GSを最高のブランドにするために

2017年3月23日 木曜日

早嶋です。

セイコーは、高級ラインのGS(グランドセイコー)のブランド力強化に乗り出します。大きく変わるのは、文字盤からSEIKOのロゴを排除することです。現在、GSの時計はSEIKOの文字もGSの文字も両方あります。

GSは3つのムーブメントがあります。機械式、クオーツ、そしてスプリングドライブです。3つ目のスプリングドライブは機械式とクオーツの良さを持った究極の機械式で他の会社からも供給のオファーがあるほどです。そして機械式もクオーツも他の時計メーカーの精度と比較したら更に高いレベルの技術を持っています。

現在、GSの販売価格は50万円から70万円。GSがかりに100万円以上の価格帯にシフトしたいのであれば、SEIKOの文字以外にGSのデザインを更に洗練させること。GSの価格帯を更から見直すこと。流通を制限すること。GSに関わる人の脳みそをリニューアルすること。などもっと行うことがあると思います。

1)再度GSって何?ってな議論を徹底していく。今回の発表からの推測になりますが、幾つかの高級スイス時計を並べて、GSをこの時計に追いつかせるためにはどうするか?という従来のマーケティング議論をされていると思います。しかし、もしこのようなアプローチであれば、あくまでも商品の比較になり、GS本来の魅力を引き上げることはできません。従って商品は同質化し、結果GSにその価値は無いよねってなります。最悪、前より高いから売れなくなります。これは中途半端なイメージを持たれた結果です。そのためにGSが持つアイデンティティというか核の部分をもっと突き止めて商品開発のみならず、価格帯、流通、販促を行う必要があると思います。

2)その中で大切なのは、ムーブメントの選択です。GSの技術は卓越しています。しかしGSのラインはその卓越した技術だけではなく、GSの中でも普通レベルの商品ラインナップもあります。このやり方は、SEIKO5が2万で売られているものから10万で売られているものまである感覚です。もしGSを本気でシフトしたいのであれば価格帯に30万円から50万円程度のものは排除したほうが良いです。基本GS基準を再度みなおして、その基準値以下の商品は生産しない。20万の時計を5個売る発想をすて、100万以上の時計を1つ売るのです。

3)GSのカスタマーセンターという機能があれば一度凍結です。SEIKOは庶民からそこそこ金持ちまで、オールジャンルの時計を作っていました。が、GSを高級に持ち上げるためには、一度GSがやりたい放題やって、顧客の声をシャットアウトします。そうしないと一貫したブランドつくりは出来ないからです。

4)従って、なんとなくGSが良いのかな的な顧客は排除。絶対GSじゃないと嫌という顧客を徹底的に相手にして信者を作る発想です。コアなファンのための時計ブランドになり、軽自動車から高級車までおーるじゃんるのSEIKOの考えを完全に捨てないといけないと思います。

5)商品の生産に対しても大量に市場に供給することを止めます。フェラーリやポルシェのように欲しいけれども常に品薄。購入に1年、2年かかる状態をつくります、極端ですが。現在のGSはヤマダ電気やそこら辺のディスカウントストアにも溢れています。これでは、GSの世界観が出来上がってもすぐに崩れてしまいます。生産量を増やすと売らないといけないので流通を解放しますが、流通は徹底的に限定すべきです。

6)GSは女性の社会進出に乗っかって女性のラインナップも増やしています。そこで天海祐希などをアイコンとして使っています。が、これは止めた方が良いと思います。これまでのSEIKOでは有名人や著名人に乗っかるのは良い手法ですが、ブランド価値を上げるためには、そもそもの商品の魅力を伝える必要があるからです。そこに人に任せて、そのイメージで売るというのは発想を変えるのです。もしそれでも人を採用したいのであれば歴史上の人物がまだ良いでしょう。生きている人は何をしでかすかわかりません。もし何かスキャンダルがあればそのイメージも一緒に吹き飛んでしまうからです。

7)価格の表示を外し、常に高いんだろうな、という印象を与えるようにします。この商品はいくらです。的なディスカウントストアのように常に価格を表示するのを止めます。新生GSでSEIKOのロゴがなくなったものは100万円以上の時計になるというイメージを与えます。本当に欲しい人は100万でもなんとかして手にいれます。ポイントは高いイメージを作ることで高く売るということではありません。そのための手法はSEIKOの時計販売と全くことなります。

8)事業計画の数字目標の管理をGSはしばらくストップする。GSはSEIKOの中でも主力ビジネスの1つです。しかし真のブランドを構築するためには社内からも売上目標はしばらくなくすか、別の異なる管理に分けるべきです。もし徹底的な数値目標に本数や売上があれば、当然ながら期末や月末に目の前の顧客に現金化してもらいたくなります。それではこれまでの辻褄が全てふっとびます。従って販売員の教育や考え方そのものもゼロベースで構築することが必要です。

9)GSの価値を上げるために、過去のSEIKOのGSの商品を安くして販売しては駄目だと思います。GSのブランドを作ったベースですから今後は敢えての在庫を抱えても、市場に放出してはいけません。もし放出するとしたら、常に当時の価格よりも少しづつ販売価格を上げていきます。GSを100万円以上にする覚悟があるのであれば、値下げは禁止。コストに利益を積み上げる発想をすてます。高く売ることに徹します。過去の商品が少しずつ価値が上がってくれば、当然ながら今買うことが正解になります。この発想を持たなければ、技術力が商品の価格の発想になり、これは従来と変わりません。そうなれば常に最新の商品が最高の商品になります。が、ブランドは違います。過去の商品が一番良いのです。

10)スターを排除してGSのブランドイメージを確立するには日本の伝統文化と徹底的にマッチングすることです。漆や伝統工芸。場合によっては日本画などの文化、お茶、お花、能等々。そのようなものやことを代表するような方々や施設でのプロモーションは非常にブランド価値を高めイメージを向上する取り組みになると思います。

11)GSの工場を聖地にする。最後は、製造業の発想を捨てて、職人という域に皆の意識を変えることです。SEIKOと同じ制服を着させない。GSの職人はGSらしい格好と道具を使って時計を作る。SEIKOと共有している部分は全て分けさせる必要があると思います。大量生産もしない。世の中に提供できるのはわずか。また、原価削減の指示などを高らかに上げない。そのような製造に対しての考え方も刷新する必要があると思います。



コメント / トラックバック2件

  1. ぺろちゃん より:

    GSが、スイス高級時計メーカーに追い付くのは、まず無理でしょうね。
    ブランドイメージが安物過ぎます。

  2. biznavi より:

    昨年までの活動を見ている限りですが、GSのコミュニケーションを行う際に、他のセイコーと同じ商品やブランドと同じ場所、同じ手法を取りながらの活動もありました。GSは良い商品だと思っていますが、一方で価値づくりに対して、感情的な取り組みにも力を入れてほしいと思います。その際は、セイコーとしてではなく、、GSとしての取り組みを行ってほしいと私も考えます。コメントありがとうございます。

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