パパママストア復活

2007年7月30日 月曜日

早嶋です。



ヤマダ電機に代表される大型の専門量販店の地方進出によって、パパママストアは窮地に立たされています。そんな中、コンビニ家電をキャッチフレーズとして一味違った経営手法で躍進を遂げている企業があります。



セブンプラザ。もともと鹿児島県鹿屋市で松下電器の系列店として家電店を経営していた山口貞利氏が、「外販中心」の商いから「店頭販売」に切り替えたのがきっかけです。徹底的に買う顧客の立場に立った経営こそがセブンプラザの原点で成功の分岐点となったようです。



メーカー主導ではなく、顧客本意に理念を掲げた山口氏の理念に共鳴した4店舗の家電店によってセブンプラザチェーンが発足し、今では40近い加盟店があり、02年度で32億円の売上を上げるまでになっています。



さて、そのセブンプラザとは?



先ず、少しでも大型店舗の価格に追いつくために、地域のパパママストア協同で仕入れを行います。店内は、展示品をなくし、カタログ販売を中心に切り替えます。これは、地方や田舎では、店に客が来ても数人程度。そのために、テレビを展示しているだけで、電気代がかかってしまい、コスト高になります。その代わりに、店内には電池や電球と言った日常的な消耗品を多数取り揃えます。



地方や田舎では、乾電池は農作業のラジオのお供で、頻繁に売れるそうです。では、家電はどのようなシナリオで売れるのでしょうか?ある日、常連のおじーちゃんA氏から電話がかかってきます。これにセブンプラザはいつものように対応します。



A:「洗面所の電球が切れたから一つ持ってきておくれ。」

7:「分かりました、他に必要なモノはございますか?」

A:「そんなら、来る途中、野菜を買ってきておくれ。」

7:「かしこまりました。」



セブンプラザの店員は、約束通り、途中で野菜を購入して、おじーちゃんの家に。野菜を届けて、電球の交換終了。セブンプラザでは、便利屋さんをかねているのです。低料金ですが、明朗な料金表が存在しています。地方や田舎では、年配の方が一人で生活してる場合が多く、便利屋の業態はとてもニーズがあります。



電球を替え終わって、店員とおじーちゃんの話。



A:「今度、孫が遊びに来るんだけど、大きなTVがないと嫌といっとるそうな。」

セブンプラザの店員は、新聞の折込広告のヤマダ電機のチラシを広げながら・・・

7:「大きなTVだとこのサイズですかね、ヤマダ電機で買うと28万円ですね。うちで買うと、32万円ですね。納品は、1週間くらいかかりますが。」

A:「2万くらいしかかわらんなら、お願いするよ。」

7:「あ、いや4万円違いますが。届いたら、配達しますね。」



という具合で商談が成立します。さて、何故でしょう?確かにヤマダ電機で購入すると価格は安いですが、セブンプラザは、アフターサービスが万全です。例えば、リモコンのスイッチを間違って押しただけでも、おじーちゃんは元に戻すことが出来ないかもしれません。そんなときでもセブンプラザは決め細やかに対応します。



また、高齢の方が電化製品を購入する場合は、良く自分の子供に相談するそうです。そのときでもたとえ価格が高くても、セブンプラザにしといたら、とアドバイスを貰うのです。何か起きたときはヤマダ電機よりもきめ細かい対応をしてもらえるからです。



このように地方や田舎特有の環境を活用してコミュニティービジネスとしてうまく成立させているのです。電器店は隣の顧客に支持されなければならない、というのがセブンプラザの精神。単価が低くても顧客にとって便利な商品を数多くそろえること。たとえ乾電池1個の顧客でも大切におもてなしをします。大型商品は、その中の地道な付き合いの中から顧客のタイミングで買っていただくという、徹底した顧客思考、それがセブンプラザの商いなのです。



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