エンジェルがいなくなる日

2010年6月28日 月曜日

エンジェルが投資できなくなる日がくるかもしれません。エンジェルが投資した企業は上場できなくする動きがあるのです。正直、国の介入の意味が理解できません。個人が責任をとるべきで、法律で決めることではないと思います。

極端な話、起業家が知人にお金を出してもらうことまで禁止されるかもしれません。これは、日本に新しいビジネスが育ちにくくなる事を意味します。日本の経済にとって何の意味もありません。

日本証券業協会が出したパブリックコメントの募集がTwitterなどで物議を醸しています。未公開企業が自社株を個人投資家に対して募集していた場合、『証券会社はその企業のIPO時の株の売り出しの引き受けをしてはならない』というものです。

つまりこれは、エンジェルのような個人投資家から出資を受け起業した企業は実質的に上場できないと言っているようなものです。

このような動きの背景は、未公開企業の株の売買詐欺が横行している事にあります。金融庁のサイトにも「未公開株購入の勧誘にご注意!~一般投資家への注意喚起~」と詐欺まがいの未公開企業の株の購入に関するトラブルについて解説しています。

これは極めて個人的なリスクの話です。投資をしないか?と誘われて、それに乗るか乗らないかは、個人が負うべきリスクです。それを防ぐために、すべての個人投資家からの出資を認めないというのは、エンジェルのような人間を排除し、スタートアップ企業の創出を止めることにつながります。極めてナンセンスです。

こうなれば企業はどうするか?新興市場の上場審査が強化されればされるほど、日本の新興市場を避け、海外でIPOを目指す企業が増えるでしょう。例えば、クリック証券が韓国の進行上場市場であるKOSDAQに上場の申請をしたようにです。これは日本の経済に確実にマイナスの影響を与えています。

そもそも新規ビジネスが育ちにくい日本の環境に、更に追い打ちをかけて国が投資家を除外する活動をしてしまえば、将来のビジネスがやりにくくて困るでしょう。場当たり的な付け焼刃的な対応をしないで、金融市場全体を考えた施策が必要だと思います。



早嶋聡史




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