大企業における新規ビジネスと人材のギャップ

2014年3月24日 月曜日

早嶋です。

国内では多くの大企業の主力ビジネスが成長後期から成熟期、あるいは衰退期に差し掛かっている。ライフサイクルの理屈で言うと、この時期のビジネスはシェアをとっていれば最も効果的に利益を生む仕組みです。従って、現在の収益を支える柱になっています。

しかし、当然ですが時間の経過とともに市場が徐々に縮小する、或いは全く異なるモデルに置き換えられ突然死を迎える、なども考えられる結末です。その場合、次のビジネスを早い段階で仕込まなければなりません。そのため多くの大企業が新規ビジネスの創出や新市場への進出を戦略の重要な打ち手に入れています。

が、適切な人がいません。

現在、旗振りをしている経営層の多くがゼロからのビジネス創出経験がないので、スピード感や泥臭さ、考えるよりも手を動かすと言った全く異なるスキルの重要性を感覚的に理解出来ていません。結果、不確実な市場に置いて正確性を求め、将来の不確かな市場に現在の主力ビジネスが成り立っている市場規模を求めます。いわゆる大企業のルールでゼロからのビジネスを創出しようとしています。従って、判断が出来ずに小資本の企業に先行者利益を奪われてしまいます。

要因は、人材の育成の仕方にもあります。大企業のメインストリームで仕事をしてきた人員の多くは企業の全体像に振れることなく細分化さた個々の役割を淡々とこなしてきました。このフェーズにおいて、そのような仕事を行う人材は優秀です。がフェーズが異なると求められる資質も異なります。新規ビジネス創出部隊に適応する要件、行動する、小さく始める、失敗から学ぶ、曖昧な状態でも進められるなどの資質がありません。

従って急に抜擢されても調査の段階で半年も1年も時間を費やしてしまい、アウトプットも分厚い紙の報告書にとどまります。スピード感や対応の感覚が余りにも違いすぎるのです。

その人材を輩出して計画的に育てる人事にも課題があります。本来は経営戦略に紐付いた採用、配置、転換、教育を行うべきですが、人事の方針は独立していることが多いのです。そして、毎回、何を基準に新人社員を採用して、何を基準に中途を採用しているのかも曖昧。中長期的な戦略の方向性に紐付いていない。従って、確かに優秀な社員がおおいのですが、これは成熟ビジネスの既に出来上がった土壌では活躍できる人材であっても、ゼロから攻めていくタイプの人材がほぼ確保されていません。

伝統的にそのような人材は数年で辞めてしまうので社内の流動性が高まるためはじめからリジェクトする、なんて暗黙があるのでしょう。



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