登山ガール

2010年5月24日 月曜日

大手企業を中心に景気が戻っていると言っても、消費者としてはその変化は感じられない。と言ったところでしょうか。

そうすると、多くの消費者の行動は、次のようになります。
1)通常使用する物は単価を抑える。従って、ナショナルブランド(NB)の商品からプライベートブランド(PB)にシフトする。ファストファッションやファストフードが流行るのもこの傾向。
2)買い控えや先延ばしを行う。車や家電などの耐久消費財は、少し待って購入しよう!という先延ばしが生じる。また、旅行などのイベントは控えたりする傾向が強まる。
3)家庭や身近なところでの消費は伸びる。人間、全てを抑えきれないもの。そのため家庭で使用する消費は伸びる傾向にあります。また、家庭から近隣にある施設なども、遠方の利用が減る一方で微増するでしょう。

3)に関して言えば、近年のランニングブームや健康志向に乗ってアウトドアが再び注目されています。中でもその矛先を山に向ける女性が一つのブームを形成しつつあります。その名も登山ガール。

1000メートル前後の山々を踏破する20代~30代の女性やハイキング感覚で低いの山を楽しむ若い層が増えています。お金をかけずに身近な山々でレジャーを楽しんでいたのが、やや本格的に普及し始めた印象です。

この証拠に、関連するメーカーは専門のプロジェクトを立ち上げています。ゴールドウィンのアウトドアブランドであるザ・ノース・フェイス(TNF)も同様です。2009年に同社は20代の女性企画者を加えたウィメンズプロジェクトを発足して商品開発や企画イベントを行っています。また、ターゲットが関連するイベント協賛も積極的に展開しています。

同社の特徴はコア&モア戦略。従来からの本格的にアウトドアを楽しむコア層と、初心者や流行りに任せて、なんちゃってで楽しんでいるモア層にターゲットを分けてアプローチしているのが特徴です。コア層が購入する防水ジャケットは5万円台に対して、モア層が購入する同商品は2万円台です。モア層には機能を落として、その分買いやすさ、ファッション性を訴求しているのが特徴です。

TNFのモア戦略は今年はもっと積極的です。ターゲットの20代~40代に向けてファッションを前面に打ち出した、街着用としても違和感のない商品戦略を打ち出しています。山からすそ野を広げて市場規模を拡大しようという目論見です。

ちなみにアウトドア市場の規模は、2002年~2004年が底で1100億円程度で、そのご急成長を遂げています。2009年では1350億円程度、2010年は1400億円に達する予想です(矢野経済研究所調べ)。

福岡の大濠公園でも去年頃より、グループで仕事帰りに鮮やかなトレーニングウェアでジョギングしているチームが目立っています。また、近くの野山でも以前は見なかった年齢層を見かける機会が増えています。

このままの景気が続けば、自然と戯れて少しお金をかけて遊ぶアウトドアは需要が伸びるでしょう。

早嶋聡史







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