ついで買いの心理

2016年9月21日 水曜日

早嶋です。

先日、ゴルフ場経営者が読む雑誌の取材を受けた。低迷するゴルフ場の売上の一助にクロスセルは意味があるか?というテーマ。例えば、1人の平均プレー額が1万円を切っている昨今、レジ横のお土産1,000円購入につなげることができれば売上10%アップ。つまり意味が無いことは無い。

そもそもレジ横は何故購入するのか?ということについては、購買障壁が下がっていることがある。心理的には、テンション・リダクションという言葉があるぐらい有名。車を買う場合、一度購入を決めたらオプションの返事のノリが良い。保険も加入を決めた瞬間、オプションを勧められても悪い気がしない。初めての商品を買う時は、悩み考えるが、いざ決定すると一気に障壁が下がる真理だ。

他に、コントラスト効果という側面でも説明出来る。これは購買に及ぼす心理的なトリガーが。例えば、最初に重いものを持ち、次に軽いものを持つとぐっと軽さを体感する。高速でかっ飛ばして、料金所で原則すると40kmがスローに感じる。

ということで10万円の旅行に申し込みを決定した後は、その後の3,000円のオプションがなんだか小さな額に感じてしまう。普段3,000円をスーパーで払う場合は高いと感じるにも関わらずだ。というのがコントラスト効果だ。購買障壁が下がると同時に、その瞬間に提示された金額がぐっと小さい場合、思考が停止してしまうのだ。

交渉の世界でもニブルという戦術がある。大きな条件の交渉をまとめた直後に、小さな譲歩を引き出すというせこいテクニックだ。これも上記と同じような真理が働いていると考えられる。

考えてみると、世の中上記のような提案が溢れている。今ならスーツを買うとネクタイが1本無料ですとか、靴下3足買うと1足分無料ですとか、ポテトも一緒にどうですか?など様々だ。

近年、ネットでもこの手を応用した手法がある。例えば、ワンタイムオファーだ。この商品は今限りですよ。とか、この価格で変えるのは、今だけですよ。という内容だ。これらをついで買いに組合せて、少し大きな商材を購入した直後に、商品確認ページを表示して、同時にそれと関連する商品を示したりして上記のワンタイムオファーを誘うというものだ。なんだかんだ言って、上記の心理的な理屈からこの合わせ技一本は結構強い。

ポイントは、メイン商品との関連があり、一緒に購入することでその後の使用がよりよいものになること。物理的な購買であれば、かさばらないとか、持ち運びが容易というのも大切だ。また、別に複数あっても困らないようなものという手もある。

ゴルフ場では、金額の支払いが通常プレー後なので、その顧客のためになるものを考えることは大切だと思う。例えば、その方のお子様向けの品、家族や奥様向けだ。私は、ゴルフをする時に、なんとなく罪悪感を感じる。そんな時に家族向けや妻向けのちょっと気の利いた地域のお土産屋食べ物があるとついつい買ってしまう。そう考えるとゴルフ場のついで買いは、タイミングと理由を提供することが大切になると思う。

良く、関連するゴルフグッツを提案しているゴルフ場があるが、タイミングが悪い。支払いをする時は、既にプレーが終わりサウナにも入っている状態だ。もし提案するとしたら、ゴルフ場で受付をした後、更衣室に入り着替えた後、ハーフで戻り食事の前後などだ。それぞれの次の関連する行動を考えるとついで買いを誘導するのは難しくない。

ゴルフ場はお金の支払が後払いである場合もあれば、自動販売機は小銭が入る。初心者は意味が分からずプレー中の飲料を買いそびれることもある。全てを電子的に行い、最後の会計で一括せいさんすると購買するチャンスを増やすことも考えられる。

プレー中を考えると、カートの中に冷たい飲料や寒い時はホットの飲料がおいてあり、後精算であれば迷わず取ると思う。富山の置き薬ではないが、顧客の利用シーンを予測しながら必要な商品を提案するのだ。



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