共感のリーダーシップ

2019年4月2日 火曜日

原です。

リーダーシップには、ビジョン型、情熱型、コーチング型など多様なタイプがあります。今回は、共感型のリーダーシップについてです。

ハーバード・ビジネスレビュー(2001年3月号)では、部下のやる気を引き出す資質の共通事項として、「自らの弱点を認める、直感を信じる、厳しい思いやり、他人との違いを隠さない」の4つの資質をリーダーが備えていることを記載しています。

1つ目の資質「自らの弱点を認める」は、何かしら弱点を見せることで、近づきやすい人間的な印象を与えることです。
例えば有名な話を引用すると、松下電器産業(現パナソニック)の松下幸之助氏は、「私は、体も弱く学問・知識をもっていなかったから」と周りに伝え、何をするにも皆に相談し、皆の知恵を集めながら経営を継続していきました。

2つ目の資質「直感を信じる」は、世の中の変化の兆しに敏感で「いつ、どのように行動するのか」適切に判断できることです。
例えば、私は大阪商人の元で働きながら夜間の大学に通いました。
大阪商人の社長は、大手流通業会社を退職してから、CVS(コンビニエンスストア)の将来性を感じてコンビニの多店舗展開を行い、CVSの普及から深夜のCVS店舗のお掃除サービス会社を設立し、若者のパン食が増加傾向となればパン屋を開業し、携帯が開発されたら一早く携帯の代理店を展開していくなどを数年で複数のビジネスを事業展開していきました。このような中、「資金があるから可能なのだ」と陰口を言う社員もいましたが、私としては、変化の兆しを掴む直感力とスピード感のある行動力の差が一般の人とは大きく違うと尊敬していました。

3つ目の資質「厳しい思いやり」は、部下の成長のためなら、時には冷酷になることです。
例えば、私は大学卒業後に赴任した職場では、労働保険年度更新事務手続きが最初の担当業務でした。
直属の上司は、私の親ぐらいの女性ベテラン社員でした。
4月1日に入社して直ぐに、労働保険年度更新事務手続きを1人で担当させられました。過去の資料と専門書を読み質問を行いながら、4月1日から約1ヶ月間は残業と休み無しが続きました。
無事に手続きを終えた後に、そのベテラン女性上司が言われたのは、「獅子の子落とし」という諺でした。
「獅子の子落とし」とは、厳しい試練を与え、器量を見極めようとしたということです。
最初は、新人いじめかと思いましたが、この仕事を乗り越えた後、この上司は「私に対する高評価な意見」を職場関係者などの周りに広め、その後も仕事を次々と任せてくれましたし、多様なジャンルの学びを私は受けました。

4つ目の資質「他人との違いを隠さない」は、自分らしさを上手く活かすことです。
例えば、私の母校でもある近畿大学の近大マグロの話です。
和歌山県の近大水産研究所は戦後まもない昭和49年、食料難の時代に食糧増産のため「広大な海を耕す」ことを目的に設立されました。そして、当初から新しい実験場の立上げを任せられたのが熊井教授です。クロマグロの養殖など絶対に無理だと地元漁師から奇人扱いされ、更には学界内からも冷ややかな声を浴びせられました。それでも、「魚のことは魚に学べ。相手は生き物であり、人間の思い込みや決めつけは通用しない。魚に教えてもらえ。」の実践主義の姿勢を貫き、苦闘30年以上をかけて世界の偉業であるクロマグロの完全養殖を達成していきました。

以上ですが、日々のコミュニケーションでは、部下の感情を直感的に感じ取り、相手にモチベーションを持たせるように共感型のリーダーシップを行動で示すことが必要です。





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