恐るべきフォックスコン

2008年10月27日 月曜日

早嶋です。



アップルの携帯音楽プレーヤーiPod、携帯電話iPhone、パソコンMacBook Air。ソニーの家庭用ゲーム機PS2、PS3。任天堂のニンテンドDS、Wii。更に、HPやレノボのパソコン、ノキアやモトローラの携帯電話、シスコシステムズのルーター。



さて、上記の共通点はなんでしょう?「どれも売れている!」と考えたでしょうが、実は全て台湾のEMS(電子機器受託製造サービス)メーカーであるフォックスコン(Foxconn)が造っています。このフォックスコンとは、EMSでは世界最大の企業で鴻海精密工業(Hon Hai Precision Industry:ホン・ハイ・プレシジョン・インダストリー)のブランド名です。



フォックスコンは1947年に台湾でOEMメーカーとして創業しました。はじめは日本企業などの製品を相手先ブランドで製造する一下請け会社でした。しかし、中国本土に進出する頃から急成長し、世界最大のEMSメーカーとなりました。06年の連結売上高は約4兆8000億円で、中国に設立した子会社は中国の輸出企業ランキング1位となっています。



最近の状況もすこぶる良く、世界的に不況が広がり消費者の購買意欲も落ち込んでいる中、フォックスコンは今年9月の業績も過去最高の売上を記録しています。



注目するは、フォックスコンは最早、単なるOEMメーカーではないということです。かつては依頼先から提供された設計仕様書や図面を基に機器を組み立てるだけでした。しかし今では、設計から製造まで手がけるODM(Original Design Manufacturer)に進化しています。実際、依頼先の機器のコンセプトをもらって設計から製品開発までを行っています。



そして、驚くべきスピードをもっています。例えば日本の電気メーカーが数ヶ月かかる試作品をフォックスコンは1週間程度の時間で仕上げてしまうのです。圧倒的なリードタイムを誇っています。その早業の理由は、金型技術が非常に優れていること。実際、金型製造設備と金型技術者を大量に保有しており、24時間体制で運用しています。2つ目の理由は、世界中の電子部品メーカーを知り尽くしていること。アップルがコンセプトを固めたiPhoneを、HDDとフラッシュメモリはサムスンか東芝、磁気ヘッドはTDK、小型モーターは日本電産というように、最も得意なメーカーと協力してフォックスコンでくみ上げるのです。



当に、フォックスコンはオーケストラに例えると指揮者のよう。自分で設計し、自分の部品を使い、自分で組み立て、自社ブランドで売る。現在、日本のメーカーが行っている垂直統合モデルでは最早、フォックスコンのようなメーカーには太刀打ちできないでしょう。



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