M&Aの成功と失敗、統合後も考えよう

2017年2月2日 木曜日

早嶋です。

最近、受注する或いは引き合いを頂く仕事に企業統合後のシナジーを最大化したいという依頼がある。この手の内容はPMIに関連するのであろうが、概ね皆M&Aをゴールと捉えており本来のスタートを切りきれていない。

そもそもM&Aについて理解が乏しい、或いは期待値が高い割には、実行後のことをよく考えていないというのが背景だ。世の中5%程度しかM&Aは成功していない、というねます統計値もあるがこれはこれから説明することを満たせば逆に失敗の確率は減ると思う。

そもそも、M&Aの成功をどう捉えるかが定義できているかが重要だ。M&Aは成長ステージ二よっても目的が異なるし、企業や業界がおかれている立場によっても異なる。しかし一様に言えることは買ったら成功という話はない。むしろ買った時点で失敗という見解もできる。

企業の評価は複数の手法を使って行うが、最終的には相対で双方が合意した価格が正解になる。買手企業は、どうしても売手企業に対して正当に評価した額の概ね3割程度のプレミアムをつける傾向があるから、金銭的なことを言うと買った時点で失敗になる。

それでも、目的を持ってM&Aを活用している企業は、他者よりも戦略の実現に対してM&Aを取り入れている。そして飛躍的な成長を手に入れている。その理由は時間を買っていることが大きい。全てを自分たちの経営資源のみで行うには時間がかかる。そのために 戦略に即して常に自分たちで行うか、資本を入れる先を探してM&Aを活用するかを議論している組織は考え方がことなる。

PMIの基本的な考え方は次の通りだ。M&Aには戦略があることが前提。それをベースに、どのようなスキームで実現するかを検討しながら同時に案件探しを行う。そして交渉の段階に入ると、誰がその企業のマネジメントを行うかを検討し始める。そしてトップ面談、意向表明と進み、交渉を中間地点で整理した基本合意を締結することにはM&Aが成約した後の統合の準備を開始する。そう、基本的にはこの段階でPMIのスタートを切るのだ。企業の統合で最も難しいのが人のわだかまりを解放することだ。従って、両社の思いや、買手企業の戦略を以下に売手企業に伝え、一緒になってその目標を達成するかを伝えていき不安をなくす取組は重要だ。企業の買収ということは、売手企業に務める社員にとって、ものすごい不安があると思う。それをいち早く払拭して、本来の力を発揮してもらうのは統合後100日程度で行うというルールがある。

しかし相談がくる企業は、統合後も何もしていない。最終合意になることにようやく誰が社長をやるかが決まっており、その社長も片手間に仕事をしている。などと散々たる状態だ。それでは上手くいかないよね。

ということで、買手企業が今後もM&Aを戦略実行の選択肢に入れているのであれば、基本的なM&Aの知識や考え方、一連の流れを経営陣に対してレクチャーする機会を必ず作っている。



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