仕事の仕方が変わる

2019年2月3日 日曜日

早嶋です。

バリューチェーン(VC)。昔は情報流、物流の制限があり大企業の成功パターンは全てを自前で揃えることでした。現在は情報流も物流もサードパーティの活用とICTのおかげで資本規模に関係なく柔軟に活用することが可能です。結果、全てのVCを持つ大企業は、それが重荷になっている場合もあります。一方、新しく事業を開始する小資本の組織は、得意な部分だけを担当し、他は外部を活用することで事業を柔軟に行うことが可能になりました。

例えば、研究、企画、製造、販売、フォローというVCをもつ企業は、ピーク時の活動に合わせて全ての部門を肥大化していきます。その結果、それぞの機能部にそれなりの人員がいます。経済が成長し、需要が供給を下回っている場合は良かったのですが、今は一部の機能がダブついている組織を多く観察できます。

また、新しい舵を切ろうとしても、肥大化した組織はすぐに動けません。仮に、新しい事業を始める意思決定をしても、まずは既存人材を活用することを第一に考えます。しかし既存の超細分化された、そして基本的に計画性の高い事業にどっぷり浸かってきた人材は、新しい事業への取り組みに不向きです。ワークしてもアイデアの質が乏しく、どれだけ時間を費やしても良いアウトプットは生まれません。仮に良いアイデアが創出できても、今度はそれを具現化することができません。どのように実現するか、イメージが持てず、更に初めの一歩を踏み出す勇気も無いのです。

小さな組織やこれからの組織は、得意な分野を自分たちが核となり動きます。そして、できない部分や苦手な部分、また非効率な部分は固定で人を雇うのではなく仕事単位でクラウドやパートタイム、あるいはプログラムを活用します。ここでいうパートタイムの仕事は従来のバイトの概念ではなく、そして仕事の内容も事務処理のような簡単なモノとは限りません。

例えば、ものづくりをイメージします。その組織は企画のみ自分たちで行うとします。しかし、試作するためのノウハウは無い。そのような場合は、クラウド上でその仕事を専門に行なっている人材を探して依頼します。そして、その図面や設計図を基に今度は小ロットでも試作を行ってくれる企業を世界中から探します。その結果、企画だけできる個人や少人数であっても、小規模で小ロットでの試作も可能なのです。クラウドファンディングなどを活用して、事前にそのアイデアを対象マーケットに問いかけ賛同を得られたら、事前に小ロット分の開発費まで手にすることも可能です。こうなればリスクは限りなく小さくなり、自由度の高いものづくりが可能になります。

この概念はもモノづくりのみならず、ちょっとしたWebサイトの製作や、販促物の製作、またアプリなどのサービス開発でも同じように行うことができます。従来、大企業は仕事の流れを細分化して、そこに人材をあてがいました。しかし需要と供給のバランスが崩れた時、その人員がこなす仕事の量は減り、代わりに、時間を埋めるために本来その方が行う必要が無い仕事までをその人員に提供するようになります。結果、本来の成果を出すための仕事よりも、付加価値が低い仕事を多くすることで創造性や生産性、そしてやる気までを損ねる結果になっているのです。

しかし、その専門の仕事を企業や業界を超えて受注する発想は今だったら十分に可能なのです。上記で説明した概念は、今のスタートアップであったり、現在活躍している一部フリーランスや小規模事業者の発想に近いです。

例えば、大企業で通信販売の販促の企画を行っている担当者は、自社商品に加えて、他社や他業界の企画を行うことで、企画の幅と精度とスピードがあがることでしょう。大きな視点からものを俯瞰して、小さな取り組みに注目したほうが、全体最適の視点から創造性も作業性も成果も出しやすくなるのです。もし、そのようなことができたら、その人は複数の企業や組織から柔軟に報酬を得ることも可能です。

スタートアップ企業がIPOの準備をする際、選任の人材を雇うには早い場合、専門のコンサルを入れます。しかし規模が小さいときはそのコンサルも個人の場合が多いです。当然IPOの専門はその企業にはいないでしょうが、これまで財務経理を担当していたスタッフがそのコンサルの指示や教えに沿って準備をしていきます。そして、そのコンサルはその企業にどっぷり浸かって仕事をしているわけではなく、複数の企業を同時にコンサルしています。またに、このようなスタイルの仕事が多くの業界、多くの仕事で可能になるのです。

スマフォが世の中に普及して10年以上。これらの変化の中で、シェアの発想を活用したビジネスモデルはぐんぐん伸びています。シェアのビジネスモデルは、資産(ヒト、モノ、アイデア、カネ、ジョウホウ)を活用したい組織個人と資産を提供して良い組織個人をマッチングする仕組みです。合理的に仕事の内容を細分化でき、その仕事を内部と外部を加味しながら最も効率良く振り分けることができ、その仕事の流れを監査して計画通り進め、最後に統合することができれば、かなり多くの仕事に対して対応することが可能です。

となると、一つの抽象度の高い仕事を複数の概念に分解することができる力。分解された仕事を適任者をみつけ社内外関係なく振り分け指示する力。複数の人材を同時進行的に監査できる力。また、分解された仕事を業界や商材関係なく対応できる力。そして、そのような仕事を高度にマネジメントできる力。を持つ人は、一つの組織に属さなくても引く手あまたで、自分の都合で、自分の自由度に応じて、自分の好きな場所と時間で仕事ができるようになるのです。一方で、その力がない人は、相変わらず指示された具体的な仕事を行うか、何らかのサポートを行うかになるのでは無いでしょうか。

確実に仕事の仕方や概念、そして組織の在り方が変わっていくのです。



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