本質的な理由を聞き出せていない

2019年5月30日 木曜日

原です。

グループインタビューの司会は、誰でもできると思われているかもしれません。しかし、限られた時間の中で目的を達成するには、ある程度のスキルと経験が必要であると思います。

なぜならば、筆者のグループインタビューに参加した人からは、共通する言葉を頂きます。それは、「原さんのグループインタビューでは、参加者全員が本音で話しているので、学びや気づきが多かったです」。一方、「他の素人司会者によるグループインタビューに参加した時は、グループの中で発言力のある一部の人の意見に偏ることが多かった。でてくる意見の内容が薄かった。テーマから話の内容がずれていた。」などです。
ただ感想を述べてもらうだけなら簡単です。本音や本質的なことまで聞き出すのは容易ではないのです。

因みに筆者は、グループインタビューの技法などのセミナーに参加したことはないです。そのようなセミナーがあるのかも知りません。
筆者は、自ら司会をして顧客インタビューをするにあたり、知人を集めてグループインタビューの練習を繰り返しました。その他ではインタビューに関する本を1冊読んだぐらいです。
もちろん、筆者はコンサルタントなので、1対1や複数人相手の対話は日頃から経験しています。また、研修講師としても10名から30名程の受講者を相手に、考えを伝え受講者の考えを聞き受講者同士の共有を図るなど、顧客の声を聞く基本的なことは、当たり前に身に着けています。

筆者の経験上、相手がインタビューに慣れていない一般モニターの場合、グループインタビュー開始から30分ぐらいまでは、本音はなかなか出ません。発言のほとんどは、商品に対する「褒め言葉」です。「美味しい、ほしい、買いたい」などです。ところが、質問を繰り返していく中で、「美味しいけど、見た目が悪いからほしくない。似たような商品があるから、別にこの商品を買う必要はない。」など本音が出てきます。
もしも、褒め言葉だけを信用していたら、どうなるでしょうか。「自社の商品は、顧客からの評価が高い。改善する必要はない。」などと事実とは異なった判断をしてしまいます。
筆者は、質問の最後のところで価格に関して質問します。なぜならば、価格(Price)は、マーケティング4Pの1つです。価格は、ほかの3P(製品、流通チャネル、プロモーション)の結果としての顧客の納得の有無を問うものだからです。
また、インタビューでは、「ほしいけど買わない」と回答する人が多い傾向があります。
そこで、筆者は、「なぜ、ほしいけど買わないのか(理由)」について聞き出すために、少し工夫して以下のような質問をします。
例えば、「その商品を高いと感じる価格はいくらですか?」、「その商品を安いと感じる価格はいくらですか?」、「その商品がこれ以上高い、または安いと不安に感じる価格はいくらですか?」などの質問です。
その質問への回答が、本質的な理由に近づいてきたら、更に理由を深掘りして具体的にしていきます。

このように、顧客の本音や本質的な理由を聞き出すには、論理的思考(客観的)と創造的思考(直感力)を活用することが必要です。後は、経験により工夫しながら精度を高めていけば、多くの人ができるようになります。



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