ケイツネがなくなる日

2007年3月24日 土曜日

早嶋です。



会計の話で利益の話しをするときに、利益には5つの種類がある。という事を耳にすると思います。損益計算書(P/L)の上から順に、1)売上総利益、2)営業利益、3)経常利益、4)税引前当期純利益、5)当期純利益です。



5つの利益の中で、日本で特に重視されるのは経常利益です。企業の業績を示す指標として、紙面でケイツネ●●億円増加、などと見出しを見る機会が多いと思います。



日本で経常利益が注目される理由は、日本企業が伝統的に株式市場による資金調達ではなく、銀行などからの負債による資金調達が多かったからです。銀行などの資金提供者は本業から幾ら儲かったのか?という数字(営業利益)から、銀行に利子を払った残りの利益が企業本来の力と考えます。そのため、企業の収益力を判定する指標として経常利益が使われているのです。



このため、決算発表などでも売上高の次に経常利益、当期利益とならび、紙面会社も、この数字を主に取り扱っているのです。これを逆手にとって毎期特別区分に何らかの損失を計上してい企業は多いです。



例えば楽天。楽天の売上高は、01年度に68億円だったのが、05年には1,298億円になっています。通常、企業の成長力はビジネスの規模をあらわす売上高を見ますので、実に5年間で19倍の規模に急成長させたことが分かります。



そして、経常利益。01年度は14億円でしたが、05年には358億円になっており、やはり急激な成長を遂げています(5年間で収益が26倍に)。



ここまで、見ると、楽天の成長と収益は急激に伸びていると感じますが、当期純利益を見ると、05年度を除いて大きなマイナスになっています。この理由は、毎年、他の企業を買収したときに発生した費用を特別損失として経常しているからです。



楽天が特別損失として経常してきた理由は、経常利益を日本人が好んでみる指標だからだと考えられます。



一方、グローバルスタンダードである国際会計基準を採用している国の企業のP/Lには、経常利益は存在しません。企業が行うビジネス自体の収益をあらわす営業利益の次が、税引前利益となります。この理由は、上記の楽天の例でも分かるように、会計というのは現実社会を正しく測るためのモノサシである必要があるからです。日本の会計基準では、企業の業績を良くするためのモノサシになっている場合があるのです。このため、日本の会計基準は、不思議の国の会計と呼ばれたことがあるそうです。



現在、世界的に会計基準の統一が進んでいます。09年には世界中の会計基準を実質的に国際会計基準に統一する動きがあります。日本の基準が国際会計基準に準拠された場合、経常利益がなくなる可能性もあるのです。



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