レノボの戦略に?

2009年2月28日 土曜日

早嶋です。



昨日の日経に、レノボが日本の個人向け市場に高級機種のパソコン機種を投入してい年以内に黒字転換するという記事がありました。



—日経の抜粋—–

世界4位のパソコンメーカー、中国レノボ・グループの楊元慶最高経営責任者(CEO)は26日、日本経済新聞記者に日本事業を強化する方針を明らかにした。個人向けは昨年末から5万円前後の低価格機のみ販売しているが、20、30万円程度の高級機種も近く投入する意向を表明。法人向けも、大企業だけでなく中小企業の開拓に乗り出す構えだ。

—– 2009年2月27日/日本経済新聞—–



この戦略、世の中の背景を考えるとかなりクエスチョンマークです。



thinkpadレノボはIBMのパソコン事業を受け継いだ会社ですが、PCメーカーの中では大きく赤字後退しています。高級機種戦略は以前も失敗を重ねており、その時の失敗理由は高級機種に絞りすぎたことでした。さらに、ThinkPadのアイデンティティであるトラックポイント(赤ポッチ)が無くなりスライドパッドになっていたり、ThinkPadの真骨頂でもある絶妙なキーボードレイアウトに妥協があったりと、誰をターゲットにしているのか?自分たちのポジショニングを理解しているのか?など多くのクエスチョンマークが残りました。



そして、今回の高級機種投入。そもそもPCはCPUやチップセットなどはどこも同じで、部品を集めて組み立てる箱になっているので機能的な差別性で高級というセグメントを確立することはありえないと思います。



軽さやバッテリー性能を求めるなら、わざわざThinkPadを購入することもないでしょうし、ここら辺は日本企業の十八番です。仮に高級路線を開拓するとしても、Macであればデザインという感情的な訴求が可能なのでしょうが、IBM時代より今一なデザインになり下がったレノボの感情的な訴求は難しいでしょう。



仮にノキアがVERTU(ヴァーチュ)のように別ブランドを立ち上げたとしても、難しいでしょう。PCに感情的な訴求を抱く人はPCをコミュニケーションツールとして位置づける人でしょう。それであれば、そもそもPCではなく、すでに代替品になりつつあるスマートフォンをはじめから選択するでしょう。



早嶋もその一人ですが、世界中には強烈なThinkPadユーザーが存在します。ノートPCの中でキーボードのレイアウトにこだわり操作性という観点からトラックポイントを創り出しました。マニアックな点ではLinux対応のリファレンス機種に必ず入っていることやパーツの互換性などがあります。ThnkPadはまさに使い勝手の良い道具でした。しかるにレノボの王冠になったとたん、彷徨っています。



高級路線などを取るよりも、これまでThnkPadが構築してブランドイメージを愚直に継続していくことが収益をプラスに転じる近道だと思います。



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