ポルシェとVW

2009年2月10日 火曜日

早嶋です。



世界的に自動車産業は低迷していますが、その中でもフォルクスワーゲン(VW)は好調です。VWの発表では08年の世界販売は新興国での販売により過去最高記録を更新して対前年比0.6%増の623万台に達しています。(ただし、発表では、今後の市場低迷を加味し09年は減少する可能性を示していました。)



この業績好調の理由は、VWが競合他社と比較して新興国に強いことが挙げられます。確かに、初めて上海に訪れた時、ほとんどの車がVWで、中には黒塗りの高級車があふれていたのを思い出します。



VW新興国販売好調の実績は、先週の大前さんのニュースの視点でもありましたが、06年以降に急激に販売を伸ばしています。特に中国では06年約70万台だったのが08年は100万台を突破。更に、ブラジルやロシアなどの新興国でも販売台数を伸ばしています。先日のNHKで特集されていたエタノールビジネスで急激に反映しているブラジルの労働者が買い求めている車もVWでした。



ポルシェとVWさて、この躍進の引き金を引いた立役者は誰か?多くの紙面や雑誌で度々コメントされていますが、現在ポルシェCEOのヴィーデキング氏です。ポルシェとVW?と思われるかも知れませんが、09年1月にポルシェはVWの株式を50%以上取得しているのでVWはポルシェの子会社となっているのです。



VWは第二次世界大戦前にナチス政権の国策企業として設立された会社です。その後、西ドイツ政府のモノとなり60年代まで国営企業でした。そのためにVWにはVW法という法律がありました。この法律は、投資家がVWの株を買ったとしても議決権の20%しか保有できないというものです。



しかし、VW法という規制もなくなります。VW自体の経営が思うようにならず、ゴルフなどの代表する車は売れていたが利益を出せない体質が続いていたからです。ただ、株式を購入されてVW法のタガが外れてしまえば業界大手や投資ファンドによって買収攻撃や企業解体をされるだろう!というのがVWや政界が考えていたシナリオです。



そこに浮上したのがポルシェ。ポルシェはVW会長個人が関与していた会社でもあったことで、05年にVWの株式を買い取り20%の株主となります。そして、徐々に30%とシェアを広げていきます。



ポルシェがVWの株式を購入することで、不安を抱えていたVWの労働者も元の通り働ける環境が整います。そして、何よりもポルシェがVWの経営に関与することができるようになったことが、現在の好況につながるのです。



VWは売上を上げていたものの利益が取れない会社でした。マネジメントの部分に多くの課題を抱えていたのでしょう。しかし、ポルシェの経営状態は当時から極めて良く、ドイツ自動車業界では奇跡的な存在とさえされていました。VWの7%にあたる売上高だったにも関わらず、当時のVWと同程度の利益を出し、更に進捗していたからです。



そう、その当時からの責任者がDr.ヴェンデリン・ヴィーデキング氏だったのです。





ポルシェのCMを探してみました。少年が「20年後に買いにくるよ!」と言ったり、最後のナレーションに「ポルシェに代わるものはない!」と言っているところが素敵です。



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