地方の景気

2007年7月29日 日曜日

早嶋です。



いざなぎ景気をはるかにしのぐ景気が続いていますが、実感がわきませんね。理由は、いくつか考えられます。



先ず、一つ目ですが、いざなぎ景気の成長率は11.5%平均に対して、今回の景気は2%前後の成長率です。



いざなぎ景気は、例えるならば今の中国の成長率に当たりますので、景気の良さが給料に反映していたことでしょう。実際、いざなぎ景気が始まって、終了するまでに、月給は実に平均で79.2%も上昇していました。いざなぎ景気は57ヶ月続いたので、5年でほぼ給料が2倍になった計算です。



ちなみに、今の景気が始まって、これまでの給料の上昇率は-1.2%なので、景気の波が始まって、実質減っていることになります。手元のお金が増えないので、これでは確かに景気回復といっても実感がわかないですね。景気回復は、あくまで指数上のはなしなので、肌感覚とあわないと言えば当然ですね。



2つ目の理由は、原油価格の高騰でしょうか。特に、九州は、その影響をもろに受けていると言えます。石油情報センターの資料を見れば、一目瞭然です。長崎、鹿児島、大分の順にレギュラーガソリンの小売単価が全国で一番高いのです。他の九州にある県も、全国で比較するとレギュラーガソリンが高いランクに入っています。



長崎は、離島が多く存在するため、レギュラーガソリンが高くなるのは分かります。しかし、大分や鹿児島はどうして高いのでしょうか?大分には九州石油の大分製油所があり、鹿児島には石油備蓄基地があるので、ガソリン自体は全国の何処よりもあると思うのですが・・・。



原油価格が高騰すると生活に色々と影響が出るので、例えばコストプッシュインフレが起こる感覚すらあると思います。



3つ目の理由は、大都市と地方の景気にも2極化が起こっている事です。今回の景気回復は、あくまでも各都道府県ごとの平均値です。例えば2005年と2006年を比較して、プラス成長を遂げている地域は東京、愛知、京都、千葉、大阪のみです。つまり、景気回復は上記の都市が好調を遂げており、他の殆どの都市がマイナス成長なのです。ここにも2:8の法則に通じるものが働いているのです。



更にこの2極化は都市部に本社を置く企業と地方に本社を置く企業の構造にも関係します。都市部に本社を置く企業は、失われた10年のうちに企業の長期負債をほぼ返済し終えたので、景気回復した昨今、利益を1)設備投資などの再投資、2)銀行への返済、そしてのこりの利益を3)ボーナスで社員に還元しています。社員にボーナスとして還元されると個人消費が活発になり景気回復感を肌で感じるようになるでしょう。



しかし、地方では同でしょう。利益がでたとしても、都市部の企業ほどに返済が進んでいないため、利益を1)再投資し、2)銀行に返済する時点で、ほとんど利益が消えてしまうのです。そのため、社員に還元される利益は少なく、個人消費につながらないのです。



この様に、今の景気回復は、1)絶対的な成長率が小さいこと、2)原油価格の高騰、3)地方と都市の2極化、によって特に地方に対しては、景気が続いていることを肌感覚で感じにくい構造になっているのです。









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