時間管理の3つの落とし穴

2017年7月27日 木曜日

早嶋です。

若手社員の時間の使い方について議論する機会があった。基本的に、1)工数の読みが甘い、2)リストアップ型の仕事に依存、3)目的が不明確で仕事のゴールイメージや完成形がない、という3点について課題が浮き彫りになった。

1)工数の読みが甘い。例えば、時間の管理についてどのような悩みや問題を抱えているかを議論した。多く上がったことが①「仕事以外に組合の取り組みや、女性活躍委員会への参加があり予定が読み辛い」、②「仕事を計画的に進めていても予測外のことが起きてしまいスケジュールがずれ込んでしまう」、③「仕事を進める上で、上司マターの事が多く途中で中断してしまう」、④「繁忙期があり、1月から3月はコントロールが一切できない」、⑤「問合せの仕事が多く、どうしても自分の仕事が後回しになってしまう」と言った具合だ。

例えば、①や②は初めての取り組みであれば致し方無いが、それを数年続けているのであれば、そのことを加味した計画が必要だ。通常の仕事を10と考え、予測外の仕事を過去の経験則から割り出して+3くらいあるのであれば、仕事の分量を13と捉えて始めから計画に加味しておくのだ。人の計画はかなり楽観的で、不足の自体が起こることを知っていても中々計画に入れないものだ。自分は大丈夫だとどこかで思ってしまっているのだ。

③のような現象に対して、突っ込んでヒアリングを重ねると大概が上司に投げるタイミングが遅いのだ。従って、上司も判断に困り、既に他の社員や外部の組織を頼って解決する方向性にいるかもしれない。予め業務の流れを理解していれば、上司の判断が必要な事象に対しては事前に耳打ちして仕事をするのが常識だ。が、若手社員となればそのようなことを自ら考えず1人で悶々と抱えこなそうとしているのだ。

④に関しては、これは完全に会社がコントロールする問題がおおい。明らかに仕事の負荷バランスが異なる場合は、ある意味諦めるか、そのようなものだとして受け入れるしかない。しかし、一定期間、そのようなサイクルが続く場合は別で、根本的な解決策を探す提案をしたり、相談を会社に上げるのが当人の役割と言うものだ。

⑤に関しては、多くの場合棚卸しや、問合せ対応に対しての標準化などをせずに、毎回もぐらたたきの様にただひたすらとこなすことに躍起になっている。クレジットカード会社のように、定期的に問合せ内容を整理して、大半の似たような問合せについては標準的な手続きを決めて置けばよいのだ。更に、そのような取り組みが一定期間続くのであれば、根本的に問合せがあることに疑問を持ち、そもそもの上流の仕事について改善を提案することも重要だ。

2)リストアップ型の仕事に依存。例えば月曜のはじめに机に座って、今日、或いは今週の仕事内容をリストアップする。そして、それらの仕事をやりやすい順番や好きな順番などでこなすようなスタイルだ。一見、何も問題はなさそうだが長期的な取り組みが無視される傾向が強い仕事のやり方になる。

リストアップすると、全ての仕事が同列にみえて来るので、どうしても直近の時間に縛られる、納期が迫っている仕事を優先的にこなし、長期的に時間をかけて取組まなければ成果が出ない仕事はついつい明日からということで後回しになるのだ。結果的に、その仕事は毎日、或いは毎週繰り上げられて、気がついたらリストアップすること自体を忘れてしまうのだ。そう、この手のスタイルで仕事を続けると、処理能力だけがあがり、将来的な伸びが全くなくなるのだ。

この手の仕事に対しては、先ずはリストアップする期間を1週間とか1ヶ月とか短い期間ではなく、半年から1年と少し時間の間隔を伸ばして行う。そして、リストアップした仕事に対して重要度と緊急度の2つの視点から評価を行い次の4つに仕事を仕分けする。

①重要度高い、緊急度高い
②重要度高い、緊急度低い
③重要度低い、緊急度高い
④重要度低い、緊急度低い

仕分けを行ったら、自分の仕事がどのような分布になっているかを観察してその意味を考えると良い。例えば、③や④の仕事が多いとしよう。もし入社歴がかなり浅い場合は仕方ないが、ある程度会社に属しているのであればこれらの仕事は見直しの対象だ。特に④の仕事に対してはする、しないを明確に決めてしまわないと時間なんていくらあっても足りなくなる。③のしおとに対しては、ルーティンでくるから、そもそもの仕組みを見直すべきなのだ。

①の仕事ばかりこなしている人も注意が必要だ。このような人は成績はそこそこだが将来の伸びが心配だ。いつも目の前の仕事に対して一生懸命過ぎて、先に対しての投資や準備を一切行っていない状態だからだ。考えてみると緊急性の高い重要度の高い仕事とは、過去に発生した仕事を現在進行系でこなしているだけで、今は良いが、将来に全くつながらないのだ。

そこで意図的に②の仕事を複数行いながら①に時間を割くのが私は良いと思う。ただ、②の仕事は先に説明したとおり、どうしても先送りしてしまうので、この仕事こそ1年分スケジュール帳を開いて先に予定を確保するのだ。そして、いざその瞬間がきた時に①や④の仕事が舞い込んでも先ずは無視して②の予定をこなすのだ。そして改めて①や④を行う。緊急度の高い仕事は、1時間や2時間遅れたところでどうにもならない事が実際多い。一方、②の仕事を計画しても行動を行わないとすると次から全く行わないことが習慣化して結果的に将来も今も仕事の能力や伸びが変わらない人材になるのだ。

3)目的が不明確で仕事のゴールイメージや完成形がない。例えば、上司からこの資料を来週の月曜までに纏めておいてくれ。とかいう仕事が振られた時に、目的や使途を全く尋ねないで安請け合いしてしまう。なんとなくイメージで浮かんだやり方が脳裏に残り、しばらく放置。そして月曜に近づく金曜の午後に、思いついた様にリストアップして猛烈に資料を整理していく。しかし盲点はここにある。そもそもの目的やゴールイメージがないため、最高に高度な、とっても手の込んだ資料を作ってしまうのだ。結果的に金曜の夜に残業をすることもある。そして自己満足を十分に満喫した後にメールで提出しておくのだ。

上司の反応は代替こうだ。良い資料だね。でもこの程度で良かったんだよって。そして、おいおい、早くそれを言っておいてくれよ。と。が、上司はそんなもんだ。指示をする際に、その理由や程度を明確に伝えて仕事をフル上司がいることは稀。従って、指示を受けた時点で目的や成果物のイメージを考え、取り掛かる前に上司に確認して置くことだ。するとどの程度の工数をかけるべきかの判断が出来るのだ。当然、その程度に応じて成果物にかける時間は異なってくるので無駄が削減されるのだ。

人間は、将来に対して楽観的になりがちで、自分の能力を過信してしまう。従って計画は常に甘くなることが常だ。そのため、いつも厳し目に納期を見て、スケジュールにバッファを持たせることが重要だ。そして仕事は長期的な仕事から先に計画してスケジュールを埋める。重要な緊急度の高い仕事に騙されてはいけない。最後に、常に作業については目的やゴールイメージや使途などを確認して、どの程度行えば良いのかを確認してから取り掛かることが重要だ。



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