アジア企業の日本企業のM&Aにおもう

2014年2月19日 水曜日

早嶋です。


アジア企業が日本企業やそのブランドをM&Aした時に、うまくいった事例といかなかった事例があります。

■うまくいった事例
なんといってもラオックスのM&Aです。2009年に蘇寧電器が買収。買収した蘇寧電器は中国の家電メーカーです。中国旅行者が来日した際にもラオックスでお買い物、しかも免税価格。それが浸透したので中国でもラオックスのブランドを付けてビジネスを展開しています。一時期、日本の家電量販店でラオックスはいち早く中国に身売りをした、などと言われましたが、いまでは蘇寧電器と一緒に非常に良いシナジーを生んでいます。当時の家電量販店からすると立派な勝ち組ともみることができますね。

レノボ。これも中国の家電メーカーです。IBMの事業部門であるThinkPadを買収したとき、5年間はIBMのブランドで販売してよいという交渉を得て事業部を買収。順調にThinkPadのブランドを活用して展開しています。更に最近はNECのPC部門をM&Aしています。2011年にはNECのブランドを用いて販売を行い、国内トップシェアを獲得しています。買収した企業のブランドの活用の仕方、自社との統合の仕方が非常にうまい企業です。

ハイアール。中国の家電メーカーです。三洋電機の洗濯機、冷蔵庫事業、インドネシア、マレーシア、フィリピン、ベトナムでの家電販売事業を買収。これによって2011年から一気に日本国内と東南アジア市場でのシェア拡大を行いました。

■うまくいかなかった事例
香港のセミテック。往年のオーディオメーカーであった赤井電気や山水電気を買収しました。ともに名門メーカーではありましたが、統合後、経営悪化。そして経営破綻。その後、香港のグランデグループに売却しています。

山東如意、中国の繊維関連企業です。レナウンを2010年に買収。しかし買収後も業績は悪化。その原因は中国幹部と日本幹部の経営対立で本来の統合したゴールに向けての経営がおろそかになったのでしょう。経営は迷走しています。

サミットグループ、タイの自動車関連の企業です。2009年にオギハラを買収しています。しかしサミットの経営方針に基いてリストラを断行。従業員を半減しました。直接の要因はよくわかりませんが、こちらも2010年には館林工場を中国のBYDに売却して、結果的に金型技術を拡散してしまう結果になりました。


上記を見ていて、共通に言えることは文化の一致です。互いの企業文化が不一致で経営が統合されなかったと考えられます。特に中国の勢いのある企業経営者の多くは欧米で経営手法を学んでいるため日本企業との時間感覚が合わなかったのもあるでしょう。また、セミテックなどは、お金だけだして結果丸投げ。音響のようにマニアを相手にしないといけないビジネスは細かなマネジメントを継続しなければビジネスは継続しません。その特徴を理解しないまま現金を投入したと考えられます。

統合作業の準備は両者が基本合意を結ぶころから初め、クロージング後すみやかに統合することが重要です。しかし、そもそもの資本を一緒に行った理由を考え数年のスパンでモノゴトを考える重要性も買収側には必要ということ。短期的にバランスシートを改善するスタイルは日本企業を買収するM&Aに向いていないと感じます。



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