーション役の依頼が増えている。
・原農園経営:自然生態系を活用した希少な独自農業技術により、高価格でも自社商品を買っていただける熱烈な顧客ファンが増えている。
コロナ禍とその後の時代を生き抜くには
原です。
コロナ禍の2020年5月時点の完全失業者が約197万人、休業者が約423万人というデータがあります。今後も感染の第2波や3波も懸念されるなど数年前に比べ、さらに将来予測が不確実な時代となっています。
最近では、テレワーク導入によりオフィスを半減、またはオフィスを無くす企業。従業員を削減する企業。そもそも仕事がなくなり事業廃止や倒産する企業も増えてきています。これからの未来は、現在とは違う方向に進んでいくことも考えられます。
例えば、以下のようなビジネス環境の変化をイメージしてみました。
・私の経営コンサルタント業界では、オンラインやAIの導入により、既存のスタイルによる研修講師やコンサルティングでは以前のように稼ぐことができなくなる。
・教育業界では、集合教育は減少しオンライン教育が成長する。
・飲食業界では、イートインや飲み会は減少し、ウーバーイーツなどを活用したテイクアウトや自宅での料理による食事が増えていく。
・販売、営業、事務部門がICTやAI導入により、部門のスリム化とスタッフが減少する。
・今まで安定していた企業の社員さんや組織の職員さんも終身雇用は崩壊する。
・新しいことにチャレンジし続けるイノベーターが生き残る。
・一部のモノはお金で買えば何でも手に入るから、自分で作らなければ手に入りにくくなる。
・既存のスキルや理論の習得により「稼ぐ力」を身につけたビジネスパーソンも、さらに「生き抜く力」が必要になる。
コロナ感染2波懸念による自粛など不安な生活が続く現在、自宅でテレワークや巣ごもり対応するだけでなく、第2の人生を切り開くための新たな計画を考えてみることも必要ではないでしょうか。
「3密を守りながらの働き方や生き方とは。何ができるのか。どうすればできるのか。」を考えたのなら、続いて、そのための準備を開始し、試験的に取り組んでいき、少しずつ副業または本業と言えるようにステップアップしていくことが必要です。
誰も守ってくれない、守れなくなる時代。コロナ禍とその後の時代を生き抜く力とは何か。
「テクノロジーで生き抜くのか。グローバルに生き抜くのか。自給自足で生き抜くのか。その他、どのように生き抜くのか。」どんなスタイルであれ、生き抜くために変化する力がなければ今までのように生きていけない時代が、未来から現代に少し早めにタイムスリップしてきたような気がします。
雨水と山の関係から自然災害の問題解決を考える
原です。
自然は恵みでもあり脅威にもなります。
自然は、CO2削減、観光によるリフレッシュ、四季の野菜を育ててくれるなど人々に多くの恵みを与えてくれます。一方、震災、水害、山崩れ、噴火などを引き起こすエネルギーにもなります。近年は、特に温暖化からの豪雨による水害や山崩れが日本各地で発生しています。
今回は、雨水と山の関係から自然災害について考えてみました。
山には、多くの植物が育っておりCO2の削減の働きがあります。さらに、水を蓄えておく大切な働きがあります。しかし、山が荒廃すると川の水が一気に増えてしまうのです。
なぜならば、山に雨が降ると雨水が流れます。木の葉や草にたまった雨水は、そのまま蒸発します。土に落ちた雨水は、地中に染み込んでいきます。山の土の中には、植物の根と土の間のすき間やモグラやミミズなどの小さな生物の通り道など、さまざまなすき間があります。すき間に染み込んだ雨水は、山の木や草などの根から吸い上げられていきます。
しかし、全部が吸い上げられるわけではありません。染み込んだ雨水の多くは、ゆっくり時間をかけて、さらに下へ下へと降りていき地下水となります。地下水はやがて川に流れこみます。
つまり、山は一時的に水を溜め込む「天然のダム」の働きをしているのです。
だから、山が荒廃すると雨が降った時に川に流れこむ水の量が増えます。大雨の時は、土が流されて雨が一気に川に流れこみます。その結果、川の水が溢れ洪水が起こりやすくなるのです。
一方、山の「天然のダム」が全て良いかと言えば、そう単純なことではありません。
なぜならば、私の故郷では3年前の山崩れの原因は、山の地下水(天然のダム)が原因によるものであると、数名の大学教授らの地質研究者チームが調査結果を発表しています。ただし、研究チームは具体的な解決策の提案はできずに、現在も山崩れ付近の地質調査を継続している程、山の地下水の問題解決は難易度が高いのです。
本来の天然のダムの働きは、「一時的」であることが目的です。しかし、ダムの水が溜まり続ければダムは崩壊します。山の天然のダムも溜まり続ければ山崩れにつながります。
つまり、豪雨以外の原因では、山の荒廃が天然ダムの荒廃になり、水害へとつながっていると仮説を立てることができます。
だから、山の木々が天然のダムを形成し雨水を「一時的」に蓄え、溜め込み続けることなく地中から川へ流れるように人工的に手を加えることが必要なのです。
しかし、材木を材料として使用するニーズの低下、外材の輸入、林業の担い手減少、森林組合など森林保全団体の限界など山林再生への動きは低迷状態です。
災害への対策には、政治や行政によるインパクトのある具体的な実行案とリーダーシップが必要です。
しかし、政治や行政に頼るだけでなく、日々の小さな一歩は企業や組織、国民が取り組むべきです。
だから、私と兄らは、故郷の里山の再生を農園再開発だけでなく、山林の間伐作業まで長期計画で取り組むことにしたのです。
文字で表現されているように、田畑だけでなく山のことまで考えなければ「里山」再生とは言えません。
数年前までは仲間を集めて楽しく農園作業に取り組むことを考えていましたが、災害により状況が大きく変わりました。高度かつ危険な作業のため、山や災害のプロフェッショナルらとは連携していきますが一般は募集しません。その代わりに労働生産性を高めるため、機械はフル活用していきます。実用性のあるロボットの開発も課題です。
「テーマ:自然災害への対策」
■あるべき姿:大きな災害がなく、自然の恵みとの共存による豊かな暮らし
■現状:水害や山崩れによる被害が多発
■問題:環境破壊対策や自然を守る活動が足りていない
■原因:経済重視の政策、環境教育の欠如、環境保全への取り組みが目標設定されていても活動が足りていない
■課題:政治、行政、企業組織、国民による環境保全への具体的な取り組み
■解決策
・政治や行政によるインパクトのある政策立案とリーダーシップ
・環境保全への企業や組織、国民からのリーダーシップによる実行と普及
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