社長という役割

2015年6月2日 火曜日

ある日突然社長になる。それまで役職としては執行役員で営業責任者や主力部隊の事業責任者としての仕事を行っています。しかし、実際に社長になった瞬間勝手が違ってきます。

仕事柄多くの経営者と接することが多く、企業の規模に関係なく、上記のような現象を観察してきました。数億の会社から事業部の規模が50億から100億で全体のビジネスが数百億の規模の経営者まで、社長になった瞬間の方々が考える共通のこと。

自分が事業部のトップでいる時は、俺が社長だったらこんなにして、あんなにして、意思決定するのに。と他人の社長に対してアイデアが沢山湧いてきて思考もクリアになるのですが、実際に自分が社長になると急に重圧を感じてします。多くの方々を観察していると、任命されて役割が変わった瞬間から、何かこれまでと違った思考になるようです。

理由は、実際に自分が考えたアイデアを意思決定することに対しての重みです。その意思決定はこれまでは他人である社長が行使していました。しかし、その意思決定の一つで会社の方向性が180度変わる場合もあります。その責任は当然自分。そこに重責を感じるようになるのでしょうね。

また、役割は不思議なもので、昨日まで和気あいあいと経営チームとして議論してきた仲間も急に社長として接するようになります。なんとなく間に壁があるような、腹の探り合いをされているように感じるのです。

社員に関しては、新しい社長に対しての期待があり、何かやってくれるだろうと思われます。新しい社長としても何かをしなければと焦ります。

しかし、上記は全部社長の妄想のように感じます。実は自分がいちばん構えてしまい、これまでの合理的な整理された思考を一度しまいあげ、ごちゃごちゃとあえて複雑にしているのです。

意思決定に関して、確かに責任を負う立場になりますが、それは執行役員や事業の責任者を行っている時もおなじです。ある程度の規模になれば一人で仕事を行うことはありません。従って全てが社長が決めなければならないというのも幻想です。

昨日まで仲良く議論していた相手も、俺に話をしてくれないと感じるから、相手も何か勘ぐってしまい、話しにくくなるのです。役割は変わったけれど本人の心は変わっていない。自分がそう強く信じれば、これまでの最強の経営チームが構築できます。

社員に対しても同じです。自分がなんとかしなければという思いが強いあまりに勝手に社員の頭のなかを作りでしていくのです。

よく言う自然体があれば、これまで通りの思考で、しかし3ヶ月から半年で会社の大きな方向性の舵取りをすることはできるのです。



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