早嶋です。
何度かに分けて、これから、或は既に企業のM&A担当者として実務を行っている、或はこれから行う担当者に向けてのメッセージです。協会の取組を紹介しながらも、考え方やとりみ方、そして騙されない考え方や失敗を防ぐ取り組みについて紹介しています。
一般財団法人日本M&Aアドバイザー協会は11年目を迎えます。これまで1,000名以上、130回以上にわたりM&Aアドバイザーの育成講座2日間を開催してる中でM&Aアドバイザーの考え方や実務がかなり変わってきています。11年前、国内においても中小企業が戦術としてM&Aを行うことが当たり前になり、かつその際のアドバイザーの不足を懸念して立ちあがたのが当協会のきっかけです。そのため11年間継続的にM&Aを行うFAの育成とその認知を行ってきました。
一方でここ数年、大企業のM&A担当者の参加が急激に増加しています。受講理由の多くは、「体系的なM&Aの流れを理解把握したい。」です。例えば他社が行っているM&Aの講座は、おおよそ次の通りです。M&Aの実務の流れに沿って、それぞれの担当者や業界の大御所がセミナー形式で話をする。定期的に同様のサービスを提供する組織の講座の研究をしていますが、大枠は同じように感じます。
例えばDDだとその専門家が話し、契約に対しては有名弁護士事務所の所長が話すという感じです。実務を今後行いたい、自分で会社を売却したい、企業の担当者でM&Aの実務をはじめる方にとってポイントの話は理解できる内容になっていますが、全体の流れや筋が分からないという不満が常に出ていることを当初から突き止めていました。我々の講座が受け入れられる理由でしょう。
アドバイザーの役割は全体の流れと勘所を抑え、ポイントポイントは適材適所で専門家と一緒に進め、M&Aの契約を滞りなくまとめることです。その流れと勘所を学んでいただきたい一心で講座を作っています。更に、実際に実務を行うと、話を耳で聞いただけではやはり対応できません。実際に行うと資料が集まらなかったり、思うような交渉ができなかったり、聞いたこともないような概念を言われたりと、常にケースがことなります。そのために会員制度を取りながら、毎月2回定例情報交換会とリアルタイムのケースについてのQAを続けています。あくまでも我々の協会の目的は実務を行う方々を増やすことにあります。
但し、大手企業やはじめてM&Aを行う方々にとって未知のせかいですし、M&Aと聞くだけで構えると思います。そこで多いのが、何となくそれっぽい会社に任せてしまい、言い方が悪い言葉を使えば、丸投げしてしまいます。当然、投げられた方は責任を持って解決するでしょうが、人材の事業と同じ。買いの相談が来た場合は、持っているたまやアクセスできそうな案件を紹介して売買を成立したいインセンティブが強くなるでしょう。売り手のアドバイザーに付いた場合は、売り手の心情をあまり把握せずに売り急ぐこともあるでしょう。しかし、売り手や買い手がある程度M&Aの一連の流れやメカニズムを理解できれば、そのようなことは簡単に防ぐことができるようになるでしょう。
協会の講座を受けて頂ければ、そのような考え方や勘所を抑えて頂くことが可能です。そして実務を迎えるタイミングでは、その勘所が指針となって役立つことでしょう。
‘ファイナンス’ カテゴリーのアーカイブ
M&Aを行う、これから行う実務担当者に向けてのメッセージ、その1
ビジネスモデルから事業計画を描く際の基本的な考え方
早嶋です。
ビジネスアイデアの出し方の極論は、自社(自分)の強みと何らかのチャンスを掛け合わせてアイデアを抽出することでしょう。この考えの基となる概念はシュンペーターの頃なる概念を組み合わせて新しいイノベーションを生み出す話にもつながりますし、戦略の教科書でおなじみのSWOT分析からも分かります。
アイデアがある程度整理できたら、次はビジネスモデルとして成立することを考えます。基本的には価値を生み出す組織と価値に対して対価を払う組織、そしてそれらに付随する組織を整理して、価値と対価の流れを考えます。この概念を絵に表現する技法をピクト図などと称しますが、要するにお金と価値の交換のイメージを整理することで事業価値を提供する側と価値に対価を払う顧客、それからその利害関係をサポートする登場人物を明らかにすることができます。
これらが上手くいきそうであれば、次はビジネスモデルキャンパスなどを使って、価値を提供する側のメカニズムと価値に対価を払う側のメカニズムを整理します。提供する側のメカニズムは、その価値を再現的に生み出し提供できるかを考えます。一方で、対価を払う側のメカニズムは、その価値に対して対価を払う理由を明確にします。市場の規模や価値の合理性を対象顧客が理解することを明らかにするためです。これらの関係が商売として成立するためには、生み出した価値の費用と頂いた対価の差分に対して、提供側に利益が残ることが大切です。そのため、提供側は価値を生み出すための費用を明確にする必要があります。
費用は通常は何もしないでも出ていくであろう費用、価値の提供の回数や量に応じて比例して出ていくであろう費用に分かれます。いわゆる固定費と変動費です。加えて、その事業に新たな投資が必要でしたら別途投資についての議論を加えます。
一方、顧客が支払う対価は通常は提供される価値に対しての単価とその量の積によって売上が算出できます。複数の商品ラインナップがある場合も、ある程度の単価を平均的に捉え、その価値に対してある単位期間、例えば1カ月とか1年とかで区切ることで、単位期間の売上を想定することができます。そのために、ビジネスモデルで考えてた価値と対価の交換を1つのモデルと考え、それが複数回、ある期間に行われることによって売上が発生すると考えるとある程度のモデルを推定することができます。
例えば、コンサルタントとして独立したとしましょう。社員を1名雇い、そこそこの立地条件にオフィスを構えたとします。Webサイトや何かしらの広告宣伝費等なども加味して、月の固定費を50万円とします。話を簡単にするためにオフィスはシェアオフィスで家具等は全て揃っていることにしましょう。その人が1回のコンサル費として5万円の単価をつけたとして、その際の変動費に交通費やその他諸々を入れて20%の1万円かかるとしましょう。
すると一つのモデルで発生する単位当たりの変動費は1万円。単位当たりの単価は5万円。毎月かかる固定費は50万円となります。では、ビジネスモデルで考えた商売が成り立つためには、月に何回程度のコンサルを提供することが出来れば成り立つでしょうか。これはいわゆる損益分岐を探す考え方と同じですね。
例えば、売上は単位当たりの単価UP(Unit PriceでUPとしましょう)に提供した回数Q(QuantityでQとしましょう)の積(つまり掛け算)で求められます。
売上=UP*Q
一方、費用は変動費と固定費に分けられます。固定費はサービスを提供する回数Qに関係なく一定ですのでF(Fixed costでFとしましょう)、変動費は提供する回数Qに比例する費用ですので、単位当たりの変動費V(Variable cost)とすると、提供した回数Qの積VQと表現できます。
変動費=F+VQ
これから上記のビジネスモデルが成り立つときの提供回数は、売上と変動費がトントンになる際のQになります。従って、
売上-費用=0
UP*Q-(F+VQ)=0
上記をQについて解くと
Q=F / (UP-V)
ということで、実際の数字を当てはめてみます。損益分岐となる回数は、
Q = 50万円 / (5万円-1万円)=12.5回
つまり、月に5万円程度のコンサルを12、13回行うことが出来れば50万円の固定費は捻出できることが分かります。が、50万円から社員に給与やオフィスの支払いやその他経費を払ったら、自分の給与が無いですね。そこで固定費50万円に自分の給与100万円を追加しましょう。その場合に成り立たせる回数は、
Q = 50万円+100万円 / (5万円-1万円) = 37.5回
つまり、月に5万円程度のコンサルを38回程度実施できれば給与100万を安定てきにとっても問題ないことになります。もし、これらを実施しようとした場合、1カ月30日の内、実働を20日としたら1日に5万円のコンサルを2回安定的に提供できれば成り立ちますね。
或は月額5万円程度の顧問料を頂いてコンサルを40社程度持つことで対応できますね。ただ、40社を1人で相手するとなると結構大変ですのでアシスタントを1名増やして行うか、単価を上げるかと考えるはずです。
でも、ここでイメージできたように、実際のアイデア⇒ビジネスモデル⇒事業計画にする際に、自分たちが提供する価値を相応の単価を頂いて提供するために、どの程度の回数や数量をこなせばよいか?という数字がイメージできれば、その後のシミュレーションが行いやすくなると思います。
その意味で、はじめて事業をおこなう場合は、先ずは自分たちのビジネスモデルから単位当たりの売上と変動費を大まかに算出して、そこから回数や数量であるQを推定することで、実際の市場規模とマッチするかとか、提供することが可能な数字かなどを議論することができるようになるのです。
是非、起業する際や、社内で新規事業を立ち上げる際に活用してみてはいかがでしょうか?
【動画】買い手経営者が考えるM&A3つのステップ
買い手がM&Aを行う際に、M&Aの前後を含めて3つに分けて整理しています。M&Aは基本的には戦略を実行するための戦術なので、前工程では当然に戦略を整理しておくことが寛容です。目的が明確でなければ案件が舞い込んできた際に価値の評価もできなければリスクをどこまで許容できるかの判断も付きません。そのような買い手に対してアドバイザーは買えない企業、判断できない経営陣と判断して、次に案件が出てきたとしてもより早く的確に意思決定できる企業に案件を持ち込むことでしょう。
M&Aの最中は、案件を探すフェーズとクロージングに向けて交渉や整理をしていくフェーズに分かれます。初めてのM&Aの場合はM&Aアドバイザーと相談しながら進めていくことになります。買い手の場合は、通常M&Aを一度体験すると成長戦略のオプションとして複数回活用するようになりますので、いろいろな意味で経験豊富です。一方売り手は自信の事業を売却する経験は人生で1度あるか無いかなのでしっかりと準備して武装して望まなければ良い条件を引き出せないで終わることも考えられます。
買い手に取ってM&Aのクロージングはゴールではなくスタートです。そのため案件を交渉している途中よりPMIの準備に入るのが理想です。買収した後に、実際のその企業をマネジメントする責任者が基本合意を締結する頃より統合後の計画とマネジメントの準備をすすめます。M&Aを上手に活用している企業は、やはりPMIの手続きも秀逸です。
自分ごととして事業に取り組む
節税に走り、BSを度外視してPLしか見ない。その結果、なにかあった際のキャッシュが手元に無くて、高い手数料と手間をかけて金融機関を走りまくる。保険やリース商品が悪いとは思いません。節税といっても実際は利益を先送りするだけで税金として支払う金額は同じはず。だったら、全うに税金を払った後で堂々とキャッシュを残せばよいのに。と思うことがあります。
起業した当時は、「あの税理士は税金が安いらしいぜ」というような話を沢山聞いたことがあります。でも、真面目に考えると同じ法律の中で税金を安くするというのは極端な話、脱税行為をしていることになります。最も、合法ラインで行っているので節税となるのでしょうが、仕組みを知れば知るほどおかしな世界だと思います。誰の約にも立たないことに時間と労力をかけるよりは堂々と利益を出して税金を払ってキャッシュを残せば良いのにね。と。
企業の経営者と話をしていても、実際にシコシコ経営をされている経営者は少ないと感じます。特に大企業は結局は大きなグループ、系列、同じブランド傘下の企業連合の中で売上を上げて経費を使って利益を出しています。多少は事業計画や投資等は行わないといけませんが、かなり決められた枠内での社長業を行っている社長が多いと思います。
中小企業の場合は、大手のFCや傘下に入り、やはりその大きな枠組みの中で売上を上げて費用を使って利益を出しています。ゼロから自分でモデルを作って、常に仕組みをブラッシュアップしている企業の経営者が意外と少ないと感じたのは最近ですが、肌感覚としてはあっていると思います。なんというか社長と言うよりは皆事業部長程度の仕事で収まっているのです。
そのため本来の意味での事業を知らない、当然に行っていないと感じるのです。国は、大手企業において社外取締役を増やす動きをして企業統治指針の概要を示しています。その趣旨は理解できますが、なんか結局は実業をしたことが無い大人が集まって、勉強ばかり行った人が意思決定した内容にしか見えません。社外取締役を実際にできる役者がそもそもいないし、社外取締役を専任する社長と取締役のレベルが既に低下していると思います。選ぶことができないのです。
社外取締役の仕事は社長の取り組みに対して、Noを言わないで、出来る限り選択肢を示して、こうしたらこうなるよ。という情報を整理する役目です。そして結局は社長が決めたらそれを続ける。ただ、どうしても3年に1回位、これはまずいぞ!となった場合に、Noを突きつける。すると、社長が今回ばかりは社外取締役もNoを言ったぞ、やっぱまずいのかな?的な考えになるので抑制が聞くのです。と考えると、そんな社外取締役が沢山世の中にいるはずがなく、制度は立派なものに見えるけど、やっぱり役者がそもそも不足しているのです。
そう考えると社外取締役を物理的に増やしたところで、なんら解決策にはなんないのかな?と思います。今日本の経営が何となく小さいな?と思うのは、様々な局面において思い切った取り組みをしない人が増えている。つまりはリスクを取り切れていないからだと思います。
例えば、本来数千億円規模の投資が必要な半導体や電気自動車関連の仕事も、ガバナンスの何だかんだでリスクを恐れて数百億の投資で様子をみるようなことをちまちま行った結果、あっさりと隣の国や中国にその覇権を取られることになっています。国の仕事を司っている方々もリスクを取れないので、なにか重要な仕事は大手企業、つまりみんながここは大丈夫だという企業に投げています。当然、そのような企業は自分たちで手を動かすことをせずに、子会社や孫会社に伝言ゲーム状態でたらい回しをして、利益だけ大手が抜いてほくほくしています。そのためやたら受注額が高いわりには、末端にはお金が回らないでしょうもない商品を高単価で買っている現状がもうずっと続いていると思います。
結局は仕事をするにも、仕事をお願いするにも、その人が意思決定できて、ある程度仕事の中身がわからないと強く言えない。そのため強く言える会社と言えない会社でますます2極化が進むのだな、と思うこの頃です。
色々な違和感・・
早嶋です。
サンサンは従業員が交換した名刺の情報をベースに、独自のデータベースと照会機能を駆使した反社チェックサービスをはじめています。確かに、最終的な反社確認などは実際できないとしても、第三者機関を使って全うに反社チェックを行った結果、反社とのつながりがあった。となれば少なくとも企業としては、そのエクスキューズを言うことができます。そういう意味で本質的に防ぐことはできませんが、大企業、特に投資家に対して説明責任がある企業からすると嬉しいサービスであることは間違いありません。
話は変わりますが、節税目的のリース会社で、特に航空機リース等を扱う企業はやはり売上が蒸発しています。しかし、FPGなど大手の数字をみると、それでも利益をまだまだ出しています(FPGをみると去年の9月の売上が266億、今年の9月は127億。それでも今年は18億出しています。)。エアアジア、フィリピン航空、ルフトハンザ、タイ航空等を見ていれば飛行機業界そのものの回復がやはり後1年以上はかかるでしょうから、売上は引き続き厳しいでしょう。しかし、それでも利益が出ているというのは正直すごい、いやいやそもそもがボッタクっている印象すら持ってしまうほどです。
しかし冷静に考えると、そもそも節税を目的にする金融スキームを売る企業が堂々と上場出来ることに対しては少し疑問に思ってしまいます。今回のコロナの影響によって、真面目にコツコツ現金を留保している企業は、その留保のお金で会社を切り盛りしていますが、一方で節税してお金に執着している企業は、あっさりと数千万のお金を実質無金利で調達できてしまう世の中。なんとなく、なんだかなーと思ったりもします。もちろん、皆ルールの上で行っていることなので誰も悪くありません。しかし、なんというか歯切れが悪い感じがするのです。
人は実力以上の現金を手にすると、急におかしくなる傾向があるのかも知れません。しっかりと地に足をついて、自分で出したお金をベースに実業を行ってきた社長がコツコツと成果を出した場合は、その本人の人格がかわり挙動が変わることは少ないです。一方で、虚業というか、私も経営していますがコンサルティング会社やファイナンスの仕組みを使って実業の世界から離れたところで一発大当たりをした経営者は突如として人格が変わっていく姿を結構観察できたりします。もちろん少ない私のサンプル数なので全てを包含することはありません。私の感覚知で語っている範囲の感想です。
それでも今回の一連の給付金に関しても、とりあえずお金を1,000万円以上ひっぱってきてBSを厚くしいてる経営者は多いと思います。しかし数年は無利息無金利ですから、何となくそのお金を万が一のためという理由でプールせずに、不動産を買ったり、別の投資に回して増やすという取り組みをしてしまいます。ファイナンスの考えでは現金を寝かせて置くのは極めてナンセンスなので当然といえば当然ですが、なんかここも行動として違うような気がします。
世の中に対して破壊的なイノベーションを起こす。確実に社会に変革を起こす。しかし、一方で信用がまだなく資金力も乏しい。だから資金調達の一つの手段として上場してキャッシュを確保していた。その資金をベースに更に世の中を変えていくことに邁進する。当然、上場する過程で、付き合う人や関係する企業が変わっていき経営者としてはよりまっとうなアドバイスと資金を手にすることができ、新たな信用を得られるのでより高い確率で企業のミッションを達成するために動きやすくなります。すごく上場は良いしくみだと思います。
しかし、一方で昔と比較して短期的にキャッシュを得ることもだいぶ”簡単”になっています。投資家からすると同じ投資額で利回りが高い企業に資金を投入するというのは間違っていないので、簡単にキャッシュフォ増やす企業に投資をするのは正論です。しかし長期的にみるとその活動はどうなのかなーと思うことも在るのでしょうね。
そういう意味で投資の世界にもESGをベースに投資判断をされる投資家が増えてきているのは、なんか明るい希望の光がみえてきて嬉しいことだと思います。
日本の株価はどこまで続く
早嶋です。
2020年12月7日現在、日経平均株価は26,547円です。一部アナリストの話では3万円台なるワードも飛び交っていますが、私は無いなーと思います。理由はいくつかあります。
まず、PERです。現在の日経平均株のPER(株価収益率)の平均値は25倍程度です。2019年12月末の数字が17.8倍から比較すると今の株価が既に異常に高いということが言えます。というのも2020年はご存知の通りcovit-19の影響で世界の経済は平均2割から3割ダウンしています。確かに一部の企業は突出した利益を出していますが日本全体を平均でみると伸びているというのは言えません。それなのに利益の25倍もの株価が平均とは言えついている事自体おかしな話ですね。
では何が起こっているのかといえば、一つは官製相場になっていることだと思います。政府が主導となり相場を牽引しているのです。政府の財政製作、中央銀行の金融政策、公的金融機関の大規模な取引が相場を牽引しているのです。特に年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の資金運用が金融市場に大きな影響を与えていました。
GPIFは約170兆円を運用する世界最大規模の機関投資家で年金給付の原資を損なわずに増やすために、国内の債権、株式、海外の債権、株式の運用比率をそれぞれ25%程度と定めています。2014年10月に資産配分の見直しを行い、国債を減らしてその分日本株の比率を12%から25%まで引き上げています。今GPIFはクジラと称され日本株式を買い進め株価上昇の一役を担っていると言われます。今年の9月時点でその比率は24%です。
日経平均は11月に入っても上昇が続いていて11月25日に29年ぶりの高値を更新していますが、やはり官製相場としか言いようが無いと思います。一方でそろそれ25%の水準になるでしょうから、今後もGPIFが買い増しをすすめることは無いと思うので、市場の動きと反するような株高は起こりにくいと思おうのです。
先日、27日の日本経済新聞で「にユニコーン企業、2年で倍増」という記事がありました。ユニコーン企業とよぶ創業間もない企業で時価総額が1,000億円を超える企業が500社まで増えたという内容です。単純に起業する会社が増えたというよりは世界的な金余りの矛先に行ったとも考えることができるし、低金利によって高い利回りが見込める企業への投資が結果的に株価を押し上げている可能性もあります。
注目は500社の内訳です。米国が242社で最も多く、次に中国の119社です。日本はわずか4社のみで、ここから見ても日本企業が今後もイノベーションを起こして時価総額を挙げていく可能性は低いのかなと思います。
ということで、現在のPERは既に高いレベル感、そもそもが官製相場でGPIFの買い増しは国内の株式の25%をそろそろ上限に迎えるためそれ以上買い増しが続かない。よって、異常な株価はもう続く可能性が低い。加えて、将来的に日本企業のイノベーションも米国や中国と比較して遥かに規模が小さく、可能性が低い。という3点から日本の株価は上がらない。という考えです。
まぁ、実際は合理的に進まないので、基本的な投資のスタンスとしては積立、分散、長期を神様として短期的な株価の上げ下げは気にしないようにしています。
中小企業M&Aガイドライン
経済産業省が、中小企業におけるM&Aの更なる促進のため、平成27年3月に策定した「事業引継ぎガイドライン」を全面改訂した「中小M&Aガイドライン(2020年3月31日)」の紹介と概説です。早嶋が20分くらいでガイドラインの目的と全体像を説明しています。
また、早嶋が理事を務める一般財団法人日本M&Aアドバイザー協会でも、代表理事の大原、専務理事の松原、早嶋の3人で少し詳しく「中小M&Aガイドライン」についての紹介と解説をしています。
ーー以下、経済産業省のWbページより抜粋ーーー
後継者不在の中小企業にとって、M&Aを通じた第三者への事業の引継ぎは、事業承継の重要な手法の一つですが、中小企業経営者の中には、M&Aに関する知見を有しておらず、長年経営してきた自社を第三者に「売る」ことを躊躇する者も存在します。また、中小企業におけるM&Aが円滑に促進されるためには、仲介業者や金融機関などのM&A支援機関が、適切に支援を実施することが重要です。
こうした現状を踏まえ、経済産業省では、昨年12月20日に策定・公表した「第三者承継支援総合パッケージ」に基づき、平成27年策定の「事業引継ぎガイドライン」を全面改訂し、「中小M&Aガイドライン」を策定しました。
ーーー
中小M&Aガイドラインは3月31日に国から出されたガイドラインです。
CLO
早嶋です。
2008年のリーマンショックの年、米国では政府系の会社が金融危機で国有化されリーマンブラザーズが破綻しました。当時のローン担保証券で借金を束ねて新たなカタチのデリバティブが金融筋では「やばい」となりました。結果、株価が急落して「もうだめだ!」という状況が蔓延していた状況を思い出します。その後リーマンブラザーズが発行していた債権保全のための発行会社であったAIGが破綻に追い込まれ、借金漬けの金融の弱さが一気に広がったのです。
米国株の記録的な弱気相場。コロナ危機が発端ではあると思いますが、今回のガンはローン付き担保証券であるCLOでは無いかと思います。CLOは各付けが低い企業の融資をまとめて取引するローン担保証券です。これらの担保付き証券はKKRやカーライルといったプライベートエクイティ(PE)が多く手掛けており、彼らの投資案件の資金源にもなっています。
リーマンショックの時もそうですが、常に世界は借金漬けで投資家はだましだましゲームを繰り返しているようです。従って投資家は景気が悪化するサインには常に敏感で、仮にそのタイミングがきたらCLOの購入には慎重になります。結果、銀行はローン自体を抑制せざるを得なくなります。その結果、上述のPE会社は借り入れコストが跳ね上がるので、相当数のディールが減少します。
ロイター社の記事によれば米国のCLO市場は2012年以降2倍以上に成長して6500億ドル規模を誇ります。そしてJPモルガンの見立ては2020年中に発行残高が1兆ドルを突破すると予測していました。
きっかけは思わぬところからやってきたのです。コロナです。常に借金漬けなのでリスクを感じながらも金融は動いていました。当初から米国の景気後退懸念や経済を巡る全般的な不安感などが募り、投資家がCLOに対してもっと高い利回りを要求する懸念がありました。そうすると、CLOの新規発行はやがてとまります。
同様に格下げも厄介です。CLOの設計上、ある一定の格付け資産が含まれると評価の仕方が異なってきます。通常は原資産のローンを額面で評価しますが、一定の格下げがくれば資産の時価評価が求められるようになります。当然、時価は額面を大きく下回ります。そのためCLOの資産評価が目減りくらいの企業の格下げが非常にリスクなのです。
過去スタートアップの会社がとてつもない倍率で取引がされていましたが、金融筋は資金を集める手段があったのです。負債を使って成長を加速させる。それがすごい勢いで成長してユニコーンなどの言葉が出てきました。しかし物理原則の基本と一緒で高い倍率はいつかは低くなり元に戻るのです。そのきっかけがコロナでハイルート債であるCLOが影響している。と思うのです。
一度マイナスに動き始めたら止めることはできないと思います。状況としても長引くでしょうね。不要不急の投資は控えられるでしょうが、本当に価値のある付加価値のあるものは当然に継続的な投資の対象になる。その結果、社会はまた新たな世界になり変化していく。そして、何らかの仕組みが作られ借金での成長はまた違う姿ではじまる。学習をしているようで学習していない。規模が大きすぎて小さい会社はどうにもならない。こことしての力と信用を継続的に構築して一定のリスクヘッジをする。このあたりがやはり大切になってきていることが証明されますね。
成功報酬
早嶋です。
成功報酬での仕事は、成約した際の金額はそれなりに十分な対価を頂きます。その反面、成約しない場合は双方に取って大きな痛手です。クライアントは目的達成が出来ませんし、コンサルは報酬を受け取ることが出来ません。互いに、成功に向けてジカンという資源を最大限に活用していますがそのリターンが得られない結果です。
当然、双方とも仕事を始める前に十分に互いの契約内容に理解を示した上での契約ですから、その結果がどのように終わろうと互いを攻めることは出来ません。
M&Aの業務は、特に案件規模がそこまで大きくない場合は成功報酬で受ける場合が多いです。売却側のアドバイザーについた場合、売却出来ないクライアントは、経営不振に元々陥っている可能性があるので、成約出来ない場合の状況は想像の通りです。従って、アドバイザーも闇雲に契約を結ぶことは割けますし、明確に伝えることが正義だと思って仕事をします。
近年、M&Aの話題は何かすごく良い一手のように多方面で書かれています。しかし、ハッピーリタイアでの売却は以前と少なく、経営不振を補う一手として、苦肉の策として売却を決心する売り手が以前として多いです。
だからこそ、正直に現状を把握した上でクライントと向き合う一つようがあるのです。また、仮に契約して互いに業務をスタートした場合、クライアントとアドバイザーの関係は対等であるべきだと思っています。どちらも上や下という概念はなく、チームとして進める。
案件を整理してノンネームシート等で営業活動を行います。近年はWebでの告知が進み、プラットフォームなども整理されてきたので通常の案件化できるものであれば反応は一定数は戻ってきます。しかし、ハッピーリタイアでオークション形式でも問題無いような良質な案件はほとんど無く、多くが難しい課題を抱えたままの状態で案件化しています。
そのためアドバイザーとしては、そのつどの反応に一喜一憂など出来ません。基本合意を締結して、買い手の買収前調査(DD)を終え、そこから怒涛の如く浴びせられる質問と要求を整理して交渉をまとめていく。そして最終合意を締結してクロージング要件をすべて満たして着金を確認する。その瞬間までは緊張が続きます。
アドバイザーはボランティアで行うのではありません。仕事として行います。交友関係が仮にあったとしても、FA契約を提携した以上は互いにパートナーであり、それ以上の関係はありません。厳しいように言われる分もありますが、それだけ互いに真剣に仕事をしていても成功しない場合もあるのです。
ただ、どのようなときであれ、互いをパートナーとして認めねぎらう気持ちは大切だと思います。成功しても、失敗しても、結果がどうなれ、アドバイザーはこれでもかというほどクライアントのことを考えて仕事をしています。従って、そこにココロがあることが大前提なのかなと思います。
買い手が積極的に買収を行うためのはじめの一歩②
早嶋です。
前回は、アプローチするところまでコメントしました。例えば、ショートリストを作成してもどうしてもアプローチできない企業が1社、もしくは2社あるとします。その場合どうするか?という質問です。
様々なに検討、あるいは試した結果、答えは結構シンプルで、買い手の社長からコンタクトしてもらう。です。当然、いきなり御社を買収したい。という内容はNGでしょうが、提携を視野に一緒に仕事をしたいので一度話を聞かせて欲しい。といいうように真摯に相談を持ちかけます。
もちろん、秘書室などの電話番号やメール等は確認できるでしょうから、実際にそちらにかけることで相応の人に連絡は付きますよね。当然、将来の売り手企業も、相当の企業の代表から電話がああれば、それは本当か?となるでしょう。
そして実際に、トップ同士の話が進めば、当然にその後はM&A担当の役員なり責任者が相手の状況やこちらの戦略などを共有しながら将来を見越した提携などの話から、徐々にマイノリティー出資などに持ち込むのです。
この場合、買い手企業がある程度その業界や売り手企業からしてネームバリューがある必要がありまあす。規模が小さい会社ではあまり役に立てませんが、そこそこの規模の会社やニッチな業界で著名な企業であればアドバイザーを使ったコンタクトよりも結果的にスピード感が増すのです。
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