ベネフィット

2008年9月12日 金曜日

早嶋です。



マーケティングの世界にベネフィットという言葉があります。ベネフィットとは、顧客が商品を購入して得られる何か良いもので、日本語では便益と訳されます。コトラーはこのベネフィットを3つのレイヤーに分けています。機能的ベネフィット。情緒的ベネフィット、自己表現的ベネフィットです。



機能的ベネフィットは、その商品の所有や利用するときに得られる便利さや効用などで機能そのものです。そして、情緒的ベネフィットはその商品によって顧客に何らかの感情的を与える便益です。そして自己表現ベネフィットは、商品の利用や所有によって顧客が何らかの自己表現を行うベネフィットです。



早嶋はもう少し簡略してベネフィットを機能的ベネフィットと感情的ベネフィットの2つに分けています。上記で言えば機能的ベネフィットはそのままで、感情的なベネフィットは情緒的ベネフィットと自己表現的ベネフィットをまとめた概念です。



ブログ「ヴィトンのバック」でもコメントしましたが、ヴィトンのバックは感情的なベネフィットを買い求めている人が多いため価格を維持したままでも売れていると考えることが出来ます。顧客はバックを買っているのではなく、ルイヴィトンのブランドそのものや、憧れであったり、出来る女性の姿を買っているのです。



80年代後半のトヨタクラウンのキャッチコピーは「いつかはクラウン」でした。印象的なコピーだったので今でも覚えている方が多いと思います。当時としても高級車だったクラウン。しかしこのコピーによってクラウンそのものを感情的なベネフィットに仕上げていたのです。カローラからマークⅡ、そしてクラウン。人の頭の中にこのような流れが定着しました。



自動車の機能的ベネフィットは人やものを運ぶためのモノであったり、移動手段の一つであったりします。もし、機能的ベネフィットのみで顧客が購買行動を取ったとしたら、最終的にはその商品は価格勝負になるでしょう。機能を追及すると、どこのメーカーも変わり栄えが無くなるからです。一方で感情的ベネフィットの要素が高くなれば、顧客はその部分にたいしてお金を出すことを惜しみません。



近年、若年層の新車購買意欲が低下しています。これは、自動車に対して機能的ベネフィットの要素が高くなっているからです。移動手段ということであれば、車を保有する必要は無く、他の代替手段もいくらでもあります。一方、新車販売が増加傾向にあった80年代後半は、自動車は感情的ベネフィットの要素が強かったと感じます。車を持つことがある種のステータスであったり、社会人としての自己顕示で合ったかもしれません。しかし、現在は違う要素で自分を表現する若年層が増えたのでしょう。従って、車を購入する場合も新車ではなく、中古車で走ればよいや、程度の考えで自動車を購入している人が多いのです。



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