映画で見る日本の風景

2005年6月16日 木曜日

先日ビデオで”Lost in Translation” と言う映画を見た。コッポラ父娘が監督、ビル・マレー主演で東京を舞台にした映画だった。そんなに期待していた訳ではなかったけれど、結構楽しむことができた。



映画は小学生の頃から、何度か補導されながらもよく通ったもので、最初に一人で観に言った“洋画”は、ビングクロスビー一家総出演の「4時の悪魔」というもので、それからもよくある「火山の爆発」の中での人間模様を扱ったものだった、その次がジャックロンドン原作の“野生の叫び”(これは後に大学生なって原作を読んだ)。確か小学校の4年制の頃だったと記憶している。



それからも映画はよく観に行ったもので、イギリス映画、フランス映画、ベトネム映画、香港映画、ミニシアター系など数え切れないほどの映画を見てきた。単身赴任時代、雨の日曜日には1日に4本~5本も見たことがあるくらいの映画好き。当時の部下の中には、映画好きが講じてマカロニウェスタン特集のCDに解説を書いたり、イタリアの映画祭に招かれたりするほどの者もいて、映画談義をすると時間が経つのを忘れたほど。



話しを最初に戻すが、是非このビデオを見て欲しい。日本がいかに「様々な音でうるさいか」「色彩的にひどいか」「看板などが見苦しいか」「遊びが貧相か」が良く分る。いかに「商売優先」の国になってしまっているかが良く分る。流石に超一流の映画監督の目を通すと、普段見過ごしているこのようなことが、デフォルメされて目の前に突きつけられる。観ていて恥ずかしくなる。



決して外国ばかりを礼賛するわけではないが、今の日本は文化的には発展途上国だなあとつくづく感じる。発展途上というより、むしろ衰退途上と言うべきか。かつて日本と言えば、「静けさ」「落ち着いた色彩」などは誇るべきものがあったはずだ。いつの間にこんなに醜い姿になってしまったのだろう。かつて仕事で海外を何度となく行き来したが、日本の空港に着くたびに彼我の差に悲しくなったものだ。もっと子供の頃から紛い物でなく本物の、しかも美しいものをたくさん目にする機会を与えるような教育が必要ではないか。



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