ビックデータの市場の番人

2017年6月8日 木曜日

早嶋です。

「市場の番人」ということで、公正取引委員会がデータの独占にメスを入れ始めます。主な概要は、ビックデータを企業活動の資源と捉え、不当なデータ独占や囲い込みを独占禁止法の適応にする方向性を示したことです。事例を説明する報告書の中では、グーグル、フェイスブック、アマゾンなどのプラットフォーマーの名称が出ていました。

このニュースを見て3週間くらいの前の日経新聞に、強すぎる米ITビック5として、アップル、アルファベット(グーグルの持株会社)、マイクロソフト、フェイスブック、アマゾンが紹介されていたのを思い出しました。米国ではこの企業が圧倒的にITの分野を中心に勢いがよく、他のIT企業が苦戦している、顧客を奪われているという内容の記事でした。

実際、当時の記事を参考にするとビック5と他の企業の時価総額に大きな差が出ています。

アップル:8252億ドル
アルファベット:6522億ドル
マイクロソフト:5273億ドル
アマゾン:4661億ドル
フェイスブック:4365億ドル
です。

対して、IBMは1410億ドル、スナップで238億ドルと上位トップ5の時価総額が突出していることがわかります。時価総額は株価と発行枚数の積算で、株価そのものは将来の収益の現在価格で示されますから、差がついていると言っても過言ではありません。

ビック5に代表される企業は、世界中に億単位の利用者がいて、誰が何を買い、どのようなワードに興味があり、どのような行動の傾向が高いか、などの情報を常に蓄積していきます。

今回アップルも発表したようにAIスピーカーなどは、この情報収集を加速する動きになると考えることも可能です(アップルの場合、情報を一度分析して、その情報はクラウドに上げないと表明していましたが。)。IoTの進歩により、ウェアラブルデバイスのデータや身近なデータが全て統合的に分析され蓄積されていきます。

このデータを活用して利潤を追求する動きは自然な流れです。顧客よりも顧客のことを知ることが出来る次期もすぐやってきます。実際に、ビックデータから言えることは人間以上に人間の行動を理解しているケースも多数でています。

一方で、個人情報を提出しなければサービスを提供させない、他社へ乗り換えを阻止するために必要なデータは他者に開示しない、などです。これは明らかに独占禁止にあたるよね、という報告書です。

当たり前ですが、公取委はこれまでの領域は交渉による談合のような伝統的な、アナログなやり方に目を光らせていました。しかし、ここにもデジタル化の波がやってきて、ようやく追いつくカタチになっています。

一方で、プラットフォーマーも企業努力を重ね、莫大な利益を更にシステムやコンピュータに投資した結果出来上がった仕組みなので、すんなりそうですねとも行かないでしょうね。

今後、更にAI化とIoT化は進みます。このような議論が始まることは消費者側と企業側にも良いことだと思います。この流れはウォッチしていきたいですね。



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