後追い戦略の行末

2013年9月16日 月曜日

早嶋です。

スタバのコーヒーは、コモディティをエクスペリエンスにしました。ターゲットが明確なので一杯400円のコーヒーでも顧客が定着して店舗数を拡大します。第三の場所と言うコンセプトはスタバの顧客に定着し、会社に行く前、帰宅する前のちょっとした時間の活用方法に影響を与えます。若い人を中心に様々に時間を過ごすのです。

従来、この層は、ファーストフードやファミレスやカフェを利用していたかもしれません。が、徐々にスタバに流れ、いつしかそこがお気に入りの場所として定着しました。第三の場所は、便利の良い立地、落ち着いた雰囲気、コーヒーの香り、音、雰囲気、笑顔があふれるスタッフのサービス等々を提供します。ファーストフードやファミレスの上位層、カフェの顧客がスタバに定着するのに時間はかかりませんでした。

ここで、都合が悪いのはマクドナルド。優良な顧客層を取られていったからです。だったら、これまでのまずいコーヒーを根本から見直そう、そう考えたのでしょう。結果、非常に質が高いコーヒーを100円で提供し始めます。そして、これまでマクドナルドに足を運ばなかった顧客も来店するようになりました。コンビニで朝食を済ませていた層です。その層を中心に100円コーヒーにつられ朝のメニュー、100円マックの売上が増加します。マックとしては、スタバへ流れた上位層を狙ったのでしょうが、コンビニに流れていた顧客の集客に成功しました。しかし、ここは単価が低い顧客層。何かあればすぐにスイッチします。そこで、マクドナルドは度重なる値下げや100円商品の試みを繰り返します。その層にフォーカスすると、常に値下げの嵐で徐々に自社を苦しめます。

当然、コンビニ業界も黙っていません。それだったら俺達も、と。セブンアイホールディングスが先頭を切って同様に質の高い100円コーヒーをスタートします。マクドナルドに流れた顧客を互いに奪い合う結果に。スタバに行っていた顧客も一部流れたでしょう。が、スタバの常連客からすると100円のコーヒーはありえないと思います。彼ら彼女らが購入していたのはコーヒーそのものではなく、スタバのコーヒー体験そのものだからです。

結果的にスタバに対抗したマックの100円コーヒーと、それに対応したコンビニのコーヒーは、自ら更に過度の価格競争に踏み入れた結果になったとも考えられます。後追い戦略は、時としてアンハッピーなシナリオを助けるのかもしれません。



コメント / トラックバック2件

  1. 壁際珍事 より:

    ハーレーダビッドソン・ジャパン。
    この20年ほど、大型バイクの需要はどんどん下がってたけど、同社は別格で、他社が下げる中、一人販売台数を伸ばしてたそうです。
    「我々は、バイクを売っているのではない。ハーレーのある生活を売っているのだ」と、同社の社長の言葉。いい言葉ですね。

    スタバも、コーヒーを売っているのではない、コーヒー(の香り)がある空間と時間を売っているのだ、ですね。

  2. biznavi より:

    事業そのもので商品を売る!という発想では広がりが少ない。消費者は全体のバランスを購入していると考えると、ハーレーもコーヒーも同じような取り組みをしている。と思います。

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