早嶋です。
激変する自動車業界についてジョブ理論を通じて整理しています。内容は自動車業界のMaaSにおける変化についてです。CASEのうち、従来、環境目的のE(電動化)と、従来、安全目的のA(自動化)が『コンニチハ』することで、『あれあれ?』となり、車業界に大きな変化をもたらすきっかけになりました。そして車がネットワークにC(接続)することで、結果的に、車を中心としたアリとあらゆるサービスを統合しよう!というMaaSが本格的にイメージできるような昨今になっています。
従来の車屋さんが車を売ること、つまりビックハイアで稼いでいた時代が終わり、車の購入後、或は、車の利用におけるリトルハイアにフォーカスする時代に大きく変わります。従来のメーカーは、自分たちを『製造する人たち』となずけている通り、顧客のIDや、顧客がどのように使用しているかには興味がありません。
ここに車が電子仕掛けになった瞬間、ネットワークにつなげた瞬間、自動化が出来るようになり、ウーバーやDiDiのようなスマフォベースに顧客IDを武器に分析整理活用する企業が一気に覇者になる時代がすぐそこまで見え隠れしています。
近い将来、車の所有は一部の金持ちか、趣味趣向の延長で、今の高級機械式時計のような位置づけになると思います。すると、従来、個人が車を買うことを前提に構築されたビジネスモデルや道路や駐車場の想定がガラリと変わります。個人の家やマンションに電気仕掛けの充電器を提供したい企業も、個人に損保を提供したい企業も、個人の洗車をせっせと行っている企業も、あっというまに自動運転車を沢山保有する企業や資本家とスマフォベースの会社が、従来の事業モデルをぶっ壊して、牛耳る可能性が出てくるかもしれません。
ただ、一般消費者の我々としては、よりMaaSの恩恵を被ることになり、豊かな社会を過ごせるようになると思います。
‘マーケティング’ カテゴリーのアーカイブ
激変する自動車業界をジョブ理論で整理
アマゾン、大丈夫?
早嶋です。
アマゾンの利用は、本の利用から日用品まで私的には拡大しています。しかし、一方でアマゾンをプラットフォームとして販売を行う業者も増えているため、初めて買う商品は時として選択に迷いが生じます。そしてその際に評価を参考にするのですが、正直当てにならないことが多々ありました。そのような場合、多少値段が高くてもナショナルブランドの商品を購入します。そこで、商品によってはアマゾンを使わずにヨドバシカメラで購入するなど無意識に使い分けていることに気が付きました。
よくよく考えると、アマゾンが提供する商品とアマゾンがマーケットプレイスとして提供している場に業者が出品している商品の内、後者のマーケットプレイスの商品がぐたぐたで質が明らかに悪いのでは無いか?と思うのです。
これって長期的な視点で見るとエンドユーザーが離れる結果にならなにのかなと思います。アマゾンは業者さんに対して商品販売の機会を提供していますが、エンドユーザーにとっては結果的に使いにくい媒体になりつつあると感じるからです。
マーケットプレイスで商売を拡大したいのであれば、その先のエンドユーザーの事も鑑みなければ、そのうち他の媒体に購買が移るのでは無いでしょうか。
仮にその危機感があれば、例えば業者の選定や商品の品質についてのチェックを強化する、あるいはコメントや評価の裏とりなどもなにか工夫するなどの取組が見られてもよいですが、今の所、その誠意は感じられません。
整理するとアマゾンの品揃えを増やしているマーケットプレイスの商品は、レビューの信憑性が低く、出品も自由なため、今後も改善するどころか劇的に悪くなると推測します。商品説明を見れば明らかに悪質な業者なんだろうな?的な企業が平気で商品を販売できるということ自体、アマゾン大丈夫か?と感じるのです。
おそらく同じことを感じている人は、アマゾンのプライムマークの商品以外は見向きもしない人だと思います。私も基本そうなのですが、あまりにもマーケットプレイスの商品がありすぎてグタグタ感が否めません。
プライム商品のみ買えるというような選択があればまだましなのですが、と今日もアマゾンを使っていて感じた次第です。
飲食店の電話対応
早嶋です。
ネット社会になっても電話による予約の確認は飲食やホテルなどは結構多いと思います。中でも飲食は、ネットで調べて「行ってみたい!」と思うと、その場で電話する方が多いのでは無いでしょうか。
例えばランチ時間に、近くで検索して空いているかを調べたい。夕食のタイミングで入れるか知らべたい。週末の予定を立てている時に予約を取りたい等々です。
一部はWeb対応をしていますが、レスポンスが遅いものがほとんどで、その場合直ぐに次の候補の店にスルーします。
と考えた時に飲食店の電話対応って、結構重要なコンタクトポイントだと思うのです。しかし飲食店はその重要性を理解していないように感じます。特に客単価が高いお店であっても、未だにコンタクトポイントを無視して、店内の設えと料理そのもので勝負をしようとしています。
電話のタイミングを考えると、結構多忙な時期だと分かります。ランチ前や夕食前は仕込みをしている、開店前の準備をしている。ですが、顧客はそのタイミングで飲食店に連絡します。結果、オーナーや女将相当の方が電話に取ることが少なくなり、従業員やバイト・パートが電話対応をします。本人に悪気は無いのでしょうが、レスポンスややり取りが悪く、結果お店の印象が悪くなる。そしてスルーする。という経験は多くないでしょうか。
もし従業員やパート・アルバイトが電話を取る機会があるのであれば基本的な対応や受け答えのレクチャーをするか、或いは電話に取らせないか。要は中途半端な対応が結果的に次のリードを消している可能性があるのです。
ポルシェの環境事例・911
早嶋です。
「新品を今買うか、新しい技術が普及するまで購入を伸ばすか?」このような問いを持つことは無いでしょうか。今、世界を取り巻く自動車環境は電気自動車への移行時期です。しかし欲しい車はガソリンエンジン。今買って乗らなくなった頃のリセール・バリューを考える頃には、二束三文になっているかもしれない。ということで購入をためらう経験です。
スポーツカーの代名詞911。それを世の中に送り出すポルシェは、この取り組みに対して正面から取り組み解決策を提示しています。従来のガソリンエンジンは、化石燃料由来の燃料ということでCO2の排出に大きな影響を与えた。しかし、既に走っている自動車を電気自動車に置き換える過渡期において、走れる車をスクラップにして新車を普及させることもナンセンス。そう考えたポルシェは、既存の911オーナーに対して新たな環境技術で脱炭素を後押しするのです。水素から「ガソリン」を生成して提供する取組です。
(水素ガソリン)
ポルシェはドイツのシーメンス・エナジーなどとタッグを組み、チリ南部パタゴニア地方で風力発電を活用した水素ガソリンのテスト生産をはじめます。生産地のパタゴニア地方は常時風が強いことで知られ、南半球で偏西風が吹く唯一の陸地です。その風はアンデス山脈にぶつかり、冷やされ、密度が高くなったアンデス吹きおろしの風は風力発電にも最適なエリアとされます。
風力発電で得た電力から水を電気分解して水素を取り出します。そこに回収したCO2を化学的に合成することでガソリンと同じ炭化水素(水素ガソリン)を作るのです。
今回の初期投資は2000万ユーロ、日本円で凡そ26億円です。計画では22年に年間13万リットルを生産し、26年には約100万台分の5億5千万リットルを生産します。生産した水素ガソリンは既存のガソリン車に使用できディーラー等を介して既存ユーザーに直販するのです。
課題はコストです。テスト生産では1ℓ当たりの生産コストが10ドルで、26年の量産時期までに2ドル以下をターゲットにしています。ガソリンの生産から輸送、販売コスト、税金等を考えればオーナーが購入する小売価格はやや高くなるでしょうが、911を中心に特別な顧客にとって、既存のガソリン車がこれからも乗れるのであれば合理的な提案となるでしょう。
(911)
1964年の発表から今に至るまで、スポーツカーの代名詞でもあり、ポルシェのフラグシップモデルです。一貫してRR方式(リアエンジン・リアドライブ方式:車体の後部にエンジンを配置し、後輪を駆動する方式。駆動するタイアに重荷が大きく、発進時の機動が機敏になる。またブレーキ時も4輪にかかる荷重がバランスされ安定した走行を実現するとされる。)を基本として、21世紀の現在では量産RR車として独自のポジションを構築しています。
1990年代までは4輪車では数少なくなった空冷エンジンを搭載していたことでも有名で、時代によって多少の変化はあるでしょうが基本的なデザインは不変でポルシェの代名詞になっているのです。
更に注目するのはその利益率です。911の販売は2020年の販売ベースで3.4万台とポルシェ全体の約1割程度です。販売車種としてはカイエンなどのSUVが伸ばしていますが、911が稼ぐ利益はポルシェ全体の3割を占めています。ポルシェオーナーは大切にポルシェを乗り継ぐことから、過去生産されてきた911の7割は今でも現役で世界を走っています。
代名詞で稼ぎ頭、生産された7割が現役の911。これをテクノロジーが変わるからと言って全て電気にシフトしてね。というのはやはり大きな課題だったのでしょう。そこを水素ガソリンの生産から供給というエコシステムを独自でつくり911オーナーを中心に提供する取組を開始したのです。
他方では、ポルシェはEV化の商用も進めています。20年に投入したセダンタイプのEVであるタイカンは年間に2万台の販売を実現して、現在でも注文過多でフル生産を続けています。23年以降は売れ筋商品のSUVのマカン、カイエンとセダンタイプのパラメーラのEVシフトも計画しています。ポルシェは2030年の新車販売の8割をEVにする計画です。
ポルシェの取組は、既存の911を中心とするガソリンオーナーの将来の悩みを解消するばかりではなく、水素ガソリンを活用することでカーボンフリーの取組を推進するという素晴らしい発想で事業を進めているのです。ガソリン車とEVの共存。利益率の高い911を水素ガソリンで維持するが出来れば、環境対応と事業の両面の帳尻も合うのです。
(購買後の取組)
SDGsと環境と両立する社会が求められる中、多くの日本企業はいまだに逆行した行動で成り立っています。大量生産を進め、商品アイテム数を拡大、在庫を抱え、まだ使える商品に対してリプレースを促進する。その中で利拡大を得る高度成長期と変わらないビジネスモデルです。
マスク、ファーストフード、冷食、食器や家具など日常的に使う商品から、家電や車や住宅を見渡しても、どこか「使い捨て」の感覚が色濃く普及しています。もちろん経済を合理的に回す、衛生に保つ、コストを下げて提供するためには必要な面もありますが、過度な安全、安心、コスト安の日本は本来持った文化的側面と思想を壊す側面もあるでしょう。
一方で昔の日本は、モノを大切に使うことが当たり前でした。茶碗や漆器や着物などはそもそも高価なもので、複数所有することなく、大切に修理して世代を渡り使用されてきました。継ぎはぎや金継ぎなどの技術はモノをただ大切に使うことに加えて、修理して修復することでむしろ価値を上げる粋な技でもありました。
私がスイス機械式時計ブランドを創業したきっかけも、まさにモノを大切に使う文化を取り戻すことでした。スイス、フランス、ドイツ、イギリス。街中を歩けば古い商品が大切に修理されてリセールされています。モノに対しての価値は、新しいものよりも使用した歴史あるものに対して一目置く文化が今でも生活にのこっています。沢山所有することなく、自分が良いと思ったものを長く使い続ける。機械式時計は200年前の技術をベースにスイスの職人たちと手作業でつくっていきますが、文明が途絶えても、同じ部品を削り出し、組み立てることで後世でも継続して使用できます。
クリステンセンが主張したジョブ理論の中で購買後の使用にフォーカスする、リトルハイアの重要性があります。企業のビジネスモデル自体、売ることをゴールと捉えるのではなく、販売することをスタートと捉え顧客と関係構築を行い、その後の商品の使用やサービスの提供の中で顧客が問題を解決していく。そこに注目すると自ずと顧客との関係性が高まり永続的な事業につながっていきます。
ポルシェの革新的な取組は最新のEV技術を推進する中で、既存のガソリンエンジンがそのままの形で後世でも使用できるビジネスモデルを考え実現しているところにあります。誰でも思い付くことができるアイデアかも知れませんが、実際にテストマーケティングを行いながらその構想を示す。
確かに911はポルシェを象徴するアイコンです。利益率が高くても販売が続き、過去の販売者の7割の車が今でも現役であることを捉えると、それだけ多くのオーナーがこよなく911を愛しているのです。そこに対して正面から環境対策に取り組み、911のオーナーはそのガソリンまで気遣っている。将来的にはそのようなキャッチが浸透することが目に浮かびますね。
(提言)
さぁ、今911の購入をためらっている皆さん。臆せずに買いましょう!
マーケティング関連の書籍
早嶋です。
マーケティングについて学びたい。もっと深堀りをしたい。というような問い合わせや質問が多くありますので整理します。結論を言えば、最新の事例は本屋さんやWebで常にチェックをしつつも、基本的な考え方を軸に自分なりの理論や理屈に落としこむことが大切です。そしてできる限り自分自身で顧客としての体験を積むことです。いろいろや商品を実際に購入して体験する。そしてどのように感じるのか、提供側がどのような仕組みを考えているのかを1次体験として確認することも重要です。コンサルや企画職としてのマーケティングを行う場合は、言うだけで実際に行わないので、可能な限り実験をしながらブラッシュアップする感覚も欲しいです。そのため小さな事業で良いので実際にお金を投じて自身の商品をマーケティングすることもおすすめです。
ここまでで、
1)最新の事例は最新の書籍やWebを定期的にチェック
2)基本的な理論や理屈を理解しておく
3)2次情報に加え、実際にお金を払って顧客体験を積む
4)トライ&エラーで学ぶことが多いので自分でマーケティングを実践する
ということを記述しています。
上記において、3)と4)は難しいだろうと思うかもしれませんが、自分なりに工夫して考えて実践し続けてください。ここでは2)の基本的な理論や理屈を整理する上で把握しておいた方が良いポイントを紹介します。本自体の紹介ではなく、なぜそのような知識を身に着けておいた方が良いかの解説です。
基本的な理論
マーケティングの基本的な考えたかを身につけるためには、MBAなど経営大学でマーケティングを専攻する際に使用されているテキストを理解することが最も近道です。ただし、数学の勉強と同じで全体像を理解しないと細かい内容が把握でいないので、このようなテキストは辞書感覚で他の図書を読んでいる際に、都度調べる感覚で、一気に読んでも流れが把握出来ません。
辞書的な活用
コトラー&ケラーのマーケティング・マネジメント 第12版(フィリップ・コトラー)
流れを把握する目的
グロービスMBAマーケティング
マーケティングの基本は、環境分析をしっかり行った後に、市場を自分なりに定義して(セグメンテーション)、そのセグメントの中で顧客を絞り(ターゲティング)、同じような競合との位置づけを明確にする(ポジショニング)です。そして、そのSTPを軸に商品、価格、流通、販促などの戦術を行うこと。更に、販売後の取り組みにフォーカスするためにCRMの導線をしっかりと描くことです。
加えて法人企業でマーケティングを行う場合は、法人企業特有の考えを理解することが必要です。個人は個人の目的を達成するために商品を購入しますが、法人は属している組織の目的を達成するために商品を購入します。そのためマーケティングを考える以前に、ターゲットが属している業界についての理解や組織の中の理解が大切になります。深く行う場合は、戦略や組織マネジメントなどの知識がなければ理解が難しい分野で、書籍としてもあまりまとまったモノがありません。分野が広くなるので、書いても売れないのです。もし書店で見つけることが出来たとしても、法人営業にフォーカスした内容が殆どでしょう。
法人マーケティングを理解する目的
戦略的産業財マーケティング: B2B営業成功の7つのステップ(笠原英一)
法人営業のアフターセールスの仕組みを理解する目的
THE MODEL(MarkeZine BOOKS) マーケティング・インサイドセールス・営業・カスタマーサクセスの共業プロセス(福田康隆)
マーケティングを実施する際に術としてITを活用します。2000年代の理屈理論は理想論でしたが、近年のスマフォやIoT等を活用してビックデータを武器として活用することでマーケティングの考え方は大きく前進しています。それでも企業が顧客のことを知りすぎるということでGAFAMあたりがデータの活用に対して制限をかける取り組みが進んでいるので、ベーシックな取り組みは自分たちで行えた方がベターでしょう。何れにせよテクノロジーのっキャッチアップは適宜学ぶ姿勢が正解だと思います。
消費者の心理をマーケティングに取り入れる視点を得る
消費者行動論―――なぜ、消費者はAではなくBを選ぶのか(平久保仲人)
顧客の購買理由からアプローチする発想
ジョブ理論(クレイトン・クリステンセン)
実践ジョブ理論(早嶋聡史)
価値について再考する一冊
リ・ポジショニング戦略(ジャック・トラウト)
高級品を理解することで日常のマーケティングの視点を得る
ラグジュアリー戦略 新のラグジュアリーブランドをいかに構築しマネジメントするか
(ジャン=ノエル・カプフェレ、ヴァンサン・バスティアン他)
消費財メーカーを中心に既存顧客からマーケティングする方法を学ぶ
たった一人の分析から事業は成長する 実践 顧客起点マーケティング(西口一希)
デジタルマーケティングの基本や今後の可能性を理解する
D2C「世界観」と「テクノロジー」で勝つブランド戦略 (佐々木康裕)
そのアンケート自分でやってみた?
早嶋です。
ネット上で商品を注文する。そしてその商品が届いて使用したタイミングでアンケートが届く。基本メールで行っているので一連の流れを機械的に行っているはずだ。しかしたまに、以下のような項目を入力する必要があり、せっかくアンケートに答えるというボタンをクリックしたにもかかわらず、アンケートの回答を以後断念する。
例えば、
・旅行に行った際の予約番号を入力(①)
・旅行に行った日時を選択(②)
・等々だ。
上記の①と②は全くもって理解ができない。ネット上のコンタクトポイントで商品を発送した、或いはサービスを提供した日時は確定しているであろう。であれば、上記の①や②を聞き出すのはナンセンスだ。特に②はまだしも、①に関してはわざわざ予約した際のメールなり確認書なりを見なければ番号なんてわからないからだ。
仮に個人情報を取っていませんよ。となればタイミングよくメールを出している時点でアウトだ。アンケートまでの設計をするのであれば注文時にアンケートに答えて頂くために、情報を活用する旨を確認すればよい話。
ではどうして上記のようなことが起こるのかいくつか整理してみた。まずは、個人情報等の取扱が原因。もしこれが原因であれば対象方法はいくらでもある。要はアンケートを実際に答える側が本質的な問に対しては別として、答えたのにもかかわらず途中離脱しないか否かまで考えれば良い話なのだ。
部門最適が原因。企業が大きくなれば、商品の開発設計、商品の販売、販売後のフォローやメンテナンスなどと言った仕事の流れ、いわゆるバリューチェーンごとに異なる組織が対応している。このこと自体は悪くない。それは方針であり戦略だからだ。しかし、やはり販売することに重きを置く文化は、「アンケートは取っとけ」程度しか思っていないのかもしれない。当然に、アンケートをどのように活用するのか?は開発や設計、或いは販売に対してフィードバックして、組織全体でのフィードバックの活用が前提である。が、おそらくそのような発想もなく、単にアンケートを作るという目的に満足しているのではないだろうか。
自分で体験したことが無い。そして意外かもしれないが、実際の一連のサービスを自分たちで体験していない可能性だ。通常は商品をリリースしたら、その購買前、実際の購買体験や使用体験、そして企業が関わるコンタクトポイントの一連の流れを体験して、製品やサービスの不備や過不足を第三者によって確認するものだ。すると提供側ではなく、購買側の普通の感覚でのフィードバックが返ってきて、「ってか、アンケートする際に①を入れるとした時点で手間じゃね?」というごく当たり前のフィードバックが返って来ただろうに。
ソリューション営業のまぼろし
早嶋です。
ソリューション営業を標榜している会社の営業と話をしていてつくづく思うことがあります。営業の多くが営業をしていない。もっと言うと提案を一切していない。ナショナルブランドの商品をグループ傘下や関連会社に持っていき、先方の返事を伺いに行くだけの行為。勿論、その行為がなければ数字はあがりませんので役割を果たしています。
しかし会社は物売りを脱却しろといって10年以上経過している。営業の現場、特に古参に伺うと「俺たちは昔のやり方しかできない・・・」という決まり文句。1年で提案営業に切り替えることができない営業は基本できないのかな?というのが10年以上関わらさせての結論です。
その場合の会社の方針とは、従来のモノ売り営業部隊とソリューション営業の部隊を切り分けるのはどうでしょうか。物売りはアクではなく確実に会社に一定の影響を提供しますので必要です。しかし、ここにポテンシャルを感じて投資をしてソリューション営業に昇華させよう!という発想は若干甘い。多分変わらない。と思うのです。であれば、ソリューション、つまり相手の勘所を把握して、共感して、相手より相手の商売を理解しようとして提案できる人材を別のところから調達して部隊を新たに構築したほうが早い。という結論です。
ソリューションの定義は、相手が何に困っているかわからない。従い提供側も何を提供すればよいかわからない。この前提からスタートしいます。しかし相手は何らかのモヤモヤがあって、そこを払拭したいと思っている。だからと言って、思いっきりそのことをリサーチしているかと言えば違う。もしそのような組織であれば営業が訪問する前に、既に自分たちから候補をピックアプしてコンタクトしているからです。つまり、ごく僅かな企業はソリューション提案などがそもそも不要で、その他大勢の企業がもんもんとしているので、そこがターゲット。だが、相手が何を求めているかがわからないから、提供側が相手の状況や方針を聞き出しながら、整理しながら、何となくのモヤモヤを整理してギャップを埋めることが大切なのです。それらが出来る人材はきっと、一昔前の物売り営業と違うと思うのです。
企業の教育に携わっていますが、IT人材のように一部の営業人材が多くの売上を構築できる。という時代になっています。それであればtheモデルのように営業を細分化して、従来の物売り営業は契約を取りに行く役割に徹しいただき、提案は別の部隊で行うなど、そもそもの営業に関するイノベーションを起こしても良いと思います。
いかがでしょうか。
【動画】法人マーケティングの基礎
ビジネスインプット基礎講座、法人マーケティングの基礎の紹介です。
法人マーケティングの基礎では、組織を対象に事業を行う際のマーケティングの基本的な考え方について整理します。法人マーケティングでは対象が組織(企業、政府機関、自治体、他)のため、購買活動における意思決定の複雑さ、組織的な販売後のフォローの重要性の2つの特徴を理解した上で、手法を整理していきます。全部で約136分の動画です。
①特徴
マーケティングの基本的な流れを確認した後に、法人マーケティングの特徴を理解します。その後、次回以降に学ぶ法人マーケティングのポイントについて全体像をみていきます。約28分の動画です。
②KBF分析
法人が購買する理由は、自社組織が掲げた戦略を実現して長期的な利益をより得やすくするためです。そのため法人は明確な購買理由を持ち合わせますので、これらを総合的に分析して提案することがポイントです。約30分の動画です。
③2段階セグメンテーション
提案する相手が組織ぐるみで複雑に意思決定をします。そこでB2Cと異なり、セグメンテーションを行う際は2段階で行います。1回目のセグメンテーションと2回めのセグメンテーションの考え方をみていきます。約17分の動画です。
④ステークホルダー分析
法人顧客に効率的に提案をすすめるためのステークホルダー分析を考えます。ステークホルダーの特徴と思惑について整理した後、実際にステークホルダー分析の事例を通して考え方を整理します。約16分の動画です。
⑤DMU分析
意思決定の流れを把握した上で提案活動を行うためのDMUの考え方を整理します。まずはDMUを整理して、意思決定者、情報提供者、使用者、購買者に分けて、それぞれのキーパーソンの思惑を整理します。その後、契約までのDMUの関わり合いや意思決定の仕方等を分析して提案のあり方を考えます。約14分の動画です。
⑥統合マーケティング
法人マーケティングのまとめとして、組織的にマーケティング活動を行う概念として、統合マーケティングについて説明します。マーケティングは組織単位で行い、一発勝負ではなく常に検証をしながら精度を高めていきます。そのために科学的なアプローチが求められます。今回の動画ではその手法や事例を紹介しています。約31分の動画です。
URLーーー
①:https://app2.gemediar.net/movies/preview/5fc751ba-4160-47a3-9f67-60a8a0106aeb
②:https://app2.gemediar.net/movies/preview/5fc751eb-afb4-496c-92e5-4b40a0106aeb
③:https://app2.gemediar.net/movies/preview/5fc75215-428c-45a4-820a-54aea0106aeb
④:https://app2.gemediar.net/movies/preview/5fc7525a-2e34-4aa1-9efc-4b42a0106aeb
⑤:https://app2.gemediar.net/movies/preview/5fc75271-eeac-4f26-81fc-4b42a0106aeb
⑥:https://app2.gemediar.net/movies/preview/5fc7528b-6614-4c8f-8999-60a6a0106aeb
マウスピース型矯正
早嶋です。
歯科のコンサル界隈では「マウスピース型」の矯正が人気のようです。こちらのターゲットは審美目的の20代から40代の女性でしょうか。矯正を自分自身が行っている観点から考えて、マウスピースで矯正できるのか?と歯科医院複数に聞いてみました。まぁ当たり前ですが程度によるようです。
一方で、仕組みを聞いて納得です。私はマウスピースの矯正はクイックルワイパーみたいなものだと理解しました。
つまり、審美に興味がある方は既に実は綺麗な歯並びをしているが、もっと何か自分の中の理想を求めている。そこで、マウスピース矯正をすることでその自分の理想に近づけるという思いを購入している。
クリックルワイパーを購入してヘビーで使用する層は、そもそも掃除機をかけて常にきれいにしている。しかしちょっとのホコリや汚れが気になり、その時に掃除機を出すのは面倒。そこにクイックルワイパーを投入というジョブを解決しているのです。
となるとマウスピース矯正はどのような立地条件でもOKというわけにはいかないでしょう。福岡で考えると筑紫野市や春日市などの住宅街隣接の歯医者さんでは、そのような層が来院する可能性は極めて低い。一方で博多や天神などのエリアでは、審美を求めてわざわざ人が集まる可能性が高い。これは例えコロナであってもわざわざ行くのが心理なのかな。
ということで、マウスピース矯正を行いたいと思っている先生は、顧客層と立地条件は大切になると思います。これが合致すれば、初期投資300万〜400万でも4症例か5症例の実績があれば回収はできるかと思います。ただ、この手の治療はあるいみブームがあり、数年立ったら廃れて終い、また新しい商品開発が業界から行われると思います。常に、ブームに敏感であるのも美容業界の特徴ですよね。
技術系におけるマーケティング
早嶋です。
研究所や開発職についている方々がマーケティングで悩んでいる話を聴くと多くが以下のような状況です。
””研究所で開発した技術を自分が属している業界以外で活用したいがアイデアが見いだせない。””
そして、上記のような状況下でどのようなリサーチを行っているかと言えば、ひたすら自分たちの業界で他に何か活用方法が無いか?という内容です。
上記のアプローチについて2つの誤ちというかミスしている点があると思います。
1つ目はズバリ技術主導であって顧客の不に一切着目していないこと。つまり完全なるプロダクト・アウトになっています。
次に、無意識に事業化の可能性を自分たちが属している業界に絞り込んでいることです。技術の本質を抽象化して他の業界や自分たちが考えてもいないような転用の可能性をはじめから否定しているのです。
メーカーやインフラ系の研究所の多くは、プロパーでずっと研究職を続ける人と、事業部から定期的にやって来て数年研究してまた事業部に戻る人の2種類に別れます。
プロパーの研究者の特徴は、自分の会社の現場でどのような不が起きているかについて以外としらないということです。もし何か把握していても、その情報の多くが現場から上がってきた2次情報であり、自分で現場を観察して見出すとか、現場の方々とコミュニケーションを取り自分のインサイトを使って取りに行くことなどをめったに、というかほぼ行いません。そのため顧客の不に対しての理解が極端に浅いのです。
一方、事業部から定期的にやってくる研究員は、自分が昔いた古巣のバリューチェンの一部しか把握していないのに、自分がいた業界のことを理解したつもりになっています。自分が属している部や課の上流工程や下流工程などの理解がほとんど無いのです。
伝統的なマーケティングの手法にSTP分析があります。様々な調査を行った後に、自分たちが仕掛ける市場を定義し(セグメンテーション)、特定のセグメントを選択してターゲットを絞ります。この際に、様々な顧客の不を分析して、顧客が解決したい困りごと、顧客があったらいいなと感じていること、いわゆる顧客が片付けたいジョブを整理します。そして、自社の技術や特徴や強みを生かして解決する方法を考えるのです。
このようなSTPから4Pへの流れをまずは様々な事例や業界を観察しながら把握することで、技術ありきの発想から、顧客に寄り添った考え方が少しは理解できるようになると思います。
更に研究者の多くが議論しようとする事業は新規事業やこれから始まる事業がほとんどです。その場合、顧客の声を聴くことや、シンクタンクなどが分析した顧客の不満などはあまり役に立ちません。それは、また顧客自体が自分たちが感じている不に対して合理的に言語化できておらず、従いその解決のイメージも無いからです。
更にいうとシンクタンクや調査会社が調べた顧客の声は、わざわざ対象者を集めてグループインタビューやアンケート調査を行った結果です。本来、多くの消費者は無意識の内に不を感じ、なんとなく解消するための商品を購入しています。それなのに正面から購買理由を聞かれるため、インタビューワーが喜びそうな答えを話します。つまり新規の取り組みやこれから考える事業においての顧客の声は、あまり役に立たないのです。
この場合、実際に顧客が無意識に捉えて行動しているため聞き出すよりもむしろ、その行動を観察しながら企業がわが不を言語化する方が都合が良いのです。そのために2次情報に頼るべきではなく、仮説を立てながらも現場や顧客を観察して様々に洞察することが大切なのです。
まとめると、技術系の方々は一度技術のことを忘れてしまいましょう。そして、自分たちが属している業界以外に興味を持ちましょう。その際、自分たちの技術の活用を考える前に、様々な業界の不に関心をいだき、様々な業界の現場を観察して顧客候補の不を視覚化していきます。そして初めて、その不に対してのアプローチを自分たちが保有する技術やアイデアで解決できないか?と考えてみるのです。
研究者が現場に行くことはハードルが高い場合、そのような取り組みを現場で行っているであろうカスタマーサービスや、メンテナンス部隊、あるいは営業などにコンタクトを取ってヒアリングしながら仮説を構築するなど、手法は無数に思いつけるはずです。
ポイントは技術から考えるのではなく顧客や市場の不にフォーカスして後付で自分たちの技術をぶつけてみることです。
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