レストランひらまつの考え

2010年12月30日 木曜日

2010年の飲食業界は低価格化が鮮明だったのに対して、高級レストランを展開するレストランひらまつは攻めの姿勢を続けます。

2008年に起きたリーマンショック以降、企業接待の需要は一気に冷え込みました。そんな中、レストランひらまつは、地方都市への出店や洋菓子店参入など積極的な姿勢を取っています。

ひらまつは、リーマンショック以前から社内改革をすすめていました。従業員の生産性を向上する取り組みに加えて徹底的なコストカット。広告宣伝費から切手の費用までゼロベースでコストの必要性を問うていました。

これらの要因に加えて欧州からの食材やワインの輸入がユーロ安にふれたこともあり、10年9月の連結決算は売上高、利益ともに過去最高をマークしています。


ひらまつの取り組みは本業の料理でも注目できます。景気後退の中、企業の接待需要は減少または、減額の傾向にあります。そこで、通常は2万円の客単価を想定していた顧客が、一人1万5千円でできないか?と言われたら、これに対してYesでこたえます。多くの高級料理店はこの時点で断りますが、ひらまつはシェフやマネージャーが相談しながら臨機応変に対応します。

この考えは、「暗い時代だからこそ、顧客の要望にはすべてYesで応えよ」という社長の指示が背景です。

出店戦略についても興味深いものがあります。これまでは人口100万人をひとつの出店基準に上げていましたが、今年4月の金沢市に出店した店舗が好調だったため、人口50万人都市にも出店を積極的に考えています。しかし、札幌の立地を円山公園に近接する立地とこだわり出店から10年も時間をかけたように、高級レストランとしての土地に対するこだわりはこれまでと変わりません。

このような出店の背景は、ひらまつでの人材が育ってきたこともあるようです。見た目では、出店ありきに見えますが、違います。ひらまつのレストランは同じ店名であっても4割程度のメニューは現場の采配で決定されます。そのため店舗ごとに規律をまもりながらも自己表現が出来る場が多くあるのです。これらがひらまつの人材定着率を高めているのかもしれません。

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