フリクションボール

2012年3月30日 金曜日

ワークショップをしていて多くの方が愛用しているボールペン。フリクションボール。特殊なフリクションインキに秘密を持った消せるボールペンです。

一般的なゲルインキは水に顔料を混入してつくられます。一方、フリクションインキは顔料の代わりに、発色剤、顕色剤、変色温度調整剤を閉じ込めたマイクロカプセルが使われています。これが消せるインクのしかけです。常温では発色剤と顕色剤が結合して線を残します。その線を今度は摩擦熱等を与えることで変色温度調整剤が作用して、発色剤と顕色剤の結合が解かれ、インキの色が無色透明になるのです。

紙の上に書いたり消したり。その裏では科学的な力が作用しているのです。うん、すごい!

パイロットインキの商品開発部課長のコメントを見ると、「インキとしての用途を広げるために、さまざまなニーズに対応した目標をたて、独自の材料や成分の開発も行い、らせん階段を登るように技術を蓄積してきました」と。なんと1975年に開発した温度によって色が変化するメタモインキの改良を重ねて得たのがフリクションインキとのこと。エンジニア魂を感じます。

インキの開発は20年以上の年月と多くの研究員、そして1000以上の化合物の評価テストが繰り返されています。そして2004年の前半にインキの改良に目処がつき正式にボールペンの開発をスタートしたフリクションボール。日本で販売する前の2005年末にボール径0.7のフリクションボールをフランスで先行販売しています。そこで爆発的なヒットとなり、
2007年3月に日本での発売が決定しました。

発売と同時にビジネス用途から火がついて予想を上回る売れ行きで都内の大手文房具売り場では1か月も品切れ状態が続きます。日本発売開始から1年間で4000万本を売り上げています。同シリーズは05のごく細タイプ、蛍光ペン、24色のカラーボールペンと続々と関連商品が登場しています。

最近の関連商品はフリクションボール専用の消しゴム。摩擦熱を与える目的の消しゴムで、ペンの後ろについているゴムが小さいというのがあって、それを商品化したのでしょう。てっことは、今後はフリクションインキを詰めたボールペン用の汎用カートリッジの販売と続くのではないでしょうか?ペンとしては便利だけど、どうもパイロットのペンはださい。という方は、自分が愛用しているボールペンのインキが詰め変えられたら便利なのに!と思ったはず。

こんなユーザーのニーズをくみ取って、パイロットもフリクションのハイエンドモデルを販売しています。3000円くらいのボールペンで、外側がちょっとだけ高級感を持たせたデザインのペンです。確かにインクは消えますが、所詮はパイロット。中途半端になりすぎている感がたっぷりでした。これは売れないだろうな、と思いながらパイロットのマーケターのことを考えました。

早く汎用のインクカートリッジにフレクションインキを詰めて販売して下さい!インクが売れるという事には変わりがなく、通常のボールペンよりもインクカートリッジにしたほうが単価が高くなるし、同様の想いで使っている人の心も明るくなりますよ!お願いします。



コメントをどうぞ

CAPTCHA