ジェネリック

2012年5月22日 火曜日

ジェネリックとは、特許が切れた医薬品を他の特許を持たない製薬会社が製造または共有する医薬品です。一昔前は、先発医薬品の特許が切れると後発品がゾロゾロと出てくるためジェネリックのことがゾロと呼ばれていました。

薬の開発には莫大な費用と時間がかかります。そこで企業は薬の構造、製法などについて特許を取得して、自社で薬の製造までを行い投資した資金を回収します。そして、そこで得た資金を次の開発資金にまわすのです。ジェネリックは、その特許が切れた薬をベースに他の企業が自由に製造販売する薬です。

昨今は厚生労働省が主導でジェネリックを普及させる政策を進めているため、世間一般の捉え方に変化が現れています。国が推進する背景は、医療費抑制が考えられます。世界で見ると、日本ではまだまだ普及が進んでいません。その理由は、安定供給がなかなか難しいとする後発品メーカーの問題、後発医療品に体するドクターや薬剤師の信頼不足などがあります。(一部Wiki参照)

そんなジェネリック。薬の製法や構造が分かっていますので、製造設備等があれば製薬会社であれば製造可能です。では、どのようにして価格が決められるのでしょう。薬の価格には、医療機関に納入する価格(納入価)と、患者さんが支払う市場に出回る価格(薬価)の2つがあります。

納入価は、メーカーは口出しできないので、代理店によってきまります。薬価は、新薬とは違い、メーカーの意向に関係なく厚労省が決定します。従って、ジェネリックで他社が物真似出来ないくらいの仕組みを作ることは、よっぽどのシステムを構築する必要があると思います。

因に、Webでジェネリックの薬価の算定方法を調べてみました。
1.すでに薬価基準に収載されている医薬品が新薬(先発品)のみの場合は、原則新薬の7割の価格
2.すでに薬価基準に収載されている医薬品にジェネリックがある場合は、原則一番安いジェネリック医薬品と同一価格
3.すでに薬価基準に収載されている新薬とジェネリックの品目数が合計20品目を超える場合は、一番安いジェネリック医薬品の9割の価格

更に、2年に一度の薬価改正では市場価格(納入価)が反映されます。2年おきに薬価ダウンの提示が厚労省からくるということです。つまり、売り上げも下がり、当然のこと利益も出なくなります。規模の経済でカバーするか、相当な仕組みを作らなければ、長期的に破壊するモデルのような気がします。

ジェネリックの現状を調べて見ました。平成23年度10月~12月のシェア速報値からです。数量ベースで23.6%増、金額ベースで9.8%増。行政の思惑に反し、日本ではあまり伸びていないという印象です。

ジェネリックが進んでいるのは海外です。アメリカ、カナダ、イギリス、ドイツ。その普及率はアメリカ71%、カナダ66%、イギリス65%、ドイツ62%、いずれも60%を越えています(2009年・数量ベース)。一方、日本の普及率は20%程度です。これは日本の医療費が国によって守られていることが大きいのでしょう。
(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%BE%8C%E7%99%BA%E5%8C%BB%E8%96%AC%E5%93%81#cite_note-1)

これから逆説的な考え方が湧いてきます。ジェネリック業界としては、この程度でも成り立つということ。ジェネリックメーカーの数や1社あたりの販売品目数を考えれば、ジェネリックメーカーは多品種少量販売ではないかと推測できます。医薬品市場の規模が6兆円、普及率が2割だとして1.2兆円。2010年の資料ではありますが、ジェネリックは利益が出ています。
(http://www.dbj.jp/ja/topics/report/2009/files/0000004033_file2.pdf)

そんなジェネリック業界も再編が進んでいます。一方で、新薬メーカーの進出も見られます。最近の動きとしては、新薬メーカーが自社製品を別ブランドでジェネリック展開して販売する動きもあります。もともとの特許保有会社がつくるのだから安心。このような考えは消費者にはなく、価格のみの判断となるのでしょうか。

ジェネリックメーカーが新薬開発をするのは障壁が高いですが、逆はそれほど高くない。今後のジェネリックの競争がますます激化すると、やはり規模の経済が必要になるでしょう。そして、最後はマクドナルドやコカコーラなど、或は味の素のように完全にコモディティとして商品を展開し、世界の隅々に届ける企業がいきのこる。そのような世界になると感じます。



コメントをどうぞ

CAPTCHA