フィリピン紀行 ④都市計画

2013年2月13日 水曜日

リーマンショック後、一時は経済成長がストップしていますが、再び経済が伸びています。実際に体験すると想像以上です。近くで見ればバラックと高層ビル群。遠くから見渡すとLAのような雰囲気です。北からケソン市、オルティガス、マカティ、フォート・ボニフォシオ、マニラ沿岸地区、アラバン地区。マニラの中で地理的な広がりがあり、都心と副都心地区が連立しています。

現在でも超高層オフィスビルや超高層住宅の建設が至る所で進んでいます。50階建ては当たり前、中には70階を超えるものなど、驚くばかりです。マカティ地区等は六本木ヒルズや東京ミッドタウンのような都市とビルが一体化した施設が数多く計画されています。豪華さも日本のそれと比較して遜色なしです。

この経済成長の背景には、フィリピンが他の国のバックオフィスになっていることがあるでしょう。実際、インドとその座を争っています。BPOの分野ではインドとフィリピンは今や必ず選択肢にあげられます。フィリピンは特にIT関連に強みを持ち、英語を皆が遜色なく話すという特徴も後押しとなっていると思います。

滞在中はマカティで打ち合わせを繰り返しています。打ち合わせをしては、通りを車で巡ります。マカティはフィリピンのメトロマニラと呼ばれるマニラ首都圏に属する都市で、首都マニラの東南に位置します。元々基地だった広大な敷地を利用して再開発された最新の街です。空港からも車で15分から20分程度なので、福岡空港と博多・天神の距離感です。

街並は高級コンドミニアム、ショッピングモール、大規模な創業病院、多くの大使館やインターナショナルスクールなどから構成され、ゴミ一つ落ちていないきれいな街並です。

アクセンチュア、HSBC、ドイツ銀行、JPモルガン・チュースなどの外資系企業も拠点をおいています。また、マイクロソフトやインテル、ネスレなどのIT企業から食品等、グローバルを代表する企業の拠点もこの地区にありました。現在、マカティのフォート・ボニフォシオ地区は脈々とビル群が建設されています。まさにバブルまっただ中。

この地区一帯、1995年にラモス元大統領が国有地転用計画の一環として基地内の土地214ヘクタールを民間企業に売却したことからはじまりました。フィリピンの庶民の足であるジープニーの立ち入りは制限され、電線は地下に埋められ、至ところに監視カメラを設置してセキュリティーが保たれています。まさに先端都市といったところです。

フィリピンにおける都市計画について調べてみました。行政の階層構造が1)州及び行動都市化、2)市及び、3)バランガイという最小行政単位の三層構造になっています。都市計画は、複数の州を束ねた広域な計画から地方レベルまでの計画が存在しています。その体系が空間計画と社会経済計画の2種類です。

例えば、国地方レベルの社会経済計画です。中期フィリピン開発計画(MTPDP)は大統領の任期に対応する6年間の計画です。1986年から各大統領が任期中に実現をめざす施策を記した国家計画として始まっています。それ以前も4カ年計画や5カ年計画といった感じで開発は策定されていたようです。MTPDPには、主要な政策方針、社会経済戦略、国家に関する主要なプログラムからなり、地方計画には国家計画を支援する戦略、プログラム、プロジェクトが含まれます。いずれにせよ、コンセプトは全体の指針をツリー状に細分化した取り組みとなっているようです。部分最適ではなく、全体最適となって計画の在り方としては非常によいですね。

上記を実現するにあたり、空間計画はさらに長期的な視点で考える判断基準になっているようです。30年計画の国家空間フレームワーク計画(1993から2022)が存在しています。これはNPFPと呼ばれ、現在は2期目に入り、2011年から2030年のNFPPと名称が変更されています。NFPPが前の計画を8年で引きついたように、NFPPも10年をメドに計画の見直しがされ、30年のビジョンを10年程度のスパンで修正しながら開発やその方針を決めているようです。

NFPPの内部は、土地やその他の建設資源等の配分、活用、管理、開発に関する一切の政策や方針を定めています。このような取り組みを行えば、一定の辻褄が合い、スピード感もでることも納得です。これらを基に地方レベルでは地方空間フレームワークプランが策定されてブレークだうんしていく。仕組みの在り方としてはよくできていますね。



コメント / トラックバック2件

  1. あつろう より:

    興味深く拝読させていただきました。

    フィリピンとインドでは
    BPOの分野において言語、ITリテラシーの競争優位性は同程度ですが
    経済規模が全く違いますが、この点はフィリピンはとくに問題ないということなのでしょうか。
    (不勉強でこの質問さえ、正しいのかどうかわかりませんが)

  2. biznavi より:

    経済規模は直ぐに調べることですので、是非、調べて見て下さい。

    フィリピン経済において、2012年のBPO総売上は約1兆2200億円でした(フィリピンビジネス・プロセス協会調べ)。これはGDPの6%に達します。

    フィリピンにおけるITやBPO関連の労働者の数は2006年時点で20万人超えくらいでしたが、2009年に40万人を超え、2011年には60万人を超え成長しています。

    予測では2016年にIT・BPO関連の売上は250億ドルを超える数字がでています。(BPAP参照)

コメントをどうぞ

CAPTCHA