ネットの躍進

2013年9月23日 月曜日

先日、新しいiPhoneが発売されました。Newsでは、恒例の前夜からの行列の報道がありました、新しいデバイスを求めて並ぶアップルファンだ。

スマフォの浸透によりECは劇的に変化し、O2Oの概念がより鮮明になった。顧客は無意識のうちにオンラインとオフラインを行き来するようになる。従って、企業もこの行動に追随するようになる。

ショールーミング。Webで価格を検索して、実際の商品は家電量販店や百貨店で確認してWebでポチる。進んでいるひとは、スマフォで商品のバーコードをスキャンして、最も安く提案しているサイトから購入する。いずれにせよ、一昔まえと比べると消費者の購買行動が随分と変わった。

昔、飲食店は立地条件が成功要因の一つだった。ひとの流れが確保された不動産を確保し商売をする。今は、ネットの評判があれば、ある程度、隠れた場所でもこぞって人がくる。SNSが普及し始めた頃はツイッター、徐々にFaceBookやLINEなどに移行し、小さな店でもWebを活用してうまく集客する店舗が増加している。顧客は、「いいな」と思った店や料理の写真をスマフォで撮り、消費者としての生の声を発信する。この声を見てまた、別の消費者がその店を訪れる。そんな共感の連鎖が玄人からの発信ではなく、素人からの発信で人が動くようになる。まさに、スマフォによってリアル店舗の形態が変わったのだ。

O2Oの予言を10年も前にし、店舗の意味合いが変わることを先行実現してきたのがアップルストアだ。まだ、一般人が気軽にWebに繋がる前から、リアル店舗を都心のどまんなかに展開してきた。NYのど真ん中。ロンドンのど真ん中。東京のど真ん中。そして、店舗と言うよりは、ショールームと店舗を足して2で割った形態での展開。

当時、他のパソコンメーカーは、リアル店舗を販売の拠点と位置づけていたので、数を沢山だすために郊外に展開していた。高い土地代を払ってもペイしないと考えていたのだ。当時のパソコンメーカーからしてみれば、アップルの出店戦略は狂気にしか見えなかっただろう。

しかし、結果的にハードを売っているメーカーが実店舗で売っているのは、今ではアップルのみ。アップル・コンピューターという社名からいち早くコンピューターという言葉をなくしたアップルの先見性はやはりすごい。アップルの基本はECサイトで商品を売る。しかし、実際の商品を見たり、テクニカルの相談をリアルで行いたい人は、アップルのお店に行く。従って、最も便利な最も人が集まりやすい場所に出店をする。今の理屈だと理解できるが、これを10年前から実勢してきたアップルは流石だ。

そもそも何故、ここまでネットの世界とリアルの世界が結びつき始めたのか?様々な要因があるが、一つにハードの普及、なかでもスマフォの普及が考えられる。これまでの業界の見通しではネットにアクセスして自由に行動する人口は、国内では2000万人程度と言われてきた。背景は、PCを活用できる人が人口の2割程度だったからだ。従ってネット業界の壁も2000万人と言うのが定説だった。

これがスマフォの登場によって大きく覆されることになる。PCよりも使い勝手が良いので普及が2割から3割、4割と増えているからだ。マーケティングのセオリーでは、全体の2割を超える頃から急激な普及がはじまる。つまり、キャズムを抜けたとされる。従って、急激にスマフォは全人口に普及すると考えることができる。スマフォという使い勝手のよいハードの出現によってネットの世界が大きく変わることになったのだ。

ネットの世界の躍進の裏に使い勝手の良いハードあり。スマフォの存在なくしてネットの急速な普及はなかったと考えられる。PCは、全対の2割程度の人しか使えこなせなかったのに対し、スマフォは誰でも自由に使いこなすことができる。

そしてハードの変化はスマフォだけにとどまらない。製造業の世界にも当てはまる。近年のヒットは3Dプリンターが急激に小型化され、価格が安くなったことだ。これまでは高価な製造装置の一つだったので資本力が強い大手企業が有するう機会だった。それが今では個人やベンチャーでも導入できる製品となった。

これまでと違って、机上で設計した商品を3Dプリンターにつなぐ。あっという間に試作品ができる。動作や細かい修正を行い、仕様をフィックスさせると、その図面を中国の工場にメールする。すると、小ロットからでも部品や半完成品が出来上がるのだ。

この影響は実に大きいと思う。つまり、従来のメーカーが不要になるのだ。メーカーは、製造はEMSや他の工場に任せ、企画と設計のみを担当するだけで良くなる。すると、沢山の人数や大きな工場が不要なので、少人数のベンチャであってもすぐにメーカーになれてしまうのだ。総合メーカーという言葉や企業が過去の産物となる日も遠くはないと思えてしまう。

スマフォに見るネットの普及は、消費者の行動から総合メーカーの競争相手までをガラリと変えて行く。これが現実に起こっている。



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