統合と数字の細分化を強めた時の愚。

2017年6月2日 金曜日

早嶋です。

ある企業では、年間の数値目標を490に設定しています。期首から2ヶ月たった現時点で実績は105。ギャップは今の時点で385です。この時点で年間の達成の確率をどのように考えるか。これは実際の事例で、ある地域である事業を行っている企業の事例です。

元々、そのビジネスは地域ごとに細分化されており、全く別組織として運営されていました。それが2000年頃に複数の地域が統合され1つの組織として運営されるようになりました。しかし、その組織はそれから10年以上経過しているにも関わらず、管理の仕方は昔のままで、未だにその地域単位で計画を立て、地域から積み上がった計画をベースに全体の目標を設定しています。

例えば、統合する前の地域はF、N、S、M、O、Kという地域でした。そして各地域には統括本部があり統合する前は各本部が地域の数値管理を行っていました。各地域には10から20の支店があり、その支店の売上合計が各地域の売上になっていました。

Fの実績は60、年間目標は140、ギャップは80。
Nの実績は10、年間目標は60、ギャップは50。
Sの実績は10、年間目標は60、ギャップは50。
Mの実績は10、年間目標は70、ギャップは60。
Oの実績は10、年間目標は90、ギャップは80。
Kの実績は5、年間目標は70、ギャップは65。

これをみると、
計画を上回る地域はF
概ね計画通りの推移を示す地域は、N、S、M
若干未達になりそうな地域は、M、O
計画を下回る地域はK
ということがわかります。

通常の感覚であれば、2ヶ月経過した段階でKの進ちょくを確認し、10ヶ月後も大幅に計画未達と推定された場合は他のエリアで調整できないか等の検討を行うでしょう。しかしこの組織は、各地域のセクショナリズムが極めて強く、かつ計画に対して期中にフィードバックする文化が全くありません。

驚くべきことに、それが各地域の支店に対しても同様でした。例えば、計画通り経営しているように見えるNの地域は、10の支店があります。それぞれの支店にも上記のように年間の目標、月間と詳細に目標が設定されています。そして、毎月目標とギャプの管理をしています。ある店舗は計画を上回るペースで推移していて、ある店舗は計画を下回るペースで推移しています。だからと言って期中に店舗ごとの調整を行うことはありません。しかも計画を律儀に守る文化があり、期中に調子の良い支店は年間の売上に帳尻があるように後半はペースを落とすため計画を大幅に上回った実績を上げる店舗がないのです。

つまり、計画を下回る店舗の数だけ目標とのギャップが増えて行くのです。景気が良くて、経済が右肩あがりの時は良かったでしょう。おそらく全店舗目標達成という絵図がかけていたと思います。しかしここ10年以上は経済は低迷して、店舗が全て計画通り行っていません。

文化や慣れというのは怖いもので、店舗の統合や地域の統合を行うことも無く、見た目上は統廃合を行っているのですが、実際の運営は20年以上も前からの仕組みで、全くと言ってよいほど統合効果がないのです。

整理すると、この企業の特徴は次の通りでした。
●組織運営形態は昔からの取り組み方を守り、戦略と一切紐付けられていない。
●目標と計画は細かく設定している。各地域、各支店レベルで細分化し、年間、毎月、毎日のギャップを速報で管理している。にも関わらず、担当地域、全体での整合性の調整などは全く行われない。
●強烈な部分最適に陥り、全体がどのようになっているかを組織で把握している人が殆どいない。
●計画を修正するどころか、徹底的に守る文化が強く、計画よりも伸びる可能性があっても途中でスピードを緩めてしまう。

少しデフォルメして書いている部分もありますが、全国に一律に存在していて、何らかの規制やルールで守られていた企業に観察できる事項です。このような企業は企業戦略や事業戦略の区別が無く、また組織の効率化を鑑みて機能を全店舗で統合する動きも極めて鈍いです。組織の規模が大きくて、ネームバリューが高いから離職する人も少ないのでしょう。結果的に、その組織でどっぷりと時間を経過した社員は、何ら疑問を持つこと無く仕事を続けているのです。

日本企業の生産性が低い理由は、非常に単純なことがベースで、外の組織の人間が診断するとあっという間に原因がみえてしまうかもしれません。しかし、その仕組はその組織に根付いています。強烈な刀を振りかざさねければそう簡単には変えられないのが現状です。



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