一律カットは止めて!

2009年11月26日 木曜日

cost reduction
景気が悪くなると真っ先に削られるのがマーケティングの費用。大手企業であれば、CMO(最高マーケティング責任者)やマーケティング統括責任者が、マーケティング費用を削減されると、売上が減少する事をCEOやCFOに説明する事でしょう。

しかし、多くの場合、彼らを納得させるには勝ち目がないかも知れない。そこでメリハリをつけて削減する事を考えうでしょうが、何を焦点に考えると良いのでしょう。

例えば市場調査。波乱時代に顧客のニーズやウォンツの変化は目まぐるしく変わるのである程度の市場調査は必要です。そうでなければ、勘や経験や度胸に頼った非科学的なマーケティングになるからです。かといって調査開始から3、4カ月もかかる大規模な意識調査などは中止の対象と考えても良いかも知れません。時間ももったいないし、mROIを考えるとコストがかかりすぎるからです。

例えば商品。たいてい、現在大ヒットしている商品、昔からの定番商品、売れ行きの悪い商品に大別できます。売れ行きの悪い商品は今こそ整理の対象となるでしょう。また、売れ行きの良い商品もフル装備のラインナップであれば、機能を削減した商品にダウングレードする事で経費を削減できるかもしれません。多くの商品は、スペックオーバーで顧客からしても全ての機能を使いきる事は無いでしょう。そのかわり、機能を絞ってもらい、ある程度価格を落としてもらった方が顧客にとってもありがたい話になるかも知れません。

新製品を導入・検討している場合はどうでしょう。今だから積極的に攻める。正しい戦略ですが、焦る必要はありません。新製品がサイズ違いや風味の違いなどであれば、少しとどまる事をお勧めします。むしろ、現状の商品の廉価版や逆に高価版などは求める客がいるかもしれません。ポイントは、顧客ニーズの実需に沿った新製品である必要があります。企業側の都合で新製品を出している場合は即刻、整理の対象とした方が良いでしょう。

例えばサービスの提供。商品の購入後に、設置や保守、研修やアップグレードなど様々なサービスがあると思います。サービスを提供する事は購買後の満足度を高め、リピート購買に結び付けるためとても重要です。しかし、コストを圧迫するようなサービスがあった場合は、オプションとして料金を頂く事を検討しましょう。

例えばテレビ広告費。テレビ広告のmROIを真剣に考えてみると良いでしょう。もし、効果が分からない場合は即刻中止をお勧めします。効果が分からないから漢方薬のように飲み続けているのは科学的と言えません。これは、他の媒体でも然りです。新聞、雑誌、ラジオ、看板など従来の広告媒体はmROIが低く、また、その効果も実証されないまま、なーなーで広告を出している場合が多いです。分かりにデジタルメディアを用いたブログ屋Webサイトは広告効果が明確に分かり、mROIは非常に高いので、こちらにシフトしても良いかも知れません。ポイントは、ターゲット顧客に対して現在行っている媒体が本当にもっともフィットしていて、効果が高いのか?という検証が不明確なものは、ばしばし削っても差支えは無いとかんがえます。

例えば流通。企業の多くが中間業者を通して商品の販売をしています。これだけ波乱を迎えているのだから、バッサリ切ってダイレクトにして利益率を高めたいところだけど、逆に取引先を減らす事で売上を減らす事になるかもしれません。そこで、中間業者に対しての支援に力を入れる事も考えられます。つまり。これまで以上にやる気を起こしてもらうのです。こちらの商品の量を増やしてもらう事が、相手にとってのメリットにつながる事を解き、更に取扱量を増やす事が出来ないのか?考えてもらいましょう。これは虚を突いたアプローチかもしれません。

なんども言いますが、何も考えずに一律カットなんぞ、最悪最低の取り組みです。それでも経費を削減しなければならないときは、まず、顧客、ライバル企業、取扱業者、仕入先の状況など、基本的な現状を正確に把握しましょう。そして、考えられるオプションを行使した時に、マーケティング活動にどのような影響が起こるのかのシミュレーションを行いましょう。そして、もっとも現実的なシナリオを考えて一律カットではない戦略的な経費削減を行うのが理想の姿だと思います。

早嶋聡史





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