CTI、古くて新しい解決策

2019年2月27日 水曜日

早嶋です。

息子の幼馴染のお父さんが経営している小料理屋さんがあります。電話やメッセージをすると人数と目的を聞いて適当にふさわしいおもてなしをしてくれるのです。当たり前ですが、このようなサービスって心地が良いですよね。不満を覚えることもないし、毎回同じことを説明する必要も無いのですから。

20年頃前よりCTIという仕組みが普及しはじめました。Computer Technology Integrationの略称です。何だかすごそうですが、何のことは無く、電話とコンピュータを統合するしかけをさします。今ではローテクかもしれないけれども、めちゃくちゃ今のマーケティングをサポートする仕組みとしてはフィットしているのです。

特に、顧客とのコンタクトポイントが電話を主体とするサービスは、ネット予約やSNSなどが普及しても、やっぱりしばらくは電話に依存するので、電話の満足度を向上する意味でも検討に値します。しかし、導入率は関係者いわく、全ての業界平均で2%程度だというのです。これってチャンスですよね。

普及していない理由は認知度もあるのですが、当時から非常に高価な仕組みだったことがあり、一般に認知されなかったという理由があります。ひとこえ、数億の仕組みだったのです。しかし、現在では飲食店一店舗でも導入できる金額帯まで下がっており、CTIを導入した効果は、それから得られる効用と比較して遥かに高いのです。つまり投資回収も十分に見込める可能性があるのです。

そもそもCTIとはどういう仕組みかを説明します。先程、贔屓にさせて頂いていた小料理屋さんの話をしました。そのお店の大将は私のIDを電話番号ではなく、私自身の声、つまり大将の記憶によって認識しており、それに応じて適切な対応を瞬時に行ってくれた事例です。

例えば、以前このような会話をした記憶があります。「今、歯の治療をしていて、硬いものが食べにくいのです」と。するとその後の来店時には決まって、余り硬い食べ物は出てこないのです。私にふさわしい料理を出してくれるのです。仮に食べにくいものがあれば、少しカットの仕方を工夫してくださるのです。あるいは、他の顧客には内臓料理を進めるのですが、私は若干苦手なため、常に私の様子を見ながら勧め方を適宜変えているのです。これって、当たり前のことかもしれませんが、顧客としては、ちょっと嬉しいのです。

先日、たまに行く寿司屋を予約しました。これまでも過去に何度も行っているお店ですが、毎回電話対応がよそよそしいなと感じます。こちらは決まって食の好みを毎回ゼロから説明しないといけないことに若干のストレスを感じてしまいます。しかし味は最高、雰囲気も最高、そして店内でのサービスも最高です。だけど、電話対応はいつも不満がつのります。そのため結局、ふらっと行っても空いているわけでもないし、だからといってまた電話して予約するのも億劫になるので、毎回なんだか嫌だなーとなってしまい、食べに行くお店として想起するけれども、中々食べに行く行動にまで及ばないのです。

今度は、近年の店舗の内情について考察してみましょう。全員が正社員であればよいのでしょうが、時間帯によってはパートやバイトが対応することも当たり前の時代です。新人であれば、過去の顧客の状況を知らないのが当然だし、分かっていても直近来る顧客のことに限定されるでしょう。

しかし顧客は違います。常に私のように勘違いをしています。自分は特別だよ、だから特別に扱ってもらいです、と。だって顧客にとってはお店を覚えているし、大将を良く知っています。そして数回行けば、かってに常連のように勘違いしてしまいます。しかし、大将からするとたくさんの顧客のうちの一人で、多くの場合は忘れてしまうこともあるのです。当然顧客としては、そのような状況は理解できても、やっぱり不満なのです。

しかし、顧客としても特別扱いは不要です。前回の記憶や、ちょっとした特徴を理解した上で、要望を聞いて頂けるだけで良いのですから。しかし実際は慣れているベテランや規模が小さいお店では対応できるでしょうが、大きな組織や、複数にまたがる店舗では毎回一見さん対応をするしかないのです。

更に、近年の若者は基本的に誰だか分からない電話は取れません。スマフォには自分の知っている人からしか電話がかからないので知らない人からの電話は出ないのです。番号の登録がない電話に対しては居留守を使い、あとでその番号をググってから得体を確認してから電話する。これが若者の生態系なのです。おじさんやおばさん世代には理解し難いかもしれませんが、若者にとって電話に出ることは若干の恐怖体験を伴うのです。そして、何でも電話で済ませるという発想は若者にはなくて、SNSなどスマフォを活用したほうが嬉しいのです。

世の中がIT化して20年くらいが経過します。しかし店舗ビジネスなどのBtoCのビジネスは今でも多くのコンタクトポイントを電話に依存しています。しかし電話の対応は個人に任せて仕組み化されていないのです。個人の能力と記憶に完全に頼り切っているのです。これは危険ですよね。そしてこれらを解決する仕組みがCTIなのです。

例えば、店舗系の電話がコンピューターやスマートパッドに紐付いていることを考えて見ましょう。すると、電話着信と同時に、その番号に紐付いたデータが誰でも分かりやすく確認されます。飲食店の場合は、過去の利用履歴や申し送り事項、顧客の特徴が瞬時に表示されます。そのため新人からベテランまで共通に顧客の大切な情報を共有できるのです。

クリニックでは、電話口で名前を確認してから、カルテ情報を確認していたことでしょう。その間わずか30秒程度ですが、待つ人からすると永延に感じます。CTIではそれも解消されます。電話を取る前に誰だか分かるのですから。同時に過去の治療状況やちょっとしたユニット上での会話が共有されているのです。その前提で電話に対応できるため、患者さんに即したお話が自由にできるのです。

また悪質な営業電話や意味不明の勧誘などは常にシステム内で共有されているので、あえて取らなくて良いという判断もできてしまいます。人数が少ない店舗では、急ぎで電話を取ったら勧誘だったというがっかりも解消できるのです。

更に、最近はケータイやスマフォが普及しています。電話での予約確認事項を直後にSMSなどを活用して顧客に共有することも可能です。例えば、予約を伴うサービスの場合、予約終了後に顧客の許可があればSMSに予約時間と場所などのデータを共有することができます。また、予約前日、当日の朝にもリマインドを送ることも可能ですよね。相手が高齢な方であれば、その電話番号に紐づくデータから、予約情報等をハガキに印刷して郵送するサービスも可能です。

顧客とのフォローを気軽にコンピュータを活用して無理なく行うのがCTIの特徴なのです。



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